【マンション管理士ふくろうの実践コラム】マンションの漏水事故対応について②

今回は【各種費用と保険との関係】です。

漏水箇所の調査費用

ほとんどの管理組合では様々な事故に対応するため、マンション保険として火災保険、施設賠償特約、個人賠償特約等に(名称は保険会社による)加入しているのが一般的です。

1)漏水箇所が明らかでない場合に漏水箇所を調べるための「水漏れ原因調査費用」は、管理組合加入のマンション保険の適用がありますので保
険会社に契約内容の確認をして下さい。
・多くの場合は年間限度額が100万円です。
*漏水箇所を調べるための費用なので、結果として漏水箇所が専有部分であったとしても、当該専有部分の居住者等に原因調査費用の請求はありません。

2)漏水箇所が専有部分の給・排水管やウッカリミスであった場合

①専有部分内の漏水箇所の修理・復旧費用は居住者の負担です。
・マンション保険の適用はありません。

②居住者には被害者への損害賠償責任(原状回復費用)が発生します。
・マンション保険の個人賠償特約にて保険の適用があります。(但し契約により一部負担がある場合もあります)

3)漏水箇所が共用部分で給水管・排水管であった場合

①漏水箇所である配管の修理費用は管理組合の負担です。
・保険の適用はありません。

②被害者への損害賠償責任(原状回復費用)が管理組合に発生します。
・マンション保険の施設賠償特約にて保険の適用があります。

4)漏水箇所が共用部分でも屋上や外壁などからの雨水の侵入の場合

①漏水箇所の修理費用は管理組合の負担です。
・保険の適用はありません。

②被害者への損害賠償責任(原状回復費用)が管理組合に発生します。
・雨水の侵入による損害賠償責任には保険の適用はありませんので、被害者への損害賠償費用も管理組合の負担となります。

5)漏水箇所が専有部分なのか、共用部分なのか特定できない場合

①この場合は上記2、②の通り管理組合の責任となりますが、原因箇所が不明なため修理費用は発生しないのが普通です。

②被害者への損害賠償費用は管理組合の負担となります
・マンション保険の施設賠償責任特約の適用があります。
※通常は漏水事故に伴う被害者への慰謝料・迷惑料等はありません。
※マンション保険の内容は各社微妙に異なっていますので事故発生の際は保険内容につき必ず保険会社(代理店)にご確認下さい。

 

 

高経年マンションは保険への加入も大変!

近年、マンション保険の保険料が高騰しています。これは高経年マンションの漏水等の事故が多発している事が原因とされており、保険会社によっては高経年マンションからの新規申し込みには消極的で、意識的により高額の見積り金額を提示して受注しないようにしているとの話も聞こえています。

漏水事故が頻発する様なマンションでは、保険会社にも敬遠され、最悪、保険契約も出来ないという事もあり得ますので、改めてマンションの維持管理は管理組合の主業務であることを再認識し、建物・設備等は劣化状況に応じた対応を着実に実施していくことが必要です。

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