【深山州のゆる~いマンション管理コラム6】はじめてマンション管理で「お、お前、ふざけんな!」と激怒したとき
はじめに言っておきます。
私は滅多に怒りません。怒っても露わにすることはありません。(あくまで自己評価)
これが最初で最後の「激怒」です。(多分)
そんな私14年前。28歳の夏。
その頃、私は新卒でお世話になった不動産仲介業を退職し、某大手管理会社に転職して、フロント担当者として1年が過ぎていました。
「管理組合というものの実態」を理解し始め、「管理会社の業務」についても理解が深まってきた頃。
もともと管理会社での日々は「マンション管理士として独立するための修行」のつもりで転職したため、見るもの聞くものすべてが面白く刺激的で、マンション管理にハマり、のめり込んでいました。何時間残業しても、休日出勤しても、家で何時間予習復習しても、全く飽きることがありませんでした。
そんなある時、担当するマンション管理組合で、管理費会計でもなく、修繕積立金でもない「第三の会計」すなわち「ゆとり会計」制度を創設しませんか?と提案したことがありました。
ゆとり会計とは、簡単に言うと
「付加価値向上(バリューアップ)のためにだけ徴収し、支出できる会計」
という定義です。
管理組合の会計は、マンションの「生活費」に当たる「管理費会計」と、「古くなった建物や設備を計画的に改修するための貯蓄」である「修繕積立金会計」の2つあるのが普通です。
例えば「防災を強化したい」「植栽を数年かけて一新し、美しく保ちたい」「エントランスホールなど館内をオシャレにしたい」と思ったとき、管理費会計の中の「消耗品費」「備品費」「植栽費」「小修繕費」と言った科目から支出するのが一般的です。
しかし、それぞれの科目は、もともと予算の枠が決まっているうえに予算額が少ないのと、年度単位でその時の理事会が予算を決めるため、科目ごとに予算が余っても翌年には一旦リセットされてしまう(ゼロベースで予算を組みなおす)ことになりますから、継続的にお金をかけて成果の出るバリューアップやまとまった予算が必要な付加価値向上を検討することは、予算的に非常に難しいのです。
そこで、「バリューアップ(付加価値向上)のためだけにお金を貯めて、バリューアップのためだけにお金を使える会計(お財布)を一つ作る」ことを提案したのです。
生活費目的(管理費会計)でもなく、将来貯蓄(修繕積立金会計)でもなく、まさに「ゆとり」のための会計。
生活費にも将来貯蓄にも使われない、独立したお財布を持ちませんか?と。
、、、と、そんな思想を持って理事会へ提案したところ、「面白い」という話になり、手応えあり!と喜び勇んで会社へ持ち帰った、その夜です。
当時の上司に対して、この「ゆとり会計」を作りたい、と相談した時でした。
まさに意気揚々。
あっさり。
な、な、な、何だと!こんにゃろ(怒)
お、お前、ふざけるな!(怒怒怒、ココロの中です)
今思えば、もう少しアプローチの仕方を変えれば良かったか、、、私は基本的に根回しが下手(と言うかほとんどしない)で、思い立ったらすぐに動く、動いてから相談する、という、会社人失格の仕事ぶりでした(笑)
いまは、提案の仕方は反省しています(笑)
しかし、この件を通じて、
「マンション管理業界はコンサバ。自分が考えた想いを貫いて達成するためには、管理会社の従業員では無理であることを痛感し、一日も早くマンション管理士として独立して、自分の提案したいことを自由に貫く環境を作るぞ!」
と決意を新たにしました。
その当時の「お、お前ふざけんな!」のお陰で、5年後に「マンション管理士」(㈱メルすみごこち事務所)を作ったあと、2016年(平成28年)には「理想を目指す管理会社」(㈱クローバーコミュニティ)そのものも作ってしまったのですから、いま振り返れば、とても意義のある「お、お前ふざけんな!」でした。怒りは、時において「大きな推進力」になるのですね。
アホな私でも「お、お前ふざけんな!」のお陰で、一貫性を持って続けてこれた運のよさに感謝しています。
また、私の多動性(落ち着きの無さ)も、今ではホリエモンが「多動力」として肯定的に訴えていてくれるおかげで、自信が確信になっているのはありがたいですね。
深山 州(みやま しゅう)
※㈱メルすみごこち事務所:代表、㈱クローバーコミュニティ:共同代表
この「マンション管理組合の学校」発起人の一人で、マンション管理士(メルすみごこち事務所)とマンション管理会社(クローバーコミュニティ)の代表。まわりが勝手に「すごい人」と誤解しているが、実はマンション管理や修繕の専門知識は高くない。とにかく仕事もプライベートも理事会も「楽しく」「新しい」ことを考えていないとアタマが腐ってしまうので、取り扱い注意。『怪しい経歴書』はあまりに文が長すぎて誰も見る人がいないとか。