マンションの管理組合と管理会社とは、どのような関係にあるのでしょうか。管理会社が行う仕事内容などを通じて、それぞれの役割について考えてみましょう。
管理組合とは、区分所有法(建物の区分所有に関する法律)に基づいて、マンションの区分所有者全員で構成する団体です。その役割は、マンションの建物・敷地および附属施設の維持管理をすることです。
管理組合が行うマンションの管理業務は非常に幅広く、また、専門性の高いものが多く含まれます。そこで、多くのマンションでは、管理業務を管理会社に委託しています。管理会社はマンションの管理業務を専門に引き受ける会社です。なお、管理組合が管理業務を管理会社に委託したとしても、マンション管理の主体は管理組合にあります。「主体は管理組合」とても大事な部分です。
管理組合と管理会社が管理委託について締結する契約が「管理委託契約」です。
この管理委託契約には、大半の管理業務を専門業者に委託する「一括委託管理」と、業務の一部(設備保守のみ、清掃のみなど)を専門業者に委託する一部委託管理があります。また、管理会社に委託せず、管理組合が直接、管理員を雇用するなどして自ら管理業務を行う管理方式は「自主管理」と呼ばれます。
管理会社が行う仕事には、どのようなものがあるのでしょうか。マンションごとに管理委託契約の内容は違いますが、一般的には次のような仕事を行います。
●事務管理業務
管理費、修繕積立金など、管理組合が区分所有者から収受するお金の会計業務を行います。また、出納、年間の予算案、決算案の作成、月次決算報告書の作成と管理組合への提出もこの業務に含まれます。未収の管理費等への督促業務の一部も管理会社の業務に含まれます。
若い工事業者
●管理員業務
管理員とは、管理会社と雇用契約等を結んで、管理業務の委託を受けているマンションに常駐(その他、様々な勤務形態があります。)などして、日常的な管理業務を行う人のことです。具体的には、マンションエントランス横での受け付け業務、各種設備の簡易点検業務、専門業者による点検作業やごみ収集作業の立ち合い、管理組合への報告連絡などがその業務内容です。
●清掃業務
マンションの清掃には、フロアや廊下の清掃、ごみの回収といった日常清掃と、カーペットやタイル、窓ガラス、外壁などの定期清掃があります。これらの清掃部分は全て「管理組合が管理すべき共用部分」となります。このように、マンションの共用部分の施設や設備に応じて作業内容も変わってきます。
●建物・設備管理業務
建物自体や、エレベーター、防災設備、電気設備といった設備機器の保守点検、法定点検を行うことも必要です。それはマンションの住民や不特定多数の人が利用するマンションだからこそ、設備機器が確実に稼働することや安全性が最重要なのです。この各種点検業務も、どのような設備があるかによって作業内容が変わります。
●その他
これらのほか、管理会社が管理組合の理事会への参加を通じて、管理状況、運営状況に応じたアドバイスを行うこともあります。いわばコンサルタントの立場で管理組合をサポートするものです。
また、管理会社が、建物診断や長期修繕計画、大規模修繕工事の立案などを行うこともあります。
通常、管理組合を構成する区分所有者はマンション管理に関しては素人です。一方、管理会社はその道のプロです。しかし、「マンションを管理する主体は管理組合」であり、管理会社は管理組合からの委託にもとづいて業務を行う立場です。
このことを管理組合、管理会社のお互いが良く理解したうえで信頼関係を築いていくことが、より良いマンション管理の運営につながると思います。