【ある「元」大手管理会社取締役つぶやき その112】管理会社に相見積もりを依頼する場合は気を付けよう

理事長から、「揚水ポンンプの更新見積が管理会社から提出されたが、相見積もりを取りたい。業者を紹介してほしい。」との依頼があり、専門業者を紹介しました。

専門業者はポンプのメーカー名や型式など詳細を管理会社の担当に尋ねました。管理会社に連絡したところ、「ポンプのメーカーや型式は、当社に守秘義務誓約書を差し入れていただかないとお知らせできません。」とのこと。

その守秘義務誓約書の内容がびっくりです。

  1. 見積書の提出は管理会社宛てとする事。
  2. 管理会社は自社の経費を含め、独自の金額を管理組合に提出することを承諾すること。
  3. 管理組合から尋ねられても、管理会社に提出した見積もり金額は秘密にすること。

このような趣旨の内容だそうです。

管理会社は自社が取引している専門業者に加えて、今回紹介した業者からも見積もりを取り、一定の経費を乗せて複数社の比較表を作り、「どの業者を採用されますか?」と管理組合に選択させたそうです。専門業者との取引はあくまで管理会社経由です。

理事長が、「紹介した業者と直接取引できないのか?」と尋ねても、「それでは管理会社としては責任が持てません。工事の日程調整、現地の案内、断水の告知、きちんと工事を行ったかどうかの確認など、すべて理事長がなさるのでしょうか?万一工事後に不具合があってもアフターサービスは当社を経由した工事であれば万全ですよ。」などと煙に巻かれてしまったそうです。

管理会社は、マンション管理業者として行うべき3種類の基幹事務を三点セットで受託しています。

  1. 管理組合の会計業務
  2. 管理組合の出納業務
  3. マンションの維持・修繕の企画、実施の調整 (一般的には、建物劣化診断や大規模修繕工事などは契約業務外とされています)

管理会社の業務として、マンションの日常的に発生する経常修繕に関する業務は、当然に管理委託業務に含まれているのです。
設備の不具合が見つかれば、その状況を管理組合に報告するとともに、

  1. 修繕の見積もりができる業者(工事によっては複数社)を選んで現地に案内し、図面を閲覧させる。
  2. 複数の業者から取り寄せた見積もりの金額や内容を比較検討し管理組合に報告する。

管理組合が発注業者を決定すれば、

  1. 管理組合を代理して修繕を依頼する。
  2. 組合員へ工事の日程や必要事項(断水、濁り水の発生など)の連絡をする。
  3. 工事が終了した際の完了確認と、後片付けや清掃の確認をして管理組合に報告する。

といった業務が、「マンションの維持・修繕の企画、実施の調整」です。

確かに、この管理会社が言うように、管理会社が元請けになれば、直接的な工事の責任を負うのは管理会社となりますが、管理会社を元請けとすべきかどうかは、管理会社がいくらの経費を下請けの工事代金に乗せているのか、(直接は確認できないので)他の専門業者から相見積もりを取った上で判断すべきです。また、専門業者の業容や実績を確認すれば、管理組合が直接取引しても問題が無い業者かどうかの判断材料になります。
理事長は、管理会社の見積もりだけでは判断できないために、専門業者を紹介してもらい、それらを判断したかったのに、いつの間にか、その専門業者を管理会社は取り込んでしまっているのです。

 

 

管理会社に対して修繕工事の見積もりを提出させる場合、注意すべき点は、

  1. 管理会社自ら又は管理会社の推薦業者が工事の提案をするならば、管理組合の推薦業者からも管理組合宛ての見積もりを徴収する。
  2. 管理会社は管理組合の管理組合の推薦業者の元請けにはなれないこと、リベートや協力金の類をこの推薦業者に要求しないことを約束させる。
  3. 管理会社又は管理会社の推薦業者の見積もりも、推薦業者の見積もりも、同様に厳封したものを提出させ、複数の理事の前で開封し、その後に理事会資料として内容を比較整理するよう管理会社に命じること。

専門業者を理事長が管理会社に紹介しても、「この業者から見積もりを取ってください。」といった指示ではだめです。
管理会社が圧力をかけて「下請けになって仕事をしろ。」と言わないまでも、管理会社は専門会社を巧妙に取り込むすべを持っています。
「当社との取引は初めてですね。当社は大企業ですから、仕事はいくらでもあります。今後ほかのマンションでも貴社と取引したいと思うので協力関係を結びましょう。今回は理事長の推薦業者と言うことで貴社にお願いします。その代わり当社に〇%のリベートが払えるように見積もりを割り増しして提示しておいてください。」
「今後は、当社の他のマンションでも見積もりに加わってもらいますが、受注は複数社の中から順番に回します。他社が受注する場合は割高の見積もりを提示してもらいますのでよろしく。」

管理組合の選定した業者に対する談合、リベートの働きかけは厳禁と管理会社に申し渡しておかなくてはなりません。
「談合、リベートの事実が明らかになった場合には未遂、既遂に関らず管理委託契約の解除事由とされて異存ありません。」といった内容を管理委託契約書に盛り込むことが出来れば安心です。
談合リベートと決別している管理会社は少数派ではありますが存在します。そんな管理会社は、さらに一歩踏み込んで、「談合リベートの事実が明らかになった場合には管理委託契約を解除し、更に違約金として管理委託料の〇か月分をお支払いします。」といった契約条件ですら痛くもかゆくもないはずですね。

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