【マンション管理のリスクをアライ出す、元理事アライのコラム】膨れ上がる収納口座

膨れ上がる収納口座

会計担当の理事として看過できない問題がもう一つありました。
管理組合の財産を管理する方法はマンション管理適正化法によって定められており、うちでは「イ方式」で管理することになっています。

具体的には、組合員から集めた管理費・修繕積立金を入金する収納口座から当該月中の費用を支出し、残額を翌月末までに保管口座に移動するものです。
つまり毎月収納口座から保管口座に資金を移動させなければならないのですが、次の場合は翌月末日で無くても良いとされています。

  • 収納口座の名義が管理組合で、管理費・修繕積立金が収納口座に直接預入される
  • 収納口座の印鑑を管理組合が保管する
  • 残額を引き続き収納口座で管理することを管理組合が承認している

うちの場合、収納口座の名義は管理組合の理事長で、お金は直接入ります。印鑑は会計理事が保管しているので、最初の2つの条件はクリアしています。

さらに、管理委託契約書の管理仕様書に、収納口座の残額を引き続き収納口座で管理すること、保管口座への資金移動は管理組合の指示により行うことが記載されていますので、3つ目の条件もクリアしていることになり、保管口座への資金移動は毎月行われなくても問題はないことになります。
※これは平成21年の国交省通達(国総動第47号)が根拠と思われます。

ところで、うちの財産管理方式が「イ方式」だというのは管理委託契約書で確認しました。これは管理組合と管理会社とで締結するものですが、実は管理規約と同様に、国交省が作成した標準的な雛形である「マンション標準管理委託契約書」が存在しています。
「標準」と実際の「管理委託契約書」を比較してみると分かるのですが、内容はほぼ同じです。管理規約と同様に、この「標準」をベースにし、必要に応じて部分的に変更して使うようです。
うちの場合、マンション管理適正化法が施行されてから、この「標準」ベースの管理委託契約書で契約を締結しました。会計処理に関する部分は「標準」に準拠していたのですが、その少し後に一部変更がなされました。

それが、「残額を引き続き収納口座で管理すること、資金移動は管理組合の指示により行うこと」の追加です。契約を締結したばっかりなのに、わざわざ変更して覚書を交わしたのです。
目的は分かりません。が、気になりますね。

以上のことから問題は無い状態ではありますが、毎月じゃなくても、四半期ごととか半年ごとに資金を保管口座に移すんだろうなーと漠然と思っていました。
ところが、理事会ではその話が出たことがありませんし、私が会計理事になってからも、資金移動が行われる気配がありません。
いつどのようなタイミングで行われるか分からなかったので、理事会で管理会社に聞いたみたところ、これまでに一度も資金移動はしていない、とのこと。

マジか?
実際、そのとき、収納口座には管理組合の預金の約半分のお金が入っていました。決済性預金なので万が一銀行がつぶれても全額保護されるとはいえ、危なくないか?

保管口座への資金移動は管理組合の指示により行うという契約なので、指示が無ければ移動させることはありません。管理組合は一度も指示したことが無かったと思われます。
歴代の理事は何をやっていたのでしょう?
管理会社も、どうしますか?って聞いても良さそうなものですけど、何もしなかったんですね。
「一度も資金移動していない」という管理会社の発言もそれが当然のような感じでしたし、聞いてた理事も監事も無反応。

えっ?私の感覚がおかしいのか!?

 

 

収納口座に入れっぱなしのリスクって?

私は今の状態のリスクについて考えてみました。
イ方式では、収納口座の印鑑を管理会社が保管することも認めていて、その場合は保証契約の締結と毎月の資金移動を義務付けています。
これは、管理会社による使い込みなどへの対策です。

うちは収納口座の印鑑を会計理事が預かっていて、支払の際は出金伝票が回ってきてそれに押印しないとお金が下ろせないようになっているため、そのリスクは低いと思われます。
口座名義が管理組合(理事長名)、銀行印の保管が管理組合の場合のリスクについて調べてみたのですが、これといったものは見当たりませんでした。

一方で、資金を移動させるためには、一定の手間(伝票を起票したり押印したり)が掛かること、ペイオフ対策などで銀行を分けると、残高証明書の発行手数料が掛かること、通帳の保管など口座管理の手間が増えることなども考えられます。
保管口座に移動させる必要って本当にあるのか、とも思い、どちらがいいのか分からなくなってしまいました。

