【ある「元」大手管理会社取締役つぶやき その122】若手スタッフばかりの清掃会社

従来の発想と異なる視点で事業展開されている、ハステックという清掃会社をご紹介します。
活力のある若手(大学生を含めた非正規雇用の若者中心)のスタッフを多く抱え、清掃や設備保守を含むマンパワーを要する業務をこなしている会社です。社長の田島氏は35歳の青年実業家です。スタッフの平均年齢も27歳と異例の若さです。

マンション管理員や清掃員を採用する管理業界の常識は…

  1. 若手が応募しても、定期昇給や希望する賞与を支給できないので長続きしない。
  2. 若手社員を現場に出して一人勤務をさせると、まじめに勤務しているか不安。
  3. 定年退職して年金生活の高齢者はまじめに勤務してもらえるし、定期昇給も不要。

しかしながら、学生やフリーター、更にはダブルジョブをこなしてでもお金を稼ぎたい社会人など、労働市場の隙間で、自分の自由になる時間で効率よく働きたい若者や、組織に帰属して拘束されない働き方を志向する若者が多数いる事。彼らが管理員(小規模物件の短時間勤務の)や清掃員の業務にマッチするという話を聞いて、成る程と唸ってしまいました。

高齢者ではなし得ない機動性と効率の良い作業を行い、更にはスマホ世代ならではのリアルタイムで作業完了チェックが可能なDX対応のシステムを提供する事で、近年業績を伸ばしているとのことです。

スタッフの採用は、職安や求人広告ではなく、TikTokを中心にSNSで、採用担当の新卒が同年代の仲間を呼び込むような、サークル勧誘的なノリで行っているようです。
応募者も清掃会社に清掃員として応募したという認識はなく、自分の働きたい時間に様々な仕事に就けることに魅力を感じているようです。
(たとえば某有名うどんチェーン各店の製麺機など機器の定期保守は同社が行っているそうです。)

 

 

同社の特徴は、

  1. 業務は全て現場ごとに作業マニュアルの動画を作成し、在宅のeラーニングで習得させる。現場に出てわからないことは会社の指導者がサポート
  2. GPSで物件への到着・退出(作業時間)を把握し勤怠管理。遅刻や勤務懈怠を察知すると別の待機要員を派遣
  3. ビフォアアフターの写メを会社に送らせ、即時出来栄えを判定(このスタッフとて在宅の若手社員)し、必要に応じて手直しを指示
  4. 業務報告書面(発注者の希望する様式で応じてカスタマイズ)を作業完了後即時提出

マンション管理業界は、何処も清掃員や管理員の採用、特に短時間勤務現場のスタッフの確保に苦労しています。勢い後期高齢者になっても尚契約継続をお願いせざるを得ないスタッフも増え、高年齢化がさらに進んでいます。
スタッフの一層の高齢化は、作業の迅速性、確実性に懸念が生じます。高所作業やマニュアルに沿った作業が困難となり、労災事故が増加するといった問題も生じます。

ハステックは個々の若者に対して個人の都合にマッチングする仕事を提供しています。仕事の提供だけに限らず、スタッフは都内各所の拠点に出勤時、社食サービスがうけられます。拠点に出社すると、小さく分解して専用リュックに収納できる清掃用具一式を受け取って、レンタル自転車やバイクで物件を巡回します。仕事が終われば都心で同年代の仲間と交流できることにも若手スタッフは魅力を感じているようです。

400名以上の若手スタッフを確保し、教育は業務ごと、現場ごとのマニュアルを動画にし、eラーニングで行う。
スマホを有効活用して位置情報を把握し、作業実施毎に仕事の仕上がりを即時報告させ、在宅社員が直ちに評価判定し業務の品質を確保する。(無断欠勤や手直しの多いスタッフには仕事を回さない)

評価判定や勤怠管理の結果と、本人に任される仕事の割り当てや給与が連動するシステムを運用することで、品質の維持と同時に有能な人材の選別が可能なのだそうです。

掛け持ち現場の移動は電車やバスの公共交通は使わず、自転車やバイク。作業時間も高齢スタッフに比べ短時間で収まります。短時間でより広範な作業を高品質で行うことが出来るシステムです。

残念なことに、多くのマンション管理委託契約においては、契約上定められた時間、現地に清掃員や管理員を派遣する契約形態となっています。「定期昇給不要でかつ安価な労働力は高齢者」というのが業界の常識であり、高齢者を雇い入れるならば、一定の勤務時間を提供しないと人が採用できないという管理会社のニーズから定着したのだと思います。

当然一日4時間勤務と定めて契約しても、清掃やごみの整理にあたって実作業するのはその半分程度。残りの時間は受付と称して管理室で時間を過ごしているのが現状ではないでしょうか。

共用部分の工事の完了確認。業者へ共用部分の鍵の貸し出し。入居者の苦情の聞き取り。このような、有人対応すべき業務を補完する管理会社のシステムが整えば、必要な清掃を短時間で、若手スタッフが行う形態に移行することが新しい管理形態として普及するのではないかと期待します。

ハステックのお問合せ先 kaname@hastec.jp

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