【ある「元」大手管理会社取締役つぶやき その117】再任が認められない役員規定の柔軟な運用は可能か

理事のなり手がなかなかいない管理組合で、役員の再任を認めない規約規定があるが、前年度役員を務めた「妻」に続いて今年度「夫」が役員に立候補できるか(両名とも理事となる資格あり)とのご質問がありました。

民法も、区分所有法も、ましてや管理規約もあらゆる事態を想定した条文を備えているわけではありません。法律や規約に明記されていない事項に対処するには、規約を改定してはっきりさせるか、総会の普通決議で決定すればよいと思います。

私は、「夫」を理事とする総会議案が承認されれば、夫の役員就任は有効と考えます。

仮に総会で「夫」が理事となり、理事会で理事長を拝命した場合、理事長の下した法律行為が無効となることはありません。「どのような判断が、無難であるのか(異論のない完璧な判断)、波風が立たないか」を優先すれば「夫」の立候補は認められないでしょう。

 

 

「(役員のなり手がいない)当面の課題を、違法と言われない手段でどう解決するか」を判断基準において判断することが、問題を解決する有効手段との認識に立てば先の回答となります。

総会の特別決議で法人に移行することが出来る管理組合と言う団体において、管理組合法人成りした組合の理事は、自然人たる誰を理事に選任したのかが問われ、その氏名が登記簿に登記されます。選出母体の属性は関係ないとの考えが成り立ちます。これは上記の判断の妥当性を補強するものと思います。

とはいえ、総会決議は万能ではありません。普通決議で決したことはその後の普通決議又は裁判の判決で覆ります。また、無効を主張する組合員の訴えの利益が認められる場合は、総会決議を判決が覆えすケースもあると思います。常識に照らして無効という理由では覆るのは難しいと思いますが、覆るとすれば、その総会決議の結果予期せぬ共同の利益に反する事態が生じた場合などです。

例えば、1住戸を5人で共有する区分所有者が全員理事となって理事の過半を占め、恣意的な組合運営を行っているといった事態は避けなくてはなりませんが、一般的な規約で明確にこれを否定しているわけではありません。とはいえこの事態は、「専有部分を複数で共有する場合、総会の議決権は共有者間で議決権を行使する者一人選任し、議長に届け出る」との一般的な規約規定から類推すれば、組合員の意見は議決権割合で公平に扱いうという管理規約の理念をゆがめ、理事会制度を骨抜きにする問題ある総会決議です。総会の無効を主張する組合員が出てきそうです。

最終的には、それぞれの管理組合の現状を踏まえつつ、組合員のバランス感覚を総会の中で擦り合わせて合意し、合意した結果はひとまずは有効。運用上不都合があればその後の総会で修正を施すといった対応が求められます。

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