6月23日、年に一度のマンションの総会当日だ。
総会では通常、事業や決算の報告、それに次期役員や計画案の承認などが検討されるのだが、今回は、大規模修繕の問題について住民に報告し、今後の方針を確認することになっている。この総会に出席するため、4月15日に引っ越して以来、妻は2か月ぶりにマンションを訪れていた。
「経過報告はせん方がええんとちゃいますか?」
総会には、C技研、B建築設計、S社のそれぞれ代表者も出席し、謝罪と今後の説明が行われることになっている。議事の進行についてヤツらは事前の打ち合わせに余念がない。
「相手の前で責めるようなことを言って、一旦はまとまった話を、今更こじらせても良くないし。」
「せやけど、経過報告は必要でしょ?」
妻としては、せっかくまとめた報告をせずにはすまされないようだ。
「住民の皆さんにお知らせしないわけにはいかへんから。」
「それやったら、経過報告の間は、代表の方々は外で控えてもらってたらどうやろう。」
結局、各社の代表者には、経過方向の間はマンション外で待機して貰う事になったらしい。
住民の出席者は25名。マンション居住の所有住戸が38戸であることを考えると(後の12戸は賃貸だ)、かつてないほどの出席率の高さだ。
妻が説明を始める。
「始まりは、タイルの補修率の多さでした…」
<完>
補足)2020年10月31日現在
管理組合は、弁護士・建築士(N川氏)と正式に契約を結び、交渉を進めている。
C技研は、ゴンドラを吊っての図面の復元を約束したものの、まだ実施はされていない。
大規模修繕からの時間の経過を考えると、正確な図面の復元は既に無理と考えられ、今後調査が行われたとしても、現時点でのタイル・外壁の状態を調べる以上の事は望めそうにない。もしも調査で問題が見付った場合は、大規模修繕の不備として、全面的に補修させることにはなっている。
図面が手に入らないという事で、マンションの建築時の不良を証明することは不可能になったが、これについて、B建築設計とS社は、損害賠償を支払う意向(実際に初期不良があったかどうかはわからないが、それを確認することができなくなった…との理由から)。さらにB建築設計とS社は、コンサルタント業務費2,200,000円の全額返還も承知している。
すべての話が付いた時点で、管理組合は、管理会社の変更に着手する予定。また、今後は自主的な管理も進める為、大規模修繕委員会の発足も予定されている。
理事会の継続性を保つため、役員の任期を2年にして1年ごとに半数を交代するとの細則の変更は、2019年の総会で決定され、既に実施されている。
管理組合は、弁護士・建築士(N川氏)と正式に契約を結び、交渉を進めている。
C技研は、ゴンドラを吊っての図面の復元を約束したものの、まだ実施はされていない。
大規模修繕からの時間の経過を考えると、正確な図面の復元は既に無理と考えられ、今後調査が行われたとしても、現時点でのタイル・外壁の状態を調べる以上の事は望めそうにない。もしも調査で問題が見付った場合は、大規模修繕の不備として、全面的に補修させることにはなっている。
図面が手に入らないという事で、マンションの建築時の不良を証明することは不可能になったが、これについて、B建築設計とS社は、損害賠償を支払う意向(実際に初期不良があったかどうかはわからないが、それを確認することができなくなった…との理由から)。さらにB建築設計とS社は、コンサルタント業務費2,200,000円の全額返還も承知している。
すべての話が付いた時点で、管理組合は、管理会社の変更に着手する予定。また、今後は自主的な管理も進める為、大規模修繕委員会の発足も予定されている。
理事会の継続性を保つため、役員の任期を2年にして1年ごとに半数を交代するとの細則の変更は、2019年の総会で決定され、既に実施されている。
(photo by photoAC)