【デベロッパー・管理会社経由、北関東のマンション管理士 白寄和彦のコラム】管理会社との関係 その3

前回のコラムで、マンション管理適正化法の施行により、組合と管理会社との業務委託契約の自動更新が認められなくなり、本業での儲けが厳しくなった管理会社の実態に触れました。中でも、フロント担当者の業務負荷が管理会社にとって大きな足かせとなっていますが、そのフロント担当者の、「新たな無償の支援・補助業務」のうち、特に負荷の大きいものを具体的に紹介します。

  1. 理事会の下部機関として組織される複数の専門委員会に出席して、理事会同様の補助業務を行います。開催日程の調整や専門委員会委員長との事前打合せ、招集通知の発送、議事録案の作成が主な業務となります。
  2. フロント担当者のスキルや経験の不足を理由に、直属上司や建築技術者が理事会に常時出席して担当者の業務を補完することを要求されます。
  3. 理事会が開催する各種居住者向けイベント、例えばコミュニティ形成を目的としたクリスマスパーティや防災訓練等の企画及び運営を管理会社が実質的に主導します。
  4. 管理会社における建物・設備管理業務は、建物や設備の保守・点検をし、その状況に応じてメンテに関する助言・提言を行うこととしています。しかし、マンションの工事に瑕疵がある場合やアフターサービスの内容が不十分であるときに、管理会社は、本来交渉の当事者となるべき理事会の補助業務として、または理事会を代理して分譲会社との交渉に当たることを求められます。
  5. 理事会の補助業務として、管理組合が任意で加入する自治会との懇親を図り、自治体が企画するイベントに代理参加します。

これは支援・補助業務の範疇ではありませんが、管理員業務の一環として解釈され、高齢居住者の部屋を定期的に巡回する見守りサービスを管理員に課したマンションもあるそうです。もちろん、様々な配慮が組合になされ、そして交渉の末に管理会社が無償を受け入れたのだとは思いますが、1人の管理員で充足できるのか、任を果たせるのか、2人体制になった場合の収益面は?と心配してしまいました。

管理会社は、諸々の事情が重なり、不採算ギリギリ若しくは赤字覚悟の業務委託料で契約せざるを得ないことがあります。その場合、管理組合側も管理会社の厳しい状況を十分に把握していて、何か別の方法で報いてやりたい。そこで、しっかり儲けてもらい、永続的に良いサービスを受けたいと思っているはずです。逆に管理会社が契約の更新を断ってきたとき、不採算ギリギリのマンションの業務を担ってくれる管理会社が他にあるかどうかわかりませんから。

私は、管理組合と管理会社が当初のWIN-WINの関係に戻るためのツールとして、リフォームに代表される「専有部分サービス」を考えています。「組合は管理会社に報いてあげるべきときは報いてあげる、管理会社に儲けてもらうべきところは儲けてもらう」というのが、私の提言です。

リフォームをどこの会社が請け負うかなど預かり知らないはずの管理組合が、管理会社に受注してもらえるよう敢えてPR活動を行います。PRといっても、もちろん管理組合ができることには限界があります。総会や居住者向けイベント、マンションの掲示板、組合員に配布する文書、組合のホームページでの活動が中心となるでしょう。

また、管理会社がマンション内で相談会等を開催するときは、節度を保ちつつ便宜を図ってあげましょう。これらを工夫活用して、管理会社がリフォームを受注することのメリットを部屋の所有者に発信することは、組合にとって大きな負担となるものではありません。寛容と柔軟で対応できるものです。

管理会社も「言うは易く行うは難し」などと言って傍観していては、道は開けません。「イチゲンサン」のリフォーム会社では真似のできない「連携」のメリットを自信たっぷりに発信していきましょう。

最初は何を始めたのかと疑問視されることがあるとは思いますが、実際に事例が増えてきてメリットが証明されれば、これが管理組合独自の「仕組み」となって定着し、経年と共にマンション内では普通のこと、合理的なことと組合員に認識されていくのではないかと思います。

マンション分譲会社を含む住宅業界は、将来の人口減少などの要因から、リフォーム等のストック事業を見直し経営の柱に育てようとする動きが顕著になってきました。そのため、分譲会社は系列下にある管理会社がリフォーム事業を担えるように設計・現場スタッフの大幅なシフト変えを進めています。なかには、リフォーム専門の設計事務所と伍して競えるようにデザイナーを配置する会社が出てきたくらいです。

本気度を感じます。

分譲会社は、従前の管理会社のイメージを一新して、本業の管理業務を中心にリフォームを含めた住宅ストック事業全般を行える事業体に変えていきたいのだと思います。

リフォーム等の専有部分サービスをツールとして、管理組合と管理会社が互いの立場を分かりあえる関係を構築するという「私の提言」が、管理会社に身を置く者の単なる理想論とか過度の思い入れと言われないときが遠からずやって来ることを期待します。

積水ハウス株式会社 宇都宮支店長・水戸支店長・札幌支店長を経て、関西第二営業本部長。その後、積和不動産株式会社に移籍し、分譲マンションの管理事業とめぐりあう。東京・神奈川に展開する「グランドメゾン」シリーズを手がける。積和不動産株式会社役員・顧問を経て、2017年に事務所を開業する。栃木県小山市出身/家族は妻と二女

One thought to “【デベロッパー・管理会社経由、北関東のマンション管理士 白寄和彦のコラム】管理会社との関係 その3”

  1.  管理会社に求めるのは、IT化やAI化です。 これが出来れば、フロントの人員が大幅削減できます。
     次は中小規模マンションの管理員巡回化です。
     管理員が一日中いる必要はなく、特定曜日の特定時間にいることがわかれば、1人の管理員が複数マンションを担当できます。
     清掃員は、ごみ収集時間に合わせ来てもらえば、清掃業務は可能です。
    清掃業務だけは、区分所有者や住民はできません。
     今までの固定概念を捨て、実質的に必要な業務を絞れば、管理会社の負担は減り、10年位は人手不足に対応できます。

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