【マンション管理士ふくろうの実践コラム】マンション役員のなり手不足への対応

マンションの高経年化が進む中で、管理組合運営の要である「役員のなり手不足」が大きな問題になっています。

一般的に原因の大きな一つは「居住者の高齢化」であり、もう一つは「管理組合運営に対する居住者の無関心さの増大」だといわれています。

しかし、個別のマンションでの原因は上記に限らず様々だと思われますので、今回は役員のなり手不足に対する標準的な対応を示させて頂きますので、具体的には下記を参考にしつつ自分のマンションに適した方法について検討して下さい。

1、役員候補者の選任方法は立候補制+輪番制の併用制とする。
①役員の立候補者を募る。ただし、問題ある居住者の立候補の心配等があれば推薦制に変更も考慮する。(推薦制は立候補に理事会や他の組合員等の推薦が必要という制度)

②同時に理事会が居住者の中から次期役員の適任者を選びピンポイントで役員への就任依頼を行う。(立候補を促すという形)

③立候補者を優先しても不足の役員候補者数については輪番順位に基づき就任依頼を行う。輪番役員への該当者には1年前から次年度役員のお知らせは必須です。

2、役員の任期についても「再任も可」として一定年数の理事就任を可能にする。

3、役員資格を緩和して役員資格者を増やす。
例えば、区分所有者のみでなく配偶者、同居の親族等も役員資格者とするなど。

4、役員定数を削減する。
例えば、定数7名を「3名以上~5名以内」に変更など。

5、役員手当を支給又は増額して報酬面でもそれなりの魅力を訴求する。
例えば、再任役員の報酬は倍額など。

6、マンション管理士等の外部専門家を役員や顧問等にして、区分所有者等の役員就任への不安を解消し安心感を訴求する。

7、上記の対応でも役員の確保が困難な場合は、マンション管理士等の外部専門家を ”より積極的に” 活用する。
①専門家の理事長への起用。理事会の長として理事会運営を牽引してもらい役員の負担は軽減させる。

②管理者管理方式への移行。理事会方式を廃止し、組合運営を専門家に全面委託する。ただし、この方式を導入の場合は、区分所有者の組合運営に係る負担が劇的に削減されますが、別途、管理者の業務状況をチェックする仕組み作りが必要となります。

 

 

上記の対応のどれを実行するにも、管理規約の改正など総会決議が必要となりますので、現役員には相応の労力がかかりますし、マンション管理士等の専門家を採用するにも相応の出費は避けられません。
しかし、役員のなり手がいないような状況が続きますと管理組合運営が停滞し、マンション全体に様々な悪影響が及びます。

管理不全マンションとならないためにも「役員のなり手不足への対応」は管理組合にとっての最優先課題です。(photo by photoAC)

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