理事会で、『タバコの吸殻がベランダから敷地に投げ捨てられてる、景観上の問題があるし、何より火災の危険性あり』と問題提起されました。
相手を特定できないため、まずは掲示板等で警告することになりましたが、そもそも、ベランダでタバコを吸うこと自体禁じられないのか…
ちょっと考えてみました。
ここでキーとなるのは、規約や細則でベランダを含む共用部分での喫煙が禁じられているかです。
もちろん、このような定めがあれば、管理組合の責任において、喫煙をやめるよう働きかけできるでしょう。
しかしながら、国交省の定める標準管理規約(お手本)では、喫煙を禁じる旨の定めはありませんので、ほとんどのマンションの規約にも記されていないのが現状といえそうです。
そもそもベランダは少し特別な存在でして、共用部分でありながら専用使用権が認められてます。つまり、皆が使うであろう廊下や階段と同じ共用部分でありながら、部屋の住人だけの使用が認められてるのです。
じゃぁ、「そこでタバコを吸おうが、俺の使用法なんだからいいじゃないか」という理論が成り立つような気もしますが、ここで問題となるのが煙害です。
判例がないか調べたところ、平成24年の名古屋地裁において、煙害による5万円の損害賠償が命じられていました。上階の原告の室内に入る煙の多さと、下階の被告に繰り返し喫煙をやめるよう訴えるも、まったく聞き入れられなかった精神的被害が認められた一方で、原告においても、集合住宅であることを鑑み、ある程度の不都合は受忍する義務がある旨も告げられたようです。
この判例のケースは、原告とのいざこざで、被告が意地になって吸っていたような気がします。
厳しい家庭ルールの存在で、ベランダでタバコが吸えなくなると困るお父さんも多いと思いますので、ここは節度とマナーをもって喫煙を楽しみましょう。間違ってもポイ捨てはしないように。
そして、タバコに限らず、マンションとは「赤の他人が言うなればひとつ屋根の下で暮らす」わけだから、なんでも自分の思い通りにはいかないということを肝に銘じつつ、各々がおもいやりの気持ちを持って行動することが重要です。
当たり前の話なんですがね。
私事ですが、20年ほど前にタバコをやめました。
10年後のタバコ代を改めて計算したところ、高級腕時計がいとも簡単に買えることがわかったからです。
一方で、お金のためにやめるのだから「もらいタバコはあり」と、身勝手なルールを定めた結果、健康を壊す心配はなくなりましたが、人間関係が壊れそうになりました。
タバコをやめるのも、おもいやりの気持ちを忘れないようにしましょう。
当たり前の話なんですがね。