【ある「元」大手管理会社取締役つぶやき その113】ディスポーザー浄化槽の運転最適化で省エネ(その1)

最近の大型マンションでは、ディスポーザーの設置が当たり前になっています。台所の生ごみをディスポーザーで粉砕して流せるのは便利ですね。この場合、台所の排水だけをいったん集めて、ディスポーザー浄化槽で一定程度排水を浄化して公共下水道に放流する必要があります。

ディスポーザー浄化槽では送風機で大量の空気を水槽にブクブク送っています。台所排水に含まれる有機物を餌として食べて浄化してくれる微生物を培養しているのです。微生物は大量の空気吸って増殖しています。公共下水道には有害物質や高濃度の有機物を一定程度除去しないと放流できない決まりです。浄化槽は専門的な装置であるため、管理会社も理解不能のブラックボックスとなっている場合が多いようです。

実はこの浄化槽の運転を適正に行うことで、電気代を節減できる可能性が大です。

ディスポーザー浄化槽に送る空気量は、マンションに、1戸当たり平均3.5人が居住し、全員が毎日自宅で調理した三食の食事を取る前提で決められています。必要となる空気をマンションの台所排水の実態に即して、適正にコントロールできれば、電気代は大幅に節減できると思われます。
さて、今回はこのブラックボックスの浄化槽の運転方法を見直して、電気代の削減を提案するコンサルタントの提案をご紹介します。

ディスポーザー浄化槽運転最適化による省エネ提案

 

(株)カナメサンクチュアリ

1.提案概要

~ディスポーザー浄化槽の運転方法見直しによる電気代の節約を提案します~

殆んどのディスポーザー浄化槽には多数の小型送風機が設置されており、全ての送風機は24時間連続運転しています。マンションの各家庭の台所排水の実情に比べて過剰な運転台数となっている可能性が大です。また、過剰に余剰汚泥の排出費用を負担している場合があります。運転方法の見直しで汚泥の搬出量を抑制できるかもしれません。

そこで、当マンションの台所排水の量、汚れ具合いに応じた、浄化槽の曝気槽(空気による攪拌水槽)に必要な空気量を検証します。送風機の運転台数を変化させ、曝気槽の酸素濃度や放流水質を3カ月から半年程度モニタリング(水質試験費実費は管理組合で負担願います。)することで、必要な送風量を判定し、適正な運転台数を検証します。送風機の一部を停止することが出来れば、永続的に電気代の削減が可能です。併せて、汚泥の搬出量の抑制についても検証を行います。

調査費用として20万円(税別)、更に成果があった場合は、削減可能と算定される電気料金及び削減汚泥処分費(税込み)の1年分から、調査費用を差し引いた金額を成果報酬として申し受けます。

2.ディスポーザー浄化槽とは(図をご覧ください)

台所の生ごみを粉砕した排水は、下水道の排除基準を超える高濃度の汚水です。浄化槽に貯留した汚水に微細空気を大量に送ることで、汚水中の有機物を餌とする微生物が増殖します。高濃度の有機物を微生物が分解し、排除基準以下に浄化します。微生物の死骸は沈殿槽で取り除き、流入水槽に戻します。浄化された沈殿槽の上澄み液だけを下水道に放流しています。下水道の終末処理場に悪影響を及ぼさないレベルに汚濁物質を除去する装置のことを除害施設と呼んでおり、ディスポーザー浄化槽もこの一つです。

3.ディスポーザー処理槽の性能

例えば東京都では下水排除基準を下記のとおり定めています。
http://www.gesui.metro.tokyo.jp/contractor/regulation/information/3kijyun/

これによると、有機物の汚染指標である生物的酸素要求量BOD(Biological Oxygen Demand)で600㎎/L以下、浮遊固形成分のSS(Suspended Solid)で600㎎/L以下、ノーマルヘキサン抽出物(動植物油成分)30㎎/L以下となっています。通常マンションのディスポーザー処理槽の性能は、BODで300㎎/L以下、SSで300㎎/L以下、ノーマルヘキサン抽出物で30mg/L以下となっています。マンションの台所排水では油性分が問題になることは希ですので、ディスポーザー浄化槽は、都の排除基準を上回る高い性能を有していることがわかります。

BODとは

Biochemical Oxygen Demand(生物化学的酸素要求量)の略です。
水中の有機物の量を、微生物が分解するために必要とする酸素の量で表したものです。特定の物質の量を示してはいません。5日間20℃の一定温度で保存し、その間に水中に溶けている酸素が、1リットル当たり何ミリグラム減少したかを測定します。
有機物(微生物のエサ)が多く含まれる環境で、微生物は多くの酸素を消費しますからBODの値は大きくなります。水中の酸素の減少量で有機物の量を推しはかるのです。

SSとは

Suspended Solid(浮遊物質)の略です。
水をろ過した時にフィルターに残った不溶解性物質が水1リットル当たり何ミリグラムかを示すものです。水質汚濁の指標の一つで、懸濁物質(水に溶け切らない微細粒子)ともよばれます。SSの数値が高いと水が濁って透明度が低下します。

ノーマルヘキサン抽出物とは

水中の油分の濃度を表わす指標です。ノーマルヘキサンは、水とは混じりあわないが油分と混じりあいやすく、かつ非常に揮発しやすい液体です。ノーマルヘキサンと検査対象の汚水を混ぜ合わせ、静置して二層に分離させた後に、ノーマルヘキサンの層だけを取り出して揮発させます。揮発後に残った油分やアルコール等の重量が水1リットル当たり何ミリグラムあるのか測定します。

4.送風機の設置状況と運転方法

多くのディスポーザー浄化槽は、小型の送風機を必要な台数並列で設置(500戸のマンションでは1.5kWの送風機を10台程度設置)しています。これを一つの蓄圧タンク(径の太い配管)にため、蓄圧タンクから分岐してそれぞれの処理槽に空気を分配しているのです。送風機には予備は無く、設置しているすべての送風機を24時間連続運転しています。(稀に、必要な送風量を賄える大型送風機を2台設置し、内1台を予備機として交互運転しているケースもあります。)

(その2)に続きます。

今回のコラムで取り上げた内容については株式会社カナメサンクチュアリの奥隆志氏(080-8434-5452)のご協力をいただきました。

 

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