「滞納者の氏名公表は名誉棄損に当たるか」
マンション内における名誉毀損に関するコラム全第3回の最終回です。
理事会での公表
理事会は、特定少数の理事によって構成されますので公然性が認められにくいものといえます。したがって、総会とは異なり名誉毀損による不法行為が成立する可能性は低いといえるでしょう。
もっとも、理事会の議事録を住民に配布する組合も存在します。その場合には、例えば氏名・部屋番号等の個人の特定が可能になる記載を黒塗りしたうえで配布する等の一定の配慮が必要になります。
結論
管理費等の滞納の事実の公表は、当該区分所有者の社会的評価を低下させるものとして、名誉毀損による不法行為が成立する可能性があるので、慎重に判断する必要があります。
もっとも、その滞納期間が長期間にわたる場合には、集会の決議等公表に至るまでの事前の手続を適正に行った上で、管理費の支払を促す目的のもと、滞納区分所有者の所有部屋番号や氏名、滞納期間や滞納金額等の必要最低限度の情報について、マンション内の住民しか閲覧できない方法などの一定の配慮をした上での公表であれば、名誉毀損による不法行為は成立しないと考えられます。
この場合にも、管理組合は、これまでご紹介した裁判例で触れられているような判断要素を十分に考慮し、不法行為の成立のリスクを慎重にコントロールする必要があります。
マンション管理に関する事件は既に10年近く、管理費滞納の問題や駐車場の問題、管理費等の値上げや公平性の問題、共用部分の利用方法の問題、(大規模)修繕の問題、総会決議の瑕疵の問題など様々な問題を扱ってまいりました。川崎で法律事務所を代表として経営しています。https://www.kawasakiphos-law.com/
氏名公表をするのは、よほどのことでない限り(悪意の滞納)でない限り、辞めた方がいいです。
理事会等限られた方が知る場合でも、守秘義務を説明し、他言しないことと、資料も回収した方がいいと思います。
氏名公表は、故意の未納(悪意の未納)の場合は、即座にすべきです。
待っていて、解決はしません。
その場合は、管理会社が重要事項説明書通りの業務を行っているかも確認しましょう。
倒産失業等の経済変化に伴う、やむを得ない未納の場合、分割、延納も考慮すべきです。
他人を見抜くのは難しいですが、仏の心眼ををもってすれば、出来ないことはありません。