【ある「元」大手管理会社取締役つぶやき その25】フロントマンや会計スタッフの担当マンション数を増やしてもらおう

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今まで述べてきた管理会社と管理組合の関係改善の方法は、修繕工事やコンサルタント業務を管理会社に外注したり、管理会社の副業を奨励したりと、売り上げや利益を上げてもらう話でした。

一方で、管理会社にとって、本当に『本業』の改善余地はないのでしょうか。

『本業』とは事務管理業務。そのうちの半分は組合会計と出納業務、残りの半分はフロントマンの担当する渉外事務ともいうべき業務です。

今回は本業のコストダウンを図って管理会社と管理組合の関係を改善する話です。

オーナーシェフが経営するレストラン。メニューや味付けに工夫がみられることはもちろん、心休まる雰囲気の中、おもてなしの心、至れり尽くせりの接客。常連になれば、お客の好みや健康状態まで考えて食材選びや塩加減に心を配る。それらすべてがお客様の満足につながります。

ファミリーレストランと値段が違うのも納得ですね。

さて、皆さんは管理会社に対してファミリーレストラン並みの価格を要求しながら、オーナーシェフのレストラン並みのサービスを求めてはいませんか?

管理会社、特に大手の管理会社は大量の業務を自社独自のシステムと管理体制で画一的にこなすことが得意です。いわばファミリーレストランですね。

オーダーメードの管理を期待するなら、もっと中小の小回りの利く管理会社の方がいいでしょう。でも組合の要望通りの管理を実現してくれる管理会社に大手並みのコストを求めては酷というものです。

コスト削減にならないオーダーメードの管理事例1
「定例理事会は毎週第2土曜日の午後一時から開始。それに先立ち11時から三役会に管理会社も同席する」

こんな管理組合ばかりだとこのフロント担当は理事会開催日の調整がつかず一人で5~6物件しか担当できませんね。

理事とフロントが共有のメーリングリストを活用したり、SNSなどを活用したり、紙ベースの報告書をできるだけ省きつつも、しっかり情報を共有し、意見交換する工夫はできるはずです。

毎月の理事会で、全ての議題を全員が協議することは敢えてせず、担当理事や専門部会で個別の事案の検討を一任して取りまとめてもらうことも有効です。

理事全員で業務をシェアして、理事会の回数を低減することができれば、管理会社もフロントの休日出勤手当や交通費を節約できるでしょう。フロント担当には効率良く働いてもらい、もっと担当物件を増やしてもらいましょう。それが本業で管理会社を儲けさせる秘訣です。

コスト削減にならないオーダーメードの管理事例2
「月次の決算報告と未収金の報告は会計担当理事に毎月10日までに提出。」

管理会社の経理担当が前月の月次決算を上司に報告するのが例えば毎月10日であれば、この物件だけいつも特別扱いで、担当も上司も気を付けていないと要求には応えられません。

また、管理会社のパソコンから出てくる決算書や報告書を、管理組合の指定様式に合わせて後で作り直して提出するよう求めたり、特別な作業や特別なスケジュールを強要することは、委託する側も、受託する側もコストアップとなることを理解すべきです。手入力や、異なる作業手順によるミスの発生リスクを負うことも認識しなくてはいけません。

コスト削減にならないオーダーメードの管理事例3
「管理会社から管理組合へ請求するコピー代、管球等の消耗品代等は発生の都度、明細を明らかにして請求すること。」

○月○日 エントランスホールのダウンライト27ワット蛍光管1灯取り換え〇〇円
○月○日 理事会資料、自転車置き場アンケート集計結果コピー8枚〇〇円

例えばこのように、明細を作成して請求書を起こし、会計データ(摘要を含めて)をパソコンに入力し、銀行の出納を行うことは、正しい経理の姿勢であり、誰も否定する者はいません。

ただし1枚10円のコピー代の取引に対してとんでもない労力がかかっていることを忘れてはなりません。これらの手間を考えるとコピー一枚のコストは100円位に跳ね上がりますね。
明細まで納得の帳簿を厳密に作成することを管理会社に求めると、そのコストは実は管理組合が負担しているのだと気づかされるでしょう。

同じ管理会社に数年継続して管理業務を委託しているマンションでは、これらのコストを全部まとめて年額いくらと査定して、管理委託料に含めるといった合意も可能ではないでしょうか。(臨時総会開催時は、総会一回当たり追加資料作成費が○○円といった特段の配慮は必要かもしれません。)こんな大胆な発想があっていいと思います。

会計の伝票枚数が画期的に減るでしょうね。管理会社の組合会計担当者の担当物件数はもっと増やせそうです。効率アップが実現した暁には、その一部は事務理費を値引きして管理組合に還元してもらいましょう。

管理会社の変更を検討する際に、管理の内容を同じにしないと比較できないとの趣旨で、ガチガチの管理組合の統一仕様を提示される組合があります。
清掃の範囲や頻度、管理員の勤務時間と休日といったことは当然統一すべきと思いますが、あまりに細かい指示は問題です。管理会社はその会社なりの仕事のやり方を標準にしており、そこから外れたことを押し付けることは各社の個性をつぶしてしまうと思いませんか?
管理会社の独自の機関誌の配布は禁止。(経費の無駄)
管理組合独自の会報誌を独自に取材して年4回発行、配布すること。
滞納の有無にかかわらず請求書を全戸に送付すること。
年一回建物の点検を資格保有者(例えば一級建築士等)で行うこと
滞納期間に応じた督促の方法(電話、郵便、自宅訪問、内容証明郵便等)を組合指定の手順で行うこと
上記のような内容を管理組合から大手の管理会社にぶつけたとして、これに従う管理会社が良い管理会社として評価されるのでしょうか。

事務処理や業務処理の手順というものは各社各様のやり方があります。全物件同じやり方でやることで合理化もできるし間違いも防げるのです。各社の独自性を容認しつつ、他社と比較して、優れている点、劣っている点を数値化し、価格と共に総合評価すれば良いと思います。

値段の安さだけでは決めない。レストランを選ぶときにみんなが心得ている常識が、管理会社のコンペではなぜか吹っ飛んでしまうから不思議です。

マンション管理会社の役員という立場を離れてこの業界を眺めると、大企業の系列管理会社であっても決して管理組合にあからさまに語ることのできない、裏の一面を各社隠し持っていることがわかります。匿名だからこそ本音で、時にはきわどい発言も続けてゆき、マンション管理組合の運営がより実りあるものにできたらと思います。

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