管理組合の皆さん、修繕積立金の値上げ等の準備、ちょっとまってください!
昨年12月の日経新聞に、修繕積立金や長期修繕計画作成に関する国土交通省のガイドライン改訂があり、管理組合は今の積立金額や積立方式、長期修繕計画を見直さないと大変なことになるという記事が載りました。先手を打って修繕積立金を増額した管理組合や、工事費高騰が住民意識を変えたことや、大規模修繕の周期を長期化したなど、うちの管理組合も早く何か手を打たないと大変だーっ!!!と、まるで市場を煽るような内容に思えます。また、ここ最近のネットコラム他でも、煽り記事的なものが増えています。
管理組合の皆さんは冷静に!そして、適正な行動を開始しましょう!
国のガイドラインが変わっても、それは参考情報の一つです。それよりも、一番大切なのは、自分のマンションの実態を管理組合みんなで知り、対策を練ることです。
これは、病院で適正な検査を受けることと似ています。検査も受けずに、思い込みで薬を飲んだり、治療をしても効果薄です。まずは検査を受けましょう。
一つ目の病院としては、身近な管理会社があります。
簡易無料点検を依頼したり、日頃の定期点検結果からマンション劣化状況や今後の方針アドバイスについて意見を聞いてみましょう。技術的にレベルの高い管理会社であれば、参考になるアドバイスをしてくれるでしょう。管理会社のレベルチェックのいい機会です。
しかし、管理会社の言うことだけを信用して進んではいけません。
一般的に管理会社は企業利益最優先の可能性が高いからです。あるいは、そういうイメージが先行しています。区分所有者から、「もっと多くの情報を集め比較検討して欲しい」と意見が出かねません。そこで、セカンドオピニオンにお願いし、比較検討を進めましょう。
私も、建物診断、設計監理、工事の専門家ではありませんから、いつも悩みます。一つの方法や情報だけでは判断できかねます。そういう時は、業界の専門家の意見を聞きまくります。多くの情報を集めるのです。
手間もかかるし、何を聞いていいかわかりません。でも、こちらの悩みを聞いて、専門家の話しを聞くのです。いろんな方たちの話しを聞いているうちに、いろんなヒントや情報が集まり、だんだん自分たち管理組合の中でも理解が進み、頭の中も整理されます。
例えば、以下は最低限おさえておきたいところです。業界専門誌でも紹介されています。
- マンション管理業協会
- マンション管理センター
- 住まいるダイヤル
- 全管連
- 日本マンション管理士会
- 各種設計団体(マンションリフォーム技術協会、リニューアル技術開発協会、建物診断設計事業協同組合、建物再生総合設計協同組合、日本建築士連合会)
- マンション計画修繕施工協会
これらの専門家からは、是非アドバイスをもらったほうが良いと思います。
簡易相談であれば受けてくれるはずですし、中にはマンションの劣化状況を見て、アドバイスをしてくれるところもあるでしょう。
上述のとおり、ガイドラインありきの変更は意味がありません。
管理会社や設計会社、施工業者などには、大規模修繕の設計監理や工事受注を目的に近づいてくる業者も多くいます。そういう業者かどうかも話しを聞くときには十分にチェックをしましょう。
お薦めは、まず簡易相談&アドバイスを受けて、管理組合内で勉強をすること。
例えば、上記の専門家の中からセカンドオピニオン(無料でアドバイスをしてくれる設計団体や設計事務所などの専門家)を3~6社選び、建物見学のうえマンションの劣化状況や今後の方針、進め方を意見として聞くのです。また、その専門家の建物維持修繕に対する考え方、ポリシー、想いを聞いてみることもいいでしょう。
次に、もっと詳しく聞きたい、信頼ができそうだという、技術知識に詳しく、本マンションの将来のことを親身に考えてくれるパートナーを見つけ、そのパートナーに正式に建物診断とをお願いします。
一方で、パートナーを絞り込まず、いったんここで終了し、設計事務所の公募入札として、広く業界から設計事務所を探すステップもあります。この場合は、前記の専門家には、そういう進め方をすることを断っておきましょう。誠実かつ実力ある専門家は、何パターンかマンションの劣化状況を改善する方法や進め方を提案してくれるでしょう。
このケースだと修繕スケジュールはこうなって、修繕費用はいつ頃いくらくらいが必要などと、素人の管理組合が自分たちのマンション、予算状況によって選択できる道を示してくれます。その中から、最適と思うものを選び、長期修繕計画の作成へと進みましょう。
今の時代、そこそこの病気について診療を受ける場合、一つの病院だけでなく、異なる病院で再検査してもらうセカンドオピニオン方式は常識となっています。場合によっては、もう一つ。
マンションも同じです。建物の劣化状況を診断する専門家も見方や劣化についての考え方は異なります。だからこそ、多くの専門家からアドバイスを受けて、少しづつ、次のステップに進んでいく。慎重かつ、クールな比較検討が大切なのです。
私が紹介した、専門家たちからアドバイスを受け、そのうえで次のステップへ進む。そういった「管理組合前進のカタチ」を構築して、世間の情報に踊らされ、道にさまようことのないようにしてください。