【マンション管理士おさらぎブログ】マンション管理士に将来性はあるのか?(その1)

マンション管理士(以下、「マン管士」)試験合格を目指す方より、マン管士の将来性について尋ねられました。

「マンション管理士 将来性」でググれば諸説ヒットしますが、都内の有名なマンション管理士事務所で3年勉強させてもらった経験をベースに、マン管士の実態を赤裸々に語りつつ、その将来性について自説を立てたいと思います。これからマン管士を目指す方の何かしらの参考になれば幸いです。

マン管士の将来性、結論から言えば「あり」です!

 

マン管士の人気

マン管士の受験者数は年々減少傾向にあります。比較的歴史の浅い国家資格ですが、試験がスタートした平成13年に9万6千人だった受験者数は、2018年度1万2千人と、ピーク時の8分の1まで減少しています。

合格率は年度によって変わりますが、7%~9%と1桁台は確実で、試験合格は容易ではありません。(私も相当苦労しました)

なぜ人気が落ちているのかの真実はわかりませんが、私が思うに、マン管士の仕事だけでメシを食うのが難しいからだと思います。マン管士は弁護士に代表される士業でありながら、「マン管士じゃないとやっちゃいけない」という業務がありません。

その資格がないと困る、という状況が世の中にないということは、「必ずある仕事が保証されない」ことを意味し、それは、つまるところ、年収にも影響しているように思います。経営・幹部層なのか、フリーランスなのか、はたまた一般職なのかでもちろん年収は変わりますが、ググってみれば相場は300万~500万程度とあり、これを見る限り夢が膨らむことはありません。(私は畑違いの本業の収入のみで、無料で勉強させてもらっている身なので参考になりません)

 

 

マン管士のしごと

この世界に足を踏み入れて初めて分かったのですが、あれだけ苦労して得た専門知識であっても、実践とは全くのベツモノと言わざるを得ません。私のようなマンション管理業界の経験のない、いわば素人が国家試験に合格したからといって、「さぁ、マンション理事会(規約で定められたマンション管理組合における業務を執行する組織)の支援を今日からどうぞ」というような甘い世界ではありません。

理事会がマンション管理会社と契約しているにもかかわらず、なぜマン管士とも契約するのか__。

その理由の一つに、マンション管理のプロの目利きに期待している、があるでしょう。理事会はマンション管理に関して基本的に素人の集団であるため、質の高い管理業務にに加え、充実したマンションライフを送るための提案を必要としています。そのため、「管理会社が言っていることがすべてなのか?」という判断を求められることがあります。

理事会の中でよく耳にするのは、「●●さん(マン管士さん)、このケース、ほかのマンションではどうですか?」です。
この期待に即座に応えるためには。少なくとも管理会社のフロント担当より豊富な知識と経験が必要となるわけです。

 

マン管士に求められるスキル①

知識以上に必要なものはファシリテーター(促進者)としての資質です。これがないと、マン管士として失格、と言われても仕方ないと思います。

理事会は職業や立場の異なる者が一堂に会する場であるため、住まいに関する考えや価値観も当然ながら異なります。会社組織と違って上下関係がないため、上席者が独断でズバッと決める、というわけにもいきません。

そもそも義務感だけで理事を引き受けている人が多く(ほとんどと言っていいかもしれません)「理事会に覇気がない」「そもそも理事会に人が集まらない」などの悩みを抱える管理組合はざらにあります。また、理事長がやる気を出すのは素晴らしいのですが、仲間の巻き込みが上手でないために空回りし、孤立してしまうケースも珍しくありません。

  1. 「マンションの資産価値を向上させる」という共通の目標に向かい、どう一丸となって取り組んでいくのか
  2. どうせやるなら理事会活動を楽しみながら、住人も巻き込んでマンションライフをエンジョイするにはどうすればいいのか
  3. 理事のメンバーが入れ替わっても、そのような前向きな活動を継続させるためにはどのような仕組みを取り入れればいいのか

マン管士がリーダーシップをとるのではなく、理事のメンバーに気づいてもらうように誘導する力が問われます。理事会に向かうべき共通の目標イメージを持ってもらい、全員のやる気(モチベーション)を引き出すのです。

これは、知識や経験とは別の資質と考えます。

 

 

マン管士に求められるスキル②

さらに必要なスキルとして、情報発信力があります。

マン管士はマンション管理会社と違って、基本的に「ないと絶対的に困る」という立場ではありません。マンション管理会社がないと自主管理となってしまい、住人の負担が増えて万人が困ると思いますが、理事会支援の必要性に迫られている、となると万人とまでいかず、そもそもその必要性に気づいていない管理組合もたくさんあるわけです。

そうなると、「マンション管理士事務所です」と単に看板を掲げて営業を始めたところで、砂漠の真ん中に店を開いているようなもので、まずをもって仕事が入ることはありません。
そこで、ホームページ、ブログ開設のほか、Twitter、Facebookに代表されるSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)、メディアの活用等で情報発信をし、顧客の共感を得て商売をする必要性が生じるのです。

私もマンション管理事務所の門戸を叩いた時に、週3回のFacebook更新を義務付けられました…。

(暗い話ばかりで、どこが「マン管士の将来性あり」なんじゃ!という内容でしたが、次回、”怒涛の反撃の巻”をお伝えします)

One thought to “【マンション管理士おさらぎブログ】マンション管理士に将来性はあるのか?(その1)”

  1.  マンション管理士は、法令解釈より、そのマンションのあった管理がどのようなものか、分からなくてはなりません。
     その意味から行くと、区分所有者や住民に必要な資格です。
     誰も、自分のマンションが「管理不全マンション」にはしたくありません。
     ところが、マンション管理士は、業務独占資格と勘違いしている連中さえいます。
     管理会社のマンション管理士などは、利益相反を伴いますから、マンション管理士資格を取得すれば、管理会社から離れなければいけないと感じています。
     マンション管理士は、もっとマンションの事を知らねばなりません。
     それには、「現場百回」しかありません。

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