【ある「元」大手管理会社取締役つぶやき その108】新型コロナウイルスその3 総会に代わる書面決議

新型コロナウイルスの影響で、総会の開催を躊躇する管理組合も多いことでしょう。区分所有法には書面決議が可能との規定がありますが、これはどういう方法でしょうか。

1.区分所有法に規定する書面による決議とは
区分所有法第45条第1項及び第2項に総会(区分所有法の集会)を開催しないで総会議決と同じ効力を得る方法が規定されています。
総会を開催した場合、本人が出席し無くても、議決権を書面で行うことが認められるのはご承知の通りですが、これとは別に、総会を開催しない場合の書面による決議が二通り示されています。

(1)区分所有者全員が書面による決議により決する事を承諾した上で、賛否を投票し、議案に応じて必要な議決要件を満たす。(第1項)
(2)区分所有者全員が書面により賛同する。(第2項)

書面による議決権の行使のパターンは以下の通りです。

2.標準管理規約に規定する書面による決議
区分所有法第45条第1項及び第2項の規定を踏まえて標準管理規約第50条の規定があります。
「第50条 (書面又は電磁的方法による決議)
第1項 規約により総会において決議をすべき場合において、組合員全員の承諾があるときは、書面又は電磁的方法による決議をすることができる。
第3項 規約により総会において決議すべきものとされた事項については、組合員の全員の書面又は電磁的方法による合意があったときは、書面又は 電磁的方法による決議があったものとみなす。

3.書面による決議の実用性
総会に代えて、組合員全員が何らかの合意をすることは、比較的小規模なマンションの総会議案であれば思ったほどハードルは高くないかもしれません。特段の異論が無いと思われる議案(役員改選、前年を踏襲した予算案など)もあるでしょう。総会に依らない書面による決議に関する合意は時間をかけて取りまとめれば良いため、総会を開かない手法として有効なケースがあります。
管理組合が権利を得、義務を免れる議案は特段の異論が無いと思われる議案であり、本方法を活用できると思います。
ただし、理事長(管理者)の年一回の総会招集義務や事務の報告義務は免れることが出来ません。定期総会の議案のうち、役員の改選や予算審議は書面決議を採用したとしても、事業報告や決算報告は総会開催が可能なタイミングで改めて報告をすることが必要です。

4.電磁的方法とWeb会議
書面による議決は、規約で電磁的方法によることが出来ると規定すれば電磁的方法で可能です。電磁的方法による決議に係る組合員の承諾については、あらかじめ、組合員に対し、その用いる電磁的方法の種類及び内容を示し、書面又は電磁的方法による承諾を得なければなりません。(本人認証、なりすまし防止などは重要です)電磁的方法の種類及び内容は、次の2種類です。

(1)電子メールで送信する方式
(2)管理組合が作成した電子ファイルへ組合員がアクセスして書き込む方式

総会をWeb会議や電話会議で行うことは、残念ながら、電磁的方法の対象外です。
総会の場に出席できない組合員の音声と画像を、Web会議ソフトで総会議場と繋ぎ、議長の判断で発言を許す。ただし議決権は委任状に記載の代理人又は議決権行使書により行使する。このような柔軟な運用は認められると思います。現段階では区分所有法が規定する集会の規定を順守しつつ、Web会議の機能を活用する以外ないと考えます。
一方、理事会に関しては区分所有法に該当する規定が無い為、規約でWeb理事会を採用するとする規定を設けることが可能です。

(photo by photoAC)

マンション管理会社の役員という立場を離れてこの業界を眺めると、大企業の系列管理会社であっても決して管理組合にあからさまに語ることのできない、裏の一面を各社隠し持っていることがわかります。匿名だからこそ本音で、時にはきわどい発言も続けてゆき、マンション管理組合の運営がより実りあるものにできたらと思います。

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