そんなときに区が主催するセミナーを受講しました。セミナー終了後、マンション交流会が行われました。受講者はマンション管理組合の理事さんたちで、マンションの規模や築年数などによっていくつかのグループに分けられ、自分の管理組合で抱えている問題や実態について意見や情報を交換する会です。

マンション管理士が各グループに一人配属されて、ファシリテータを務めてくださいます。そこで、私はマン管士さんに「うちはイ方式なんですが、これまで収納口座から保管口座に資金が移動されたことがありません。これってどうなんでしょう?」と聞いてみました。

マン管士さん「いや、そんなはずはないでしょう。」

「いいえ、実際にそうなんです。」

マン管士さん「そんな状態はあり得ません。」

って感じで信じて貰えず、どうしたらいいかアドバイスは貰えませんでした。

保管口座に資金移動させるべきか、今のままでもいいのかについて、私の中で確たる結論は出なかったのですが、保管口座での保管が基本であることや、マン管士さんのあの反応、さらに、管理会社が契約締結後にわざわざ標準管理委託契約書にない独自の条文を追加した事実が引っかかり、やはり資金を移動することにしました。

結局、そこから移動先の口座をどこにするかの検討や、新たな口座を作るには総会承認が必要との管理会社の助言が総会後にあって翌年まで持ち越しとなったり、となかなか事が進まず、私が会計理事を務めている間には資金の移動はできませんでした。
後任の会計理事にバトンタッチしましたが、資金移動したのかなー。

 

マンションの面倒ごとは管理組合と管理会社が解決してくれるって思っていませんか?私、アライは、理事になるまでそう思っていました。それと、自分のマンションにはこれといった問題が無い、とも。理事になってはじめて知った自分のマンションの様々な問題とその解決策について、リスクマネジメントの観点から考えてみます。

3 thoughts to “【マンション管理のリスクをアライ出す、元理事アライのコラム】膨れ上がる収納口座”

  1.  資金管理は家計でいえば、生活費(管理費)、多額の費用がいる場合や老後資金(修繕積立金)に大別できます。 修繕積立金は、できれば運用し、増やしておくことが重要です。
     管理費は決済性資金でも良いとは思いますが、多額の場合は、定期預金等の利息が付く預金にした方がいいです。
     自主管理していたときは、年間の資金計画を立て、普通預金がマイナスにならないよう、極力定期性預金へ移動していました。
     自分の金なら興味を持ちますが、他人のカネならどうでも良いと管理会社は思いがちです。
     管理組合のカネは「区分所有者みんなのお金」ですから、無関心にならないようにしましょう。

  2. まさに同じように「甲の指示により適宜保管口座へ移し替えるものとする」と契約上されていることからH30.6の総会で「イ方式になっていない」と管理会社に指示をしましたが、「国の承諾を採っています」と応じてくれませんでした。国に照会しましたが回答はありませんでした。
    イ方式に該当しないと思ったのですが、平成21年の国交省通達(国総動第47号)があることは知りませんでした。
    なぜ、保管口座に移さないのか理由がわかりません。甲の「承認を得て」だからでしょうか。
    同じ悩みの組合があり、少し安心しました。

  3. KUROYAGIさま
    ネット情報で恐縮ですが、
    収納口座の名義が管理組合で、印鑑を理事長が保管している場合、資金移動することの了解を管理組合から得なければなりません。
    何らかの事情でその了解が得られず保管口座への資金移動ができない場合でも、管理会社は適正化法に違反することになるのか、というような質問が業者からあったらしく、通達はそれに対するもののようです。
    たしかに管理会社側に非が無くても違反状態になる可能性はあると思われるので、この通達も、資金移動を管理組合の指示により行う旨管理委託契約書に追加することも仕方無いかもしれません。
    ただ、一度も資金移動しないのってどうなの?単に面倒くさかったから、通達を盾にやらなかったんじゃないの?って思ってしまうわけです。
    個人的には、本文にも書きましたが一定期間ごとに移すのがいいのではないかと考えます。
    KUROYAGIさんのところも「甲の指示により適宜保管口座へ移し替えるものとする」のですから、管理組合から指示を出されれば良いのではないでしょうか。

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