【マンション管理のリスクをアライ出す、元理事アライのコラム】記録を残すー書類の保存2 保存ポリシー

管理員室で保存されているはずの総会議事録は、実際に見てみたら惨憺たる有様でした。管理会社は管理組合からの指示がないと重要な書類でも平気で捨て、「無いものはしょうがない」と管理会社を庇うかのような監事に無反応の理事たち。

情報は一度失ったら取り戻すのは難しい。私は書類の保存ポリシーの作成を始めました。

不備が無いことが分かりやすい保存方法とは

前回、管理員室の総会議事録が抜けだらけだったことを書きましたが、議事録が揃っていないことの原因のひとつとして次のことが挙げられます。

管理規約などの改正があった総会では、議事録の原本は規約原本に添付されていました。議事録の原本は1部しか無いため、規約改正時の議事録は総会議事録のファイルから抜け落ちます。
つまり、総会議事録は抜けがあってもOK、だったのです。管理規約の原本に添付されているものと、単なる抜けとが共存し、結果的に総会議事録の所在不明状態を引き起こしました。

そこで、私は、議事録、議案書の保存方針を以下のようにすることにしました。

  • 議事録と議案書はすべて揃っていることが必須である。
  • 抜けた状態がないようにするために議事録と議案書の原本をまとめて綴じる。
  • 規約改正時など議事録を規約原本等に添付する際は、議事録をコピーして添付する。

理事会でこのことを管理会社に口頭で伝え、理事会の議事録に残しましたが、書類管理の方針として明文化することが大切です。

 

書類の管理・保存にはポリシーが必要

管理組合の書類には、管理規約、総会や理事会の議案書、議事録のほかに、会計書類、法廷点検の調査報告書、建築設計関連の図面や書類、保険の証券、組合員からの各種申請書・届出書など、種々雑多な書類があります。

この辺りのことはインターネットで調べて分かったのですが、実際に自分の管理組合の書類にはどのようなものがあるかは分かりません。そこで、実態調査から始めました。

ステップ1 一覧表の作成

管理組合で保存すべき書類のリスト「重要書類一覧」作りました。

最初にインターネットで調べて、管理規約や議事録などのほかに建築関係の設計図書、会計や契約関係の書類、法廷点検の報告書、修繕工事関係の書類などをリストアップ。また、近隣住民などとの取り決めに基づく容認事項が管理規約に規定されていたので、そういったものの協定書などがあるかもしれない、と、一覧に追加しました。さらに、ペットを飼う人は飼育申請書を提出しますが、そういった区分所有者や賃借人から提出される書類を管理規約や使用細則などから拾い出しました。

次に、管理員室で実際の書類を調べながら一覧表を修正します。一覧表に載っていない書類があれば追加して表の精度を高めると言いますか、実態に即したものにしていきました。

項目は、書類の名称、備考欄(内容の詳細)、保存書類の管理者、場所、期間、公開レベル(閲覧権限)と電子化の可否と目的など。管理組合の書類には個人情報や機微情報が含まれるものがありますし、規約の原本や総会議事録は組合員や利害関係者からの請求により閲覧させるとの規定がありますから、書類ごとに使用者、閲覧者を検討、整理しておくことが必要です。また、保存スペースの問題や劣化防止などから電子化することも考えられますが、電子化された書類は紙の書類よりも情報漏洩の危険性が高いため、電子化の可否や取り扱い方法なども書類ごとに検討する必要があると考え、このような項目を用意しました。

ステップ2 マップの作成

書類はロッカー、プラスチックケース、引き出しなど複数の場所に分散して保存されていましたので、簡単な見取り図を作り、棚Aの1段目には議事録、2段目には法廷点検の報告書、プラスチックケース1に会計書類、2に建築図面、などという感じで、どこに何が入っているか分かるようなマップを作りました。

同時に、この作業を通じてそれぞれの書類が必要とする保存スペースがざっくりと把握でき、その結果、このままのペースでは保存スペースが足りなくなる、というか既に足りていないことが分かりました。たとえば、会計資料は決算資料のほかに請求書や領収書などもあり、毎年かなりのボリュームになります。会計資料の保存期間を永久(管理組合存続中)とすると、今後の保存場所も考えないといけません。

 

 

ステップ3 書類の保存期間の設定と処分

書類の保存状況にも問題がありました。狭い部屋で書類を収容する棚も不十分な状態で、管理員さんは空きスペースを見つけたり書類を移動させたりしながらスペースをやり繰りして、何とかしまっていたものと思われます。ある程度整理されていましたが、同じ種類の書類が複数の場所に分散していることがありました。また、管理員交代に際して、書類については引継ぎも無いようです。前任の管理員が保存していた書類には明らかに不要なもの(10年以上前にすでに契約が終了している駐車場使用契約書、更新前のインターホンシステムの取扱説明書、改正前の管理規約のコピーや議事録のコピー、その他諸々)がありましたが、処分されずにそのまま保存されていました。

重要書類とそうでも無い書類が混在し、重要な書類がどこにあるか分からなかったり、不要な書類の束の中に重要書類が1枚ぺラッと紛れていることもありました。これは結構危険な状態です。不要な書類と一緒に重要書類も処分されかねません。

保存スペースの問題もありますから、要らない書類は適切に処分しなければいけません。

この時点では書類の保存に関する取り決めが無いため、私が不要と判断した書類のリストを作成し理事会に上げ、廃棄が承認されました。廃棄書類には個人情報が含まれるものが多くあるため、管理会社がシュレッダーにかけてから廃棄することとなりました。

ステップ1で作成した書類の一覧表には保存期間の欄を設けていて、書類ごとに保存期間を設定するようになっています。インターネットなどの情報を参考に、管理規約や議事録、議案書、設計図書などは永久、法定点検の調査報告書は5年、自転車置置場の使用申込書は更新までの1年などと仮の保存期間を設定しました。

書類の保存ポリシーは最終的には細則にすることを考えていましたが、ここまで作成したところで私は理事を辞することになりましたので、続きは他の理事たちに引き継ぎました。書類の保存状況やスペースの問題などがある程度把握できたため、理事会では書棚を1つ購入したようです。

管理組合の書類の保存は、通常、管理委託契約の委託内容に含まれているので、多くのマンションでは管理会社によって適切に保存されていることと思われます。うちもそうなんだろうなーと漠然と考えていましたが、実際に見てみたらいろいろと問題がありました。長い間管理会社に任せっきりだとか、ずっと同じ管理会社に管理を委託しているような管理組合は、書類の保存についてどうなっているのか管理会社に確認したり、理事が自身で見てみると良いと思います。

マンションの面倒ごとは管理組合と管理会社が解決してくれるって思っていませんか?私、アライは、理事になるまでそう思っていました。それと、自分のマンションにはこれといった問題が無い、とも。理事になってはじめて知った自分のマンションの様々な問題とその解決策について、リスクマネジメントの観点から考えてみます。

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