ひと昔前まではマンション駐車場は居住者からの利用希望が多く、駐車場の収容台数不足で空き待ちの居住者からは、「いつになったら駐車場が利用できるのか」「古い居住者が既得権益のように駐車場を使い続けているのは問題ないのか」等のクレームがありました。
しかしながら今では、居住者の高齢化に伴い、車を手放すケースや若い居住者の車離れ、ハイルーフ車の流行などで、旧来の機械式駐車場には収納できない等で、結果としてマンション駐車場の利用者が減少して管理組合の収入にも大きな影響を与えるようになり、空き駐車場の活用問題が大きな課題となっています。
その解決策の1つとして、『空き区画を組合員ではない外部の第3者にも貸出す』という方法が考えられています。
しかし、本来、管理組合は営利目的の団体ではないため、駐車場料金の収入についても組合員の共済的事業として税金を納めることはないのですが、駐車場の外部貸しの場合は、共済的事業ではなく単なる営利目的の収益事業とみなされる場合もあり、国税庁から駐車場収入が課税される場合と課税されない場合についての事例が提示されています。
国税庁が提示した三つのケース
<ケース1>駐車場全部が収益事業とみなされ課税される
募集は広く行い、使用許可は区分所有者であるかどうかを問わず申し込み順とし、使用料金、使用期間などの貸し出し条件において区分所有者と外部者との差異はない場合。
<ケース2>外部利用者からの収入分のみが収益事業とみなされ課税される
区分所有者の使用希望がない場合にのみ外部者への募集を行い、申し込みがあれば許可するが、区分所有者の利用を優先とし、満車の状態で区分所有者から新規の使用希望があった場合には、貸し出しを受けた外部者は一定の期間以内に駐車場を開け渡す等の契約条件を付した場合。
<ケース3>駐車場全部が非収益事業とみなされ課税されない
区分所有者の希望がない場合であっても外部者に対する積極的な募集は行わず、外部者からの申し出があり、空きがあれば短期間に限って外部者への貸し出しを許可する場合。
駐車場の全部が課税の対象とならない<ケース3>に類似の場合であればともかく、<ケース1>や<ケース2>のように駐車場収入が課税対象となる場合は、税務署への納税申告をしなければなりませんが、その事務に関し管理会社には契約外として対応してもらえないのが一般的ですので、結局は担当役員が事務処理を行い管理組合自らが納税申告するか、別途税理士等の専門家に依頼することになります。専門家への依頼は少々の駐車場収入ではかえって赤字という事にもなりかねません。
マンション駐車場の利用者の減少に伴う管理組合の収入不足を解消するために『駐車場の外部貸し』を検討される際は、当然に管理規約においても駐車場の外部者使用が可能となるような改正も必要ですが、併せて税金対応もしっかり検討することが重要です。
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