【ある「元」大手管理会社取締役つぶやき その27】マンション関連ソフトの革新(組合会計)

 

- 【ある「元」大手管理会社取締役つぶやき その27】マンション関連ソフトの革新(組合会計)~これからのITシステムは『所有』から『利用』へ~

 

これから3回わたって、管理組合業務のIT化について触れてゆきたいと思います。

東京オリンピックを控え、昨今は空前の求人難です。事務管理業務の合理化は、いかに人手を省けるかが鍵です。そう、IT化が鍵となるのです。

先ずは組合会計業務に関する提言です。

分譲マンション大手管理会社は、従来自社独自のマンション会計ソフトをソフトハウスに注文して開発するのが主流でした。
これを自社の業務処理の流れや、時代の要請、マンション管理適正化法などの法令や省令に沿った形で随時カスタマイズ(改良)しながら会計業務を行ってきました。

しかし、これには初めに膨大なシステム開発コストが発生します。
そして法令改正等に沿って随時カスタマイズするコストもばかになりません。
さらに、これを維持して動かし続けるためにも毎月の保守料がかかります。

最近では、たとえ大手管理会社であっても、自社が独自の業務処理の流れに沿って独自のソフトを開発、維持していくことが、非効率であると認識し始めたようです。

管理物件の増大や業務上の要望によって、いつかは旧来の会計ソフトをベースとした、つぎはぎだらけの追加開発では対応し切れなくなります。
とは言え、これを一から作り直すには何億もの開発費がかかってしまいます。

そしてそれが万一きちんと機能しないような事態に陥れば(大きなシステム開発となるほど一発で問題なく機能することは稀です)大変な問題に発展します。

現に大手管理会社の数社は、システムの全面改訂を試みながらも十分な機能が発揮できず、新しいソフトへの移行に失敗した苦い経験を持っています。

失敗を取り戻すため、システムの全面改訂を外注先のソフトハウスに任せるのではなく、自社のシステム開発部門へ内製化しようと試みたり、ソフトハウス自体を企業買収してこれに開発を担当させたり、自社開発にとことんこだわるという悪循環に陥ります。

これらの動きは、現場にさらなる混乱を招きかねないとわたしは危惧しています。

マンション会計ソフトを提供する大手システム会社は国内に数社存在します。
多くのマンション管理会社に販売して、長年そのサポートや各社の要望に応じたカスタマイズ機能を基本ソフト(既製品の部分)に搭載するという経験をしているため、その実力は相当なものです。

多くの管理会社からの「こんな機能がほしい」との過去の要望に応じて、オプションで様々な機能を開発済みです。
「うちのやり方は独自だから、自社開発でないとだめだろう。」と思っている管理会社のシステム担当が、舌を巻くほど多くのオプション機能を裏で用意しているのです。

当然他社ですでに稼働実績のある機能ですから、新規開発にありがちな思わぬトラブルは起こりません。
これら特殊な機能は、簡単に選択して既製品に加えることができます。

今まで自社開発ソフトにこだわっていた管理会社のシステム担当が、マンション会計専用ソフトを商品に持つシステム会社と協議する過程の中で、自社がこだわっている業務の手順が、実は他社の例に倣った方が合理的だった、という発見も多いと思います。

自社開発でガラパゴス的な進化(進化と錯覚しているが実は退化かも知れません。)を遂げてきた自社開発ソフト路線の管理会社にとっては目からウロコですね。

既製品のソフトは法令改定等に即した機能変更等も迅速に対応します。
当然特殊なソフトですから安価ではありませんが、自社開発する費用とは雲泥の差です。
これに大手管理会社も着目して、次々と自社開発ソフトの維持・更新を取りやめて、既製品の定番システムをベースに、自社向けに改良・変更して利用する流れが加速しているのです。

それでも大手管理会社が利用する定番のマンション会計ソフトはとても高価で、中小の管理会社には重すぎる設備投資です。中小のマンション管理会社をターゲットとしたマンション会計ソフトもいくつか存在しますが、機能面では大手の定番ソフトには相当見劣りしてしまいます。

そのため、小規模な管理会社では、今でも企業会計ソフトでデータ処理して、結果を表計算ソフトに入力し直して管理組合に提出しているところまであります。

パソコンで打ち出したはずの決算書がバランスしていない等の笑えない誤りも発生します。

ここにきて朗報です。小規模な(受託戸数が数千戸レベル以下)管理会社や、自主管理で運営している管理組合に向けた、新たな会計システムが利用できるようになりました。

大手のシステム会社が開発した定番のマンション会計ソフトを基本機能に絞って、安価に利用できます。

月額の利用料金制で、初期費用はシステム設定費のみと廉価です。
カスタマイズは受け付けない完全な既製品ですが、十分な機能を持っています。

管理組合や管理会社だと、最低だと月額数万円からサービス提供しています。管理戸数が増えると利用料金が多少見直しとなりますが、これなら会計業務のノウハウが無いからと自主管理を断念していた管理組合も利用を検討できますね。

このシステムはクラウドのデータセンターで運用されるため、利用者側でデータサーバーを購入・保守・更新・アップグレードしたり、入力データのバックアップを取ったりする必要もありません。
大手企業が運用するデータセンターを活用することで独自には困難な高いセキュリティを活用できます。

さらに、クラウドの利点である、モバイルパソコンやタブレットからもネット環境があればアクセスできる環境のため、組合会計担当が在宅勤務で自宅のパソコンから会計データを入力することも可能です。

中小の管理会社にとって、組合会計の合理化が先行コストをかけずに実現する夢のようなシステムだと思います。優秀な専用ソフトの導入で組合会計担当者の担当物件を増やすことができそうです。
自主管理で自ら会計業務を行いたいと思っている管理組合にも朗報ですね。

今回のコラムで取り上げた内容については株式会社システムサポート22(03-5472-4800)のご協力をいただきました。

マンション管理会社の役員という立場を離れてこの業界を眺めると、大企業の系列管理会社であっても決して管理組合にあからさまに語ることのできない、裏の一面を各社隠し持っていることがわかります。匿名だからこそ本音で、時にはきわどい発言も続けてゆき、マンション管理組合の運営がより実りあるものにできたらと思います。

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