【図面を取り戻せ!~大規模修繕後の戦い】23.臨時理事会の招集請求(その1)

さて、前回理事会への出席をお断りして以来、C技研からはなんの音沙汰もない。

「このまま待ってても、進展は何もないと思うねん。」
妻たちは、集まって話を進めたようだ。
「せやから、『図面を提出してください』って書面を、理事会名で、C技研に送ったらどうかって話になってん。そしたら、K山さんも含めた理事会の総意ってこと、T技研にも伝わるやん?」

C技研に「『タイルの図面の提出』を求めていく」ことについては、先日の理事会で、参加の住民も含め、全員一致で決定した。しかし、書面を送るところまでは詰めていなかったはずだ。

「せやねんけど、C技研としては、『図面の提出』が理事の総意であるかどうか確認したいって言っててんから、こっちから知らせた方が話が進むんちゃうかと思って。」

たしかに、それはそうかもしれない。
妻はさっそく書面を作成し、K山理事長にも連絡をいれる。

K山理事長様
C技研からの文書はまだ届いておりません。
私たちで話し合った結果、文書でのコンタクトを行おうとなり、文案をまとめました。
内容にご了解いただければ、理事長印をご捺印いただき、C技研宛に送付したいと思います。
理事長ご本人が文案やコンタクト自体に反対であっても、次回の理事会に上程・可決のつもりでおりますが、できれば早めに送付し、C技研の反応を次回理事会で検討できる状態を作りたいと思います。

他の人が読めばなんてこともない文面だが、妻はこのメールを、ちょっとした悪意を込めて作成したらしい。つまり、「理事長ご本人が文案やコンタクト自体に反対であっても、次回の理事会に上程・可決の上…」との一文だ。

プライドだけは高く、しかも妻たちへの怒りをさらに募らせているに違いないK山理事長のこと、自分抜きで進められているこの話を、けっして面白くは思わないだろう。そこにさらに、「どうせあんたが反対しても、次回の理事会で可決しちゃえるもんね~。」とのメッセージを、忍ばせたのだ(ちなみに、理事会での決議は多数決制。K山理事長、副理事長の妻、I子さん、Y子さん、T谷さんのうち、確実に3票は押さえているヤツらの意見が通ることは、確実だ)。
既にさんざん打撃を与えた彼に、今更こんな子供じみた意地悪をしかけるとは、わが妻ながら、性格を疑わずにはいられないが、案の定、メールを読んだ理事長は機嫌をそこねたらしく、次のような返事をよこしてきた。

次回理事会での議案上程・可決のうえで、捺印させていただきます。

これは、妻にとっては計算外のことだったらしい。
ヤツとしては、「反対しても無駄」とダメ押しされている以上、K山理事長は、イヤでも理事長印を押すだろうと踏んでいたのだ。

「だって、反対するだけ時間の無駄だって、K山さんも分かってるはずやのに。」

妻よ、いくらなんでもそれは、男のプライドを甘く見すぎているのではないか。
それにそもそもK山理事長は、なぜヤツらが、急いでことを進めたがるのかは知らされていない。4月に僕たちの引っ越しが控えていることを考えると、月1回のペースで開かれる理事会に妻が参加できるのは、せいぜいあと2回。それまでには、何らかの成果を得ておきたいと、ヤツらは焦っている。

(photo by photoAC)

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