メルすみごこち事務所のメル夫です。今回は地域マンション管理市民相談会を通して、「これは素晴らしい」、あるいは、「これはためになる」と思ったことをリポートさせて頂きます。よろしくお願いします。
上の階の子供の足音
メル夫が担当したのは、築30年の小規模マンション(総戸数30戸)の管理組合理事長のAさんです。
理事会監事のBさんが2階に住んでいるのですが、4階にお住いのCさんの子供たち(6歳と3歳)が、3階の祖父母のお宅に良く遊びに来て騒々しい足音やドアの開閉音を発し続けるため眠れなくなり、精神的に病んでしまったそうです。
Cさん宅に行って苦情を言い、Cさんも「言っておきます」といってくれたのですが改善の兆しがありません。
騒音がすると窓を開けて「うるさいぞ!!」と怒鳴るのですが効果はないそうです。
理事会の中で話をしても、「個人的な問題ではないか」と話しになりません。何か良い助言を頂けないかとのとのことでした。
騒音は本当か
相談を受けた理事長のAさんは、実際に音がしているBさんのお宅に行ってみましたが、たしかに通常の生活音をはるかに超える音のレベルだったそうです。しかし、Cさん宅を直接訪問して話をすることはしませんでした。相手は子供ですし、個人の問題なのでどう対応して良いかわからなかったためです。
騒音の問題は管理組合の問題
まずメル夫は、これは区分所有法57条で規定されている共同の利益に反する行為であり、あきらかに管理組合の問題であると認識すべきではないかと言いました。
次に、騒音の原因は特定されており、親御さんであるCさんやそのご両親に状況を理解いただき、しかるべく注意と改善指導をお願いすべきであると言いました。Bさんが当該騒音を録音し、理事長を伴ってCさん宅を訪問し、状況のご理解と改善をお願いすことが必要ではないでしょうか。
理解した理事長でしたが、「実は、ほかにも困ることがあるので、広く注意喚起する手立てはないか?」と尋ねます。
理事会で問題提起
理事長のお話では、ベランダで鉢植え程度ならまだしも、大規模なフラワーガーデニングをやっている方がいて、ミツバチが大量にやってきて困っている、とのことです。
そこでメル夫は、このようなケースにおいて他の管理組合でもよく提案している「広報の全戸配布」を提案しました。
全戸に生活マナーの改善に関する注意書を広報にまとめて配布し、注意喚起する方法です。
具体的には、
「組合員の皆様やご家族の中で、お部屋の中で大きな声を出したり、大きな音を出して歩いたりしていませんか?マンションは共同生活なので、下の階の方のご迷惑にならないよう生活音にご配慮願います。」
「ベランダでガーデニングをされるとミツバチがやってきて、マンション住民に迷惑となります。大規模なガーデニングはベランダの用法にも反しますので、規模を縮小する等ご配慮願います。」
といった内容です。
新しい入居者用ガイドブック
メル夫は、他のマンション事例として、新たにマンション管理組合員になられた方のための「マンション生活ガイドブック」をお見せしました。
そこには、マンションは管理が大切であること、マンションの管理が不動産の価値評価に繋がるということ、管理には建物の管理(ハード面)と管理組合員の生活マナーやコミュニケーション(ソフト面)があり、両方が大事であることが書かれています。
そして、生活音に関して次のように注意を喚起しています。
マンション内ではマナーの遵守を。トラブルや不快の原因とならないための3つの対策
- 小さなお子様の足音は意外と大きな音となります(敷物や靴下を履いて歩くと音が減ります)
- 大人の方は柔らかなスリッパを。ドアの開閉音も意外と響きます。
- 近隣の方と入居時に挨拶を! コミュニケーションをとってください。
メル夫の気づき
メル夫は「子は親の鏡」という言葉を思い出しました。
生活習慣というものは、親の毎日のしぐさを見て知らず知らずのうちに身につくものです。そして他人から指摘されない限り自分では気が付かないことが多いのです。
●大きな声で話す人
●動作音が大きい人(歩行、階段の昇降、ドアの開閉等)
●食事マナー
どれも他人から見れば迷惑・不快となりえますが、生まれつきそれらに無関心な家庭に育った方は気がつかないのです。その概念すら理解できないかもしれません。
つまり今回のお子様は、大変失礼ながら、生活音への配慮に関しては無関心なご家庭に育った可能性があり、全く気がついていない可能性があるのです。まずは親御さん、そのご両親に録音等で騒音の実態と「理事長の客観的な評価」を理解いただき、そのうえで生活音対策を講じる必要があるのではないかと思い、そのような助言をさせていただきました。
騒音問題は、放置しか方法はありません。
と、言ってしまうと終わりですから、おっしゃる通りルールだけ定めて、終了にしましましょう。
でも、終わりません。
最終的には、加害者か被害者に出て行ってもらいましょう。
それでも終わりません。 新入居者がもっと困った奴かもしれません。
このように、騒音(マナー)問題解決は、極めて困難です。
管理組合が間に入ると、もっと面倒なことになりますから、管路組合ができるのは、おっしゃる通り、生活マナーの啓蒙しかありません。
お粗末で、申し訳ありません。
若気の至りで、マナー問題では、加害者になったこともあります。 35年ほど前です。