授業のポイント
- マンションのトラブルで多いのが「生活音」問題
- 生活音問題を解消する”2つの提案”
- 居住者間のトラブルにどこまで関わるか予め話し合おう
マンション内の「ケンカをやめて」を提唱する可愛青子(かあいあおこ)です。
マンションで多く発生するトラブルに騒音問題があります。一番多い原因は「子供の足音」であり、この場合、加害者が上階、被害者は下階という構図ができます。
その他の原因では、楽器音や深夜のステレオ音などがありますが、この騒音問題は非常に厄介でして、結果的に法定へ持ち込まれ、結局どちらか一方が退去するまで解決しなかったり、最悪のケースでは傷害事件に発展することもあります。
マンション居住者の生活音に関する問題は『感情公害』といわれています。
もし、あなたの上階が仲のいい親戚の家で、かわいい甥っ子や姪っ子の走り回る音がしたら、「元気だな」とは思っても、「このやろう」とならないはずです。他人の子供の足音だから腹が立ち、感情に任せた手紙を送ったり、怒鳴りこんだり、棒で天井を突っついたり…。
このように音を出す相手が『見えない』ことによって、音の発生源を感情的に悪くとらえ、被害者意識が高まるのが『感情公害』と呼ばれる所以です。
では、管理組合としてはどのように対処すべきでしょうか__。
この解決は非常に難しいことを念頭に、2つの提案をしたいと思います。
①面会の場をつくる
居住者から騒音問題があげられた場合、両者の感情が拡大しないうちに面会の場をつくり、理事会の中で仲裁役に適している人を介して調整するのが、解決策としては現実的です。
この調整の目的は、『お互いに相手のことを知ってもらい、身近な存在にすること』、そして、『お互いに相手に対する配慮の気持ちを持ってもらうこと』です。
気になる音の認識を一致させることは重要ですが、最初に音源を特定しようとすると、発生者には『弱いところを見せたくない』という心理が働き、「知らない」「音は出してない」となるケースが散見されます。
先に『感情的な歩み寄り』を心掛けた上で、具体的な『音』について確認し合うようにすることが大切です。
②事前予防の啓もう
現に居住している方だけでなく、新しく入居する方にも、次の3項目を伝えましょう。
- コンクリート壁でも音は十分に伝わるもの
- ある程度の生活音は仕方がない
- 普段から近隣住戸との交流をもてば生活音問題は起こりにくい
チラシや掲示するもよし、総会議案に1枚添付するもよし。しつこいくらいの広報が有効です。特に、はじめて物件を購入した方は、そもそも管理会社や不動産仲介業者からこのような啓もうを受けることがないため有効と思います。
さて、ここまでトライしても両者が折り合わない場合はどうしたらいいのでしょうか。
批判を恐れずに意見を言うならば、私なら「ケンカをやめて」と歌わず、冷静に、次のように話します。
「私たち理事会が誠実に歩み寄りを求めても折り合わないのでしたら、後は関知しません。弁護士にでも相談して納得いくまで戦ってください。ただし、この戦いに解決の道はありません。訴訟費用に100万を突っ込んでも目の前の人からお金を取ることができるくらいで、上下階の関係は一層険悪なものとなるでしょう。それでもいいのですか?」
隣人トラブルには一切関与しない、という管理組合もあります。そもそも管理組合の業務に居住者間の仲裁は含まれないので、どこまで関わるかを予め管理組合で話し合っておくといいでしょう。