昨年、女性活躍推進法が国会で成立した背景もあり、ダイバーシティへの取り組みが企業には必要とされています。
「ダイバーシティ」って最近よく耳にしますが、その意味は…ん?潜る?都会?…裏社会のことかいな?と思ったりするんですが、「多様な人材を積極的に活用しよう」というマネジメントのことでして、その対象は女性に限られません。
そのような概念も世間一般に広がってなかった10数年前、新宿の職場で働いていました。
そこは新宿という土地柄もあってか、あの時代においてダイバーシティが普通に理解されてた、とても良い職場。
スタッフのほとんどが二足のわらじを履き、バイト勤めだったこともあり、金髪やら赤髪やら長髪やら坊主やら髭やらタトゥーやらピアスやら…まずをもって見た目の個性が強烈で、異動を命じられ初めて出勤したときは正直焦りました。バンド活動をしてたり、劇団員が多かったですかね。
そんな職場だったので、個性や価値観を受け入れる文化が自然と根付いており、今考えればLGBTはオープン。まぁ、それが当然というか、まったくをもって普通というか、課題にすらされてませんでした。
そして、不思議なことに、個性が強い人ほど仕事は真面目で優秀でしたね。本当に楽しい職場でした。
新宿の職場のような派手さはないかもしれませんが、マンションこそ様々な価値観や生活スタイルを持った方の集合体そのもの。理事会をマネジメントに例えるなら、ダイバーシティの考えは必要でしょう。
理事の構成も性別や年齢が異なったほうが、様々な価値観を受け入れる土壌が自然とできてうまくいくと思います。
ところで、価値観の相違を垣間見た事例として、とあるマンションの通常総会で「敷地の改修」という議案において、次のような場面がありました。
そのマンションでは、子供たちの遊び場だった敷地内スペースの芝がはげてしまい、雨の日には土が流れてしまう状況であったため、大規模修繕工事に合わせて改修を決意。他のマンションの成功例や、予算の見直しより天然芝から人工芝への変更を理事会で決定しました。
その旨を総会議案としてあげたところ、一部の住人の強力な反対を受けて、その議案は不成立となってしまいました。
実は反対された方は、前回の大規模修繕工事の際の理事でして、当時のコンセプトが「自然の森」だったということなのです。確かにそのマンションは植栽が豊かで、木々の緑が特徴的なんですが、人工芝への変更がこの時の理事の価値観と大きく逸脱しました。
大変な思いをされ、当時の大規模修繕工事に取り組んだのでしょう。その努力が無下にされたと感じたのかもしれません。
ところが、今の人工芝はよくできていて、天然芝から人工芝に変えたことで、即座に安っぽいイメージになることは決してありません。子供たちがサッカーをしても大丈夫ですし、改修費用も天然芝の半額以下で済み、状況によっては軽く1千万以上の削減につながります。
もし、前回の大規模修繕のコンセプトが現在の理事に共有されていたら、もう少し違うアプローチができたかもしれません。
様々な住人(特にキーとなる住人)の価値観を認めるにあたり、その背景を知ることはとても大切なことだと感じました。
なお、このような事態を迎えないため、マンションの歴史を顧みるツールの作成を進めてますが、そのことはいずれ紹介させていただきたいと思います。
そういえば、新宿の職場の次の異動先が、女性ばかりでどうもギスギスしており、業容の拡大から派遣スタッフを雇うとなったときに「とにかく男性を」と、オーダーしつづけました。
その努力が実り、社内結婚も一組できるなど、職場の雰囲気もすこぶる良くなってきたある日、派遣会社の担当から信じられない営業電話がかかってきました。
「実は、おさらぎさん好みのイケメンが1人いるんですよ、エヘヘヘ…」
【マンション管理組合の学校 事務局 マンション管理士おさらぎ】