【図面を取り戻せ!~大規模修繕後の戦い】34.下地の図面の不備の判明(2019年3月22日)

「それでさ、管理会社に頼んでたB建築設計との書類確認の日程やけどさ。」
 既に提出されている書類についても、こちらが依頼した建築士の同席のもと、B建築設計の担当者に確認してもらう一件のことか?
「月末の28日の晩に、ってことになったんやけどさ、その時、この同時履行の抗弁権についても確認しておこうと思ってる。」

3月28日というと、僕の引っ越しももうすぐそこに迫る、かなり忙しい日程だ。
ちなみに、これは「僕」の引っ越しであり、「僕ら」の引っ越しではない。運送業者の人手不足に繁忙期が重なったこの年の「引っ越し難民」騒ぎに巻き込まれ、僕らが希望の日程で引っ越すことはまるで叶わず、とりあえずは僕一人が荷物をまとめて、長崎のアパートに移ることになった。妻と家財はというと、半月遅れの4月半ばに移動してくることになっている。
幸い…というかなんというか、妻はそれを見越していたかの様に、次回の4月の理事会にも出席のつもりで、さっさとK青年に日程を調整させている。

さて、3月28日のB建築設計との面談だが、ヤツらの計画では、「提出されている書類の確認」との名目で担当者を呼び出した上で、たまりたまった様々な疑問についてもぶつけてみるつもりでいるようだ。

「図面が無いってわかってたんやったら、支払いを拒否できたってのに。しかもB建築設計は図面がないことを知っていた訳やん。」

ずいぶん乱暴なまとめ方ではあるが、確かに、B建築設計からは以前に、「C技研から『理事への報告・了承済』と聞いていたので、(昨年3月の)精算時、特には確認しなかった」との書面を受け取っている。つまり精算の時点で、B建築設計は、タイルの図面がないことをC技研から聞いて知っていた。それなのに、「理事に報告・了承済み」との話を信じて、特には確認しなかったとのことだった。

「C技研の説明を鵜呑みにして、図面の確認もせず、支払いのストップもさせへんかったんやったら、監理の仕事自体ができてなかったってことになる。」

マンションの住民にも参加を呼び掛けて、B建築設計の担当者を吊し上げにするつもりでいるらしい。わが妻ながら、まったく恐ろしいことを思いつくヤツだ。

そしてさらに、B建築設計からの聴き取り調査を前に、管理会社のK青年から、新たな情報が飛び込んできた。

「施工当初の不良の有無についてですが、前回の理事会でも報告いたしましたように、S建設には、『タイルの図面』の代わりに『下地の補修図面』で確認できないか、申し入れておりました。S建設が『下地補修図』およびその『数量明細表』の確認を行ったところ、整合性が取れない部分があるため、新築時の施工不良の確認は出来ないとの回答がありました。取り急ぎ、報告させていただきます。」

妻はメールを返信する。
「ご報告ありがとうございます。整合性が取れないとは、つまり下地の補修図面にも問題があるということでしょうか。」

K青年からは、すぐに返事が返ってきたそうだ。
「下地の補修に関しては、外壁の下地補修の詳しい内容・補修数等が明記された明細表と、その明細表の内容に対応して、具体的に建物のどこを補修等したかというプロット図というものが提出されています。その明細表とプロット図を照らし合わせて確認したところ、一致しない箇所が幾つか見つかりました。これついてはB建築設計にも伝え、確認してもらっています。」

つまり、「タイルの補修図面が未提出」であるだけでなく、「下地の補修図面にも不備」があると判明した訳だ。

「B建築設計もS社の建築士も、なにをチェックしたって言うんやろ。」
妻はため息をつく。
無理もない。先日の理事会でK青年から、
「『タイルの図面』以外の提出書類についてB建築設計に確認を行ったところ、問題はないとの回答でした。念のため、弊社の建築士も確認を行っています。」
との報告があったばかりなのだ。
「C技研もC技研やけど、B建築設計もS社も、図面チェックの仕事をまともにやってなかったってことやね。ともかく、担当者との面談の前に、このことがわかってよかった。これもちゃんと確認しとかんと…。」

引っ越しの準備もそこそこに、妻は、B建築設計の担当者の吊し上げ計画に余念がない。

(photo by photoAC)

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