理事に就任して2期目に会計理事を担当することになりました。
理事会が終了したあと、前任の会計理事と管理会社のフロントから、ちょっとこっちに来てください、と呼ばれました。
おっ、引継ぎかな?と思って行ってみたら、前任者からは印鑑を、管理会社からは支払伝票の束を渡されました。
私のマンションでは銀行の通帳を管理会社が保管し、銀行印を会計理事が保管しているので、管理会社が勝手に出金できない仕組みになっています。
支払いが必要なときは、管理会社の支払伝票と銀行の出金伝票が起票されます。それらを理事会が開かれるときにフロントが持参して、理事会終了後に会計理事と理事長がその場で押印して管理会社に戻します。
呼ばれたときもこの場で伝票に押印してください、と言われました。うちの会計理事は渡された伝票にハンコを押すだけだそうです。そういえば、あなたも大丈夫、できますよ、と会計理事を打診されたときに前任者に言われました。
えっ!?
これが引継ぎ?
私のマンションは役員が輪番制ではなく、新しい人もほとんど入って来ないので、古参の役員が仕方なく立候補して役員を続けています。同じ人間で回しているせいか、引継ぎがありません。
伝票の話に戻ります。管理会社が作成する伝票には間違いも不正もないという前提のようです。複数のマンションを担当する多忙なフロントは、このあと他のマンションの理事会へ向かうのであまり時間がありません。伝票の内容をきちんと確認する時間がない中での押印作業で、め●●判(差別用語らしいので自主規制します)を押してくれといわれているようなもの。
それに、バサッと持ってきた伝票の束は押印したら戻してしまうので、どの伝票に押印したのか、内容が何で金額がいくらであるか、どういう内容に対して自分がハンコを押したかの記録が手元に残りません。
また、理事会まで間があるときは、封筒に入れられた伝票がマンションの自宅ポストに投函されるそうです。この場合は確認する時間はあるのですが、何枚あるか分からない伝票がガサッと入っているだけなので、どこかで1枚紛失しても分からない可能性があります。
伝票に通し番号が振ってあれば漏れや重複チェックができます。番号はありましたが飛び飛びバラバラで、おそらく他の管理組合も一緒になった管理会社のための管理番号です。個々の組合のためのものではなく、これも使えません。
私は、自分の会社の経理部で担当者が上司に伝票を回す際にリストを付けていたのを思い出し、伝票のリストを付けてくれないか、とフロントに言ってみましたが、その場で断られてしまいました。
まあ、管理組合向けの会計システムがリストを出すように設計されていないのでしょうから、一組合のためにシステム変更はできないだろうし、フロントが自分でリストを作るのも無理があるのでしょう。
仕方ないので、理事会終了後にその場で押印することはせず、すべて自宅のポストに入れてもらい、何に対して押印したのかは、自分でちまちま記録をとることにしました。
記録がないと、2回同じ伝票が回されても気が付かないかもしれませんし、身に覚えがない支出があったとしても根拠がないので管理会社に確認するのも難しいのではないかと思います。
私は自分で記録を残すようにしましたが、このような作業は理事にとっては負担になるでしょう。
すぐに対応するのは難しいかもしれませんが、やはり管理会社側で何らかの対応をして欲しいと思います。
システムの変更は難しいとしても、たとえば、複写式になっている管理会社の支払伝票に管理組合用の控えを追加して、伝票の枚数を書いたメモを付けて押印依頼すれば、理事に控えが残りますし、伝票が途中で紛失するリスクは防ぎやすくなるのではないでしょうか。
超アナログですが、発生しうるリスクを認識した上で管理組合の会計が適切に行われるよう対策を立てていく必要はあると思います。
また、問題のある処理方法がまかり通っているのは、それで良しとしている管理組合が多いからだと思われます。管理組合側から声が上がらなければ管理会社が自社に都合の良い方法で処理するのは自然の流れです。
と、うちのマンションの出金のフローを元に考えてみましたが、よく考えると、通帳と印鑑を管理会社が保管し、管理に必要な支出は管理会社側で完結する方式を採用している管理組合のほうが多そうです。この場合は毎月作成される収支報告書で支出内容をチェックする形になるんでしょうか。
管理組合と管理会社双方の利便性を求めて、銀行と提携してPCやスマホで支払承認できるシステムを提供している管理会社もありますが、ITリテラシーの高い役員ばかりとは限らないでしょう。結構危険な気がします。
会計理事は伝票にハンコを押すだけでは務まらない、難しい仕事だと思います。
会計システムは管理会社も管理組合も難問です。
自主管理の管理組合では、銀行印は理事長、通帳は会計担当理事で持っていましたから、事故は発生しませんでした。
出金の際も、伝票1枚をB5版の紙に貼り、請求書等を裏面に張り、1通1件にして、理事長の確認を得て、銀行払戻請求書に押印してもらいました。
慣れてくると、理事長は「銀行払戻請求書だけでよい」と言いましたが、確認が必要なので、パターンは変えませんでした。
管理会社でひどいところは、払戻請求書だけで、伝票や書類を見せないところもあります。
これでは、不正経理が発生するのが当たり前です。
それでも、管理会社は理事長が押印したのだからで済んでしまいます。
会計システムは、決算を含め、管理組合の弱いところですから、何らかのシステムを取り入れる必要があり、中小の管理会社向けには、内田洋行がシステム開発しています。