【図面を取り戻せ!~大規模修繕後の戦い】39.弁護士無料相談(K西弁護士 2019年3月29日)(その1)

そして翌日、荷造りに悪戦苦闘している僕を尻目に、妻は意気揚々と出かけていった。今日の相談にはひげ面のNさんと沈着冷静なS井さんが付き合ってくれるらしい。

「…図面の未提出から生じた以上の疑問を、B建築設計の担当者に確認したところ、『監理の仕事をしていなかったと言わざるを得ない』、つまり『業務不履行を認める』とのことでした。」

場数を踏んだ甲斐あって、ヤツの説明は、なかなか手際の良いものだったようだ。
相談にあたってくれたのは、大手弁護士事務所に所属のK西弁護士。まだ若手だが、建築関係の問題を主に扱ってきたとのことで、頼もしい。

「まず、下地の補修図面が不完全で、タイルの補修図面が未提出ということは、実数精算分の施工がきちんと行われているか、確認できない状態ということですね。しかも、その金額の算出根拠もわからない。」
「B建築設計の担当者は、そのように認めています。」
と、妻。
「それならば、まずはC技研に正確な図面の提出を求めることが考えられます。その上で、どうしても図面が提出されないなら、この分の工事代金については、返還を請求することが可能でしょうね。『不当利得の返還請求』ってことです。タイルの補修も下地工事も、まったくやってないってことはないでしょうから、相手方としては『ここまではやった』と、精一杯証明しようとするでしょうけどね。」

先日のI田弁護士がかなり慎重な姿勢だったのに対し、K西弁護士は、かなり積極的にマンション側の主張を支持してくれたそうだ。

「で、C技研が図面の提出にも代金の返還にも応じなかった場合ですけど、監理の契約相手であるS社か、その下請けのB建築設計に同じ金額を請求することも可能です。その場合は『損害賠償』ってことになりますね。」
「監理だと、どうして『損害賠償』なんですか?」
S井さんが尋ねる。

「工事代金の精算時ですが、図面が提出されていないなら、マンション側は、支払いを拒否できた。それなのにB建築設計はその注意喚起を怠っています。これについての『業務不履行』を認めているなら、その結果起こったことについての『損害賠償』が請求できると考えられます。」

「つまり、『同時履行の抗弁権』を行使させなかった事についての『損害賠償』ってことですねっ!」
妻は勢い込んで尋ねる。
「そういうことです。」
「『図面を出して、そうでなければ、誰かがお金を返して!』って言えるってことですか。」
「そう考えていただいて構いません。」
妻たち3人は顔を見合わせる。
B建築設計に「業務不履行」を認めたさせたことについては、監理契約の費用を返金させる以上の大きな意味があったようだ。

そして話は、この「監理契約の費用の返還」に進む。

「監理の仕事自体についてですが、図面についてだけでなく、工事自体の監理業務を行っていない、つまり『業務不履行』を認めているなら、『不当利得返還請求』が可能です。」

「こちらは、『やっていなかった仕事の報酬を返して』ってことですね。」
「そうですね。支払われたコンサルタント業務費2,200,000円のうち、少なくとも工事監理業務費858,000円については、かなりの部分の返還を求めることも可能と考えられます。」
妻が質問をする。
「現時点で、S社は、『図面を提出させる義務を怠った』として、100,000円ほどの業務費の返還を申し出てきているんですけど、もし今後図面が提出されたら、それは受け取ることができなくなるんでしょうか?」
「いえ、そんなことはありません。」
K西弁護士は明解に答える。
「既に、管理組合がC技研にコンタクトして、直接の交渉に入っている状態です。今後図面が提出されたとしても、S社やB建築設計が『させた』とは言えない状態。なので、この分の返金も求めてもよいと思いますよ。」
前日の聴き取りの際、M本氏からは「仕事の不備については、返金も含め、補償の内容を検討する」との言葉を、既に引き出している。B建築設計との交渉については、強気に進めていくことが出来そうだ。
「返金されたからって相手方の責任が無くなってしまうわけではありませんが、ただ、下手にお金を受け取ってしまうと、『今後一切の請求権を放棄します』なんてことになってしまいかねません。図面が不完全であることからの損害賠償請求権を無効にしないためにも、この段階の交渉には、弁護士を入れることをお勧めします。」

(photo by photoAC)

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