【深山州のゆる~いマンション管理コラム22】管理会社の中抜きビジネス「専有部駆けつけサービス」

管理会社がマンション管理組合へ提供する『専有部駆けつけサービス』、あれ、本当に必要ですかね?
という話です。

■『専有部駆けつけサービス』を積極的に利用するマンションの例

多くの居住者がこのサービス内容を正確に理解して、このサービスの存在を常に認知できる状態にしておき、多数の居住者がたくさん使ってくれれば、管理組合としてお金を負担する意味があるサービス、と言えます。
居住者の高齢化が進むマンションでは、ちょっとした力仕事や高所作業は自分では困難ですから、むしろかゆいところに手が届くサービス、とも言えます。

また、私がコンサルタント(メルすみごこち事務所)としてマンション管理士を派遣する約500戸、築15年の大規模マンションでは、「一部の高齢者にとって利便性の高いサービスを、多くの現役世代が支える」という考え方に行きついて、実際の利用者や利用率が低くてもサービス維持を決断しています。
これはこのサービスの「良い使い方」です。ちゃんと仕組みをわかっていて、理事会で話し合ったうえでポリシーを決め、きちんと総会で説明して契約しています。

しかしこのようなポリシーをもってサービスを活用しているマンション管理組合は稀です。
お金を支払う管理組合(理事会)が、このサービスの仕組みと明確な活用イメージ、特定の居住者の利用に偏っても受容できる理由を持っておらず「管理会社から提案され、なんとなく良さそうに感じ、管理費会計も赤字でないから」みたいな理由で契約しているのなら、無駄なサービスです。

管理組合の会計資料を見ると、10件に8件は、名称は管理会社によって違えど、実質的に『専有部駆けつけサービス』の支出科目で、世帯数×250円程度×12か月分の支出がなされています。
50世帯で年15万円、100世帯で年30万円、500世帯で年150万円もの支出です。

このサービス、お客様(理事会役員)へ『何のための支出かご存じですか?』と質問すると、8割方が理解していません。
過去の理事会において管理会社から提案されて契約して以降、毎年自動更新されるサービスの対価ですから、よほど関心がないとわからないのでしょう。

■「専有部駆けつけサービス」とは?

簡潔に言うと、各世帯の部屋(専有部分)の中のちょっとしたお困りごと(照明器具の電球交換や家具の移動・玄関鍵紛失時の鍵開けなどトラブル時における一次対応)に対して、管理会社へ電話すると無料で(または一定回数無料で、あるいは割安で)駆けつけてくれる、「個々の居住者が恩恵を受けるサービス」です。
私はこのサービス、居住者が個別に契約できるなら有益だと思いますが、管理組合が『世帯数×一定額』を支払う点がイケてないと思っています。

■私が「専有部駆けつけサービス」に否定的な理由

私はこのサービスが『管理会社による中抜きビジネス』の一環であることがわかっています。
とはいえ、中抜きであっても多くの居住者が方がたくさん利用しているのであれば良いんです。

本来は受益者負担のサービスであり、かつ『一部のヘビーユーザー』と『ほとんど(まったく)利用しない多くの居住者』とに分かれるサービスのために、管理組合が『世帯数×月額〇〇〇円』を利用頻度にかかわらず一律負担するのは、不公平感が高いサービスではないでしょうか。
町内会費の全戸一律・一斉徴収が判例で認められない世の中において、管理組合の公金を一部のヘビーユーザーの便益のために支出するのは、上述の大規模マンションのような「主体的な意思があり、合意形成ができている」管理組合でなければ、合理的な判断とは言えませんよね?

これが賃貸マンションなら、オーナーである大家さんがほとんど利用しない賃借人のために世帯数×〇〇〇円を払い続ける、という決断はまずしないでしょう。純粋に費用対効果が悪いからです。分譲マンション(管理組合)のオーナーの代表である理事会に『費用対効果』のイメージを持つ方がほとんどいない為に、つい提案に乗って申込んでしまうのですね。

■平成のバブル期に新たな収益源を模索した管理会社

私は、そもそもこのサービスの成り立ちが「管理会社の利益ありき」であり、お客様(=管理組合)の立場に立っていないと考えています。
この「専有部駆けつけサービス」は、大手・中堅の管理会社が、平成の失われた30年の間、管理組合から管理委託費の値下げ要請を受け続けてきたことに対して、利益回復の策として「専有部(居住者)のお役立ち」という名目で商品化されたサービスであり、自社の管理受託先マンションへ一斉提案したものなのです。

このサービス、実際に居住者宅へ駆けつけるのは管理会社の社員ではなく、下請けの専門業者です。管理会社は右から左へと仕事を流すだけでマージンを増やすことができるのです。
そしてこのサービス、たくさんの居住者が多頻度で活用されると、管理会社としては『下請け業者からの請求が増えて利益を圧迫する』ため、困るのです。多数の居住者が沢山利用すると、値上げしなければ継続できなくなるサービスなのです。
「ユーザーにとっては便利だけど、提供者にとっては、できれば利用して欲しくない」ということが言えます。

■なんとなく契約しているなら即解約すべき

このサービス、実態は「サービスの存在を知らない」「どうやって使えばよいわからない」居住者がほとんどです。
管理会社は、サービス提案資料を丁寧に作っていますが、契約後に居住者へ積極利用を促進するわけでもありません。

管理会社からの営業提案に、なんとなく「便利そう」「もしかしたら使いそう」と契約を続けるのはもったいない。
即解約して、管理費会計のストックにするなり、修繕積立金を充実させるなり、管理費徴収額を減らすなりすることをお勧めしています。

ちなみに、私が別に経営する管理会社(クローバーコミュニティ)では、マンション管理業務を新たに受託する際、現管理会社が提案し契約している『専有部駆けつけサービス』は解約して節約することを提案しており、これまで100%解約になっています。
サービス内容を説明し、利用者数をヒアリングすれば管理組合は『確かにいらないよね』って気づくんです。

3 thoughts to “【深山州のゆる~いマンション管理コラム22】管理会社の中抜きビジネス「専有部駆けつけサービス」”

  1. まさに今、管理会社の提案を受け、管理組合より、アンケート調査票が届いています。
    ⚫︎管理費会計より支払うので、区分所有者個々の支払いはありません。
    ⚫︎全住戸一括契約ですので、個々の契約手続きは不要。等々の記載がありました。

    管理費会計より支出するのは規約上の問題もあると思いますし、
    一括契約にも抵抗を感じていますので、アンケートには反対表明をしたいのですが、
    理事会の皆様にどのようにお伝えすればいいのか悩んでいます。

    1. こちらのコラムをコピペして、理事会様へ共有されてはいかがでしょうか?このままお使いいただいて構いません。

      1. ご返信ありがとうございます。

        コラム主旨を違えず、自分なりの言葉で作文してみようと思っています。

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