神奈川県のあるマンションの理事会で、災害時における住人の安否確認を目的としたマグネットシートの導入が決まりました。
A5サイズのこのシートは、「無事です。」の文言の下に氏名を書き込む仕様となっており、さらには電気・水道・ガスの確認が済んでいるかのチェック欄が設けてあります。災害などが発生した際に、玄関ドアにペタッと貼り付けて住人の無事を外部に知らせるもので有用なツールです。母がひとり暮らしをしている実家で、玄関ドアの内側に同じマグネットシートを見かけて安心したことを思い出しました。
理事会の中では、各階の玄関前に貼りだすのではなく、ロビーで一元管理できるツールがいいのではないか、という意見もありましたが、市の防災マニュアルにも罹災時には各階における安否確認が重要との記載があり、また、シートの貼りだしのない住人に対して、その場で救助活動に移ったほうが有効との判断がされ、採用に至りました。
値段は1枚400円程度で、世帯数が多ければそれなりの出費を伴いますが、いざという時の安否確認の容易さや、救助が必要な住人への早期対応が可能である等のメリットを考えると、導入価値は十分に見出せます。
…名前を貼りだす、で思い出しましたが、鳩サブレーで有名な鎌倉豊島屋でのエピソードをお伝えします。
以前も書いた気がしますが、鎌倉サーファーにとって鳩サブレーは特別なお菓子です。
それは、鎌倉を代表する有名な洋菓子であることはもちろんなのですが、何より、ホームグラウンドである材木座海岸・由比ヶ浜海岸の命名権を1億2千万で得ながら行使しない、という会社だからです。鳩サブレーが我々の乗り場の命名権を得るということは、「週末の波乗り?ポッポビーチ…」と言わされても仕方ないことを意味しますが、「愛着のある海岸名を残してほしい」という地元の意向を汲んで、億という大枚をはたきながら「海岸名はそのまま」という英断をされたのです。
「(命名権の対価である1億2千万は)海岸をきれいにするために使ってほしい」という社長の言葉を知ったときは涙が出ました。素朴な見た目と飽きない味、心地よい歯触りはもちろん、この粋な心意気をリスペクトして、私たちは「お土産といえば、鳩サブレー」を徹しているのです。
数年前の話ですが、茨城県に波乗りに行った際、着替え用のポンチョを海岸に忘れてしまいました。そのことを友人KがFacebookでアップすると、何と茨城県に居住するKの高校時代の同級生が、わざわざ回収し郵送してくれたのです。雨風に晒され異臭を放ってたであろう使い古しのポンチョからは、丸1本の使用を予想させる強烈なレノア臭がしました。
これは、すぐにでもお礼をしなければならないと考えた私のチョイスは、もちろん鳩サブレー。早速、Kと鎌倉の豊島屋本店に行くと、20代と思われる初々しい女性スタッフに迎えられました。家族向けサイズの詰め合わせをチョイスした私は、Kの同級生への発送手続きをこの女性スタッフに依頼しました。店舗奥の落ち着いた応接スペースで、斜めに向けられた端末を互いに確認しあいながらの発送作業です。
「では、送り先のご住所とお名前を教えてください」
Kが内容を伝えると、女性スタッフが端末に打ち込みます。あまり慣れていないのか、入力動作が少し遅く、娘を見守るような心境で端末を覗いていると、名前の箇所__。
本来、”takeharu”とローマ字入力すべきところ、”pakeharu”と打ち込んでしまいます。
これにたまらずKが吹き出し、
「パケハルって……確かにパケってますけど(爆)」
ハゲる=パケる、というゴロがツボに入り、私も爆笑。あまりの面白さに2人とも笑いが止まらず、「パケハル」を連呼。
周囲のお客さんからの視線を一身に集めましたが、その女性スタッフは最後まで笑わずに頑張り、職務を全うしました。
極上の味だけでなく、極上の笑いを提供してくれた鳩サブレー。この愛すべき洋菓子を、古都鎌倉にお寄りの際は、是非。