【マンション管理士ふくろうの実践コラム】「通常の使用」と経年劣化

専用使用権のあるバルコニー、玄関扉、窓枠、窓ガラス、1階に面する庭、屋上テラスなどの専用使用部分の管理と負担の関係について、前回は「通常の使用に伴うものと自然災害」について複数の見解について紹介させて頂きましたが、今回は「通常の使用に伴うものと経年劣化」の関係です。

経年劣化による不具合への対応

経年劣化に伴う窓サッシの開閉の不具合やすきま風などへの修繕は、誰の責任と負担で行うべきなのでしょうか。

自然災害による被害と同じように経年劣化による不具合は、通常の使用に伴うものではないという考え方と、それは通常の使用に伴うものとする考え方がありましたが、平成21年12月に仙台高裁にて経年劣化による不具合は、「通常の使用に伴うもの」との判決がありましたので、経年劣化による不具合対応は使用権者の負担としてよいと思われます。

参考判例
経年劣化に伴う改修費用の負担は専用使用権者(仙台高裁判決・平成21.12.24)

概要
「特定の専有部分内のサッシの経年劣化に伴う不具合部分の修繕費用を管理組合が負担したのは規約違反であり、当該専用使用権者が費用負担すべき」とした仙台高裁判決を不服として区分所有者が上告したが、最高裁は上告理由がないとして不受理としたため、仙台高裁判決が確定した。

判決主旨
「サッシ等の部分は専用使用権者以外の者が日常的に使用するものとは認められず、また、日常的な使用に伴って必然的に劣化していくものと考えられるのであるから、これらの部分の劣化は、専用使用権者の通常の使用に伴うものと認められる」とし、経年劣化は通常の使用に伴うものとしました。

また、「通常の使用に伴わないもの」とは「計画的な一斉修繕や、住宅の性能向上のために一斉交換する場合」などをいう、としました。

しかし、通常の使用に伴う管理であっても、これを管理組合の負担で行うことにつき総会決議があれば、その決議に従い管理組合の費用で行うことができるとしていますが、この場合の総会決議は、費用負担につき「個別具体の決議」が必要であるとしています。
したがって、個々の区分所有者が負担すべき部分を管理組合で行うことにする場合には、当該工事の実施及び費用負担等そのものを議案として特定したうえで「総会決議」を経るようにする必要があるようです。

管理会社での勤務経験でもマンションの現場責任者(事務局長)というフロントマン等とは一味違った実務経験者として、マンション管理に悩む管理組合様を支援させて頂きます。

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