【ある「元」大手管理会社取締役つぶやき その77 】管理会社の修繕工事に対する取り組み姿勢改善に向けて(その1)

大型工事の受注には必ずしもこだわらない管理会社には裏がある?

大規模修繕工事や設備更新などの大型工事は受注しないとする管理会社があります。
大型工事であれば、組合員の関心も高いですから、理事会としても相見積もりを取ることは必至となります。管理会社といえども、複数の専門工事会社と見積もりを争えば、思うように受注することは困難です。そこで作戦変更です。
大型工事の受注にこだわらないという方針を取り、管理会社は自社で大型工事の見積もりを提示することは取りやめ、管理組合に対し公正中立の立場を装って、複数の工事会社の見積もりを組合に提出するのです。

管理会社が工事を請け負わないとの立場だからと言って、見積もり依頼先の工事会社のリストアップを管理会社に相談してはいけません。管理会社が懇意にしている工事会社を見積もり依頼先に選定して見積もりを提出させ、その企業がめでたく受注した暁には、建設業界の慣行として、受注した企業は工事を紹介してくれた管理会社に謝礼を支払うのが常識となっているからです。

すべての見積もり参加業者を管理会社が選定することに成功すれば、管理会社が各業者に対し、それぞれが管理組合に提示する見積もり金額まで指定してしまいます。受注を約束された最安値の業者(業界の隠語で「チャンピオン」と言います。)を順番に回してゆくのです。いわゆる談合によって、確実に管理会社に謝礼収入が入る仕組みです。

見積もり依頼先の業者選定が管理会社の意のままにならず、管理組合の推薦する業者(業界の隠語で「アウトサイダー」と言います。)が見積もりに加わった場合は、談合が成立しない場合があります。その場合でも、管理会社の懇意にしている工事会社(業界の隠語で「インサイダー」と言います)に対して、「謝礼の額を引き下げても良いので、管理組合の推薦業者よりも何とか安い金額を提示してほしい。」と依頼します。

なんでも管理会社の提案のままに盲目的に承認するような、「くみし易い理事会」であるとみれば、管理会社は更に大胆な行動に出て、大型工事であっても管理会社が元請けとなって工事を提案する場合もあります。
競争もなく管理会社の受注ありきで事が進む場合や、出来レースが仕組める場合には、元請けで受注する方が、工事を紹介して謝礼をもらうよりも、売上げ・利益共に大きく確保できるからです。

「くみし易い理事会」に対して管理会社は、「総会で、どのような比較検討の結果、工事を管理会社に依頼することになったのか説明できるように、複数社の比較検討した資料を作成します。」と提案し、管理会社は懇意の業者に声がけして、自社より割高の見積もりをもとに作成した比較検討資料を用意するのです。
相見積もりは、利害関係の無い複数社から、他社の金額はもちろん、どこから見積りを取るかといった情報まで、全てを伏せて依頼するのが原則ですが、このような「なれ合い見積もり」を許してもらえる理事会が、「くみし易い理事会」です。

管理会社は理事長や修繕委員長など、管理組合のキーマンを取り込もうとします。
管理組合が、独自に選定した推薦業者に対しても、管理会社が管理する他のマンションの修繕工事を含めて、まとまった工事を発注することでいつの間にか管理会社御用達の業者(インサイダー)に取り込んでしまいます。
油断できませんね。

さて、あなたのマンションは管理会社にとって「くみし易い」相手でしょうか。それとも「手強い」相手でしょうか。

マンション管理会社の役員という立場を離れてこの業界を眺めると、大企業の系列管理会社であっても決して管理組合にあからさまに語ることのできない、裏の一面を各社隠し持っていることがわかります。匿名だからこそ本音で、時にはきわどい発言も続けてゆき、マンション管理組合の運営がより実りあるものにできたらと思います。

One thought to “【ある「元」大手管理会社取締役つぶやき その77 】管理会社の修繕工事に対する取り組み姿勢改善に向けて(その1)”

  1. 目下格闘中です。非常に参考になります。他業界電器産業、自動車産業、食品業界、医療器薬品業界
    等他の分野では企業責任が求められ、企業も表向きは尊重しています。
    この業界は騙す、騙されないの2者に絞られて、騙しやすいとするカモが見つかればとことん絞れるものはすべて搾り取ろうとします。それをチェックする組織がありません。国土交通省も形だけは組織を作って東京の1等地に天下りの再就職先をたくさん作っています。マスコミは、多分この分野は広すぎてマスコミの記者達には実態がつかみ切れないため分かりやすい一点については騒ぎ立てます。例は姉歯であり、昨年の横浜のマンション建て替えですが600万戸の2戸に絞られます。 国土交通省は、県、市町村を含めて形だけの対応策を取っているように見えますが関係者の再就職先の片手間仕事の領域を超えません。
     新たな対抗組織を作らなければならないと思っています。問題は建築関係は広がりが非常に大きいことで素人が生半可の知識で入っていくには広すぎることです。さらに国民の多くが加害者側、被害者側それぞれに何らかのかかわりを持つために責任を取りたくないために協力が得にくいことです。まともな発言も3人意見が出ればその一人がつぶしに入る世界です。
    ぜひ、対抗組織を作らなければメールでの意見くらいでは解決できないとおもいます。国土交通省は自民党に支配されて入いて、自民党はこの業界が最も強大な支援母体として成り立っている組織ですから解決するための組織では有りません。
    目下対抗組織の芽が何処にあるかを必死に探していますが、ようやくこの記事に出くわしたのかと思っています。

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