【授業のポイント】
- 修繕積立金不足に陥るマンションが続出
- 築12年目の大規模修繕工事は必須か?
- 長期修繕計画ではなく、長期修繕『積立金』計画
こんにちは。この授業を受け持つ古老丸五郎です。
先日、ある理事長から、このような相談を受けました。
「築12年目となる来年に計画されている大規模修繕工事の見積もりが管理会社から提示されました。ストックされている修繕積立金ではとても足りないので、借入の提案も受けました。どうすればいいのでしょうか?」
物件の売りやすさが優先され、販売当初に低く設定された修繕積立金のしわ寄せや、昨今の建築費用の高騰で、修繕積立金不足に陥るマンションは少なくありません。この突然の通告を受け、理事長の耳にはノーサイドのホイッスルが鳴ったことでしょう。
私は質問しました。
「なぜあなたは、築12年目に大規模修繕工事を行う前提でいるのですか?」
すると、理事長はこう答えました。
「管理会社から大規模修繕工事の見積もりを出されたので…。」
私は質問を重ねました。
「そもそも管理会社から、建物の劣化が激しく工事をしなくてはならない、と説明されたのでしょうか。何か根拠は示されたのでしょうか。」
答えは、ノーです。
よくよく考えたら、「長期修繕工事が12年目に計画されている」ことを言われた、とのことです。
わかります。
マンション管理のプロに長期修繕計画を見せられ、そのようなことを言われれば、計画通りに進めなければならないって思うのは当然です。
私はこう聞きたくなるのです。
「あなたは医者から大手術を勧められたら、何の理由も聞かずに受け入れますか?」、と。
そもそも、全身麻酔を打って一気に手術をする必要があるのか?
痛みが激しいところだけを部分的に治療すれば大丈夫ではないのか?
もしかしたら、実は単に年をとっただけで、健康体なのかもしれませんよね。
ここで「長期修繕計画」について少し考えたいと思います。
長期修繕計画とはその名の通り、あくまでも計画であり、マンションの建物や設備をだいたい何年ごとにいくら位かけて修繕すれば良いかの『目安表』です。
その目安から逆算して、皆さんが毎月支払っている修繕積立金がこのままで足りるのか?足りなくなるなら「何年後に」「いくら位」不足するのか?将来足りなくなる修繕積立金を今からどうやって用意するか?を考えるためのシミュレーションです。
管理会社は「長期修繕計画」って言ってますけど、「長期修繕『積立金』計画」と解釈していいと考えます。
管理会社はなぜ、大規模修繕工事を経過通りに進めたいのか。そもそも大規模修繕工事が12年目に必要なのか?
こちらについては、次回担当の講師にスクリューパス!
修繕積立金はどれだけいるかなどは、だれにもわかりません。
長期修繕計画も、高齢化による職人不足を考慮すると、絵に描いた餅です。
国土交通省が言う12年も根拠はなく、施工に問題がある新築マンションでは、もっと早く、しっかりした施工をしたマンションならば、先延ばしできます。
そのマンションに合った修繕をすれば良いのですが、不要工事まで含めた大規模修繕は、時代遅れです。
マンション管理士はたくさんのマンションを見ているはずですから、そのマンションに合った修繕を提案してほしいと思います。
まさにその通りです。
いつもコメントありがとうございます。