【ある「元」大手管理会社取締役つぶやき その120】機械式駐車場収入を独立会計にする事に関する考察

標準管理規約第29条に、駐車場使用料を含む使用料に関する以下の規定があります。

「駐車場使用料その他の敷地及び共用部分等に係る使用料(以下「使用料」という。)は、それらの管理に要する費用に充てるほか、修繕積立金として積み立てる。」

それらの管理に要する費用とは、どこまでをいうのでしょうか。

機械式駐車場の場合、保守管理費、電気代、修繕費、設備更新費、建屋の建て替え費用などを長期的に試算し、月額に均した金額と私は考えたいと思います。平面駐車場の場合は、車路を含めた舗装や白線の引き直し費用、清掃費、照明電気代、更には自動ゲートがある場合の修繕費、更新費、リモコンの更新費等が考えられます。明確に算定できないものは想定値でもよいですから把握されてはどうでしょう。

管理費から支出される、「それらの管理に要する費用」を駐車場使用料が上回る場合は、この余剰は「管理費ではなく修繕積立金として積み立てる」のが、標準管理規約の考え方です。

管理費に不足があるからと言って、それらの管理に要する費用を支払った後の余剰の駐車場使用料を管理費に充当することは、標準管理規約に沿った規約の場合は、できないとの規定です。(規約でこれを容認する規定とする事も可能です。)

以上のことから、それらの管理に要する費用は長期的に試算し、設備の更新まで含めて広義に解釈し、管理費への充当可能額を十分確保することが肝要と思います。

更に同条のコメントには以下の記述があります。

「械式駐車場を有する場合は、その維持及び修繕に多額の費用を要することから、管理費及び修繕積立金とは区分して経理することもできる。」

エレベーターやプレイロット等の特定の施設を利用するかしないかで、すべてを受益者負担の考えで費用負担する事は、受益者のグループがいくつも存在し、算定が困難であることに加え、管理費用の負担方法を原則「専有部分の面積割合=敷地及び共用部分の持ち分割合」とする区分所有法の理念にそぐいません。

マンションの共用施設が、全員の共有となっていることを容認して組合員になったのだから、共用施設の管理に関することは、上記の原則を念頭に、全ての維持管理に関する支出を管理費から一律に支出することが一般的であることは言うまでもありません。

とはいえ、特定の施設が特定の区分所有者の使用となっており、使用者が負担する使用料をもってしても著しく多額の費用を組合員全員が負担する事になれば、不公平感が高じることも当然です。コメントの「機械式駐車場を独立会計とする事ができる規定」については、この不公平感を組合員間で認識し、その事実を如何に受け止めるべきか、これを是正するには如何なる方策があるかなどを協議するよう啓発しているのではないでしょうか。

 

エレベーターのための費用(保守管理費や電気代など)は、エレベーターを利用しない1階の組合員を含めた全員が負担する管理費から支払うことは広く許容されています。同様に、機械式駐車場の管理に要する費用が、駐車場使用料をもってしても不足する場合、管理費や修繕積立金から補填すべきだと考える方がおられます。でも私にはこれには違和感があります。

エレベーターが無ければ、せいぜい4階建て程度のマンションしか不動産として成立しないでしょう。高層の分譲マンションを販売するということは、土地の取得原価を多層階の組合員で分け合うという意味があります。

1階のエレベーターを利用しない組合員の分譲単価を含め、マンション全体の分譲単価をローコストに仕上げるために、エレベーターは必須の施設と考えられませんか。必須施設のための費用だからこそ組合員全員が負担するのが当然と私は思います。

一方、広義の機械式駐車場の管理に要する費用が、機械式駐車場の使用料では賄えない場合、特定の契約者のみがメリットを得るともいえる、不足金の管理費からの補填は如何なものかと、駐車場を使用していない組合員から不満が出ることはもっともと思うのです。

その不満を埋めるためには以下の議論が必要と思います。

  1. 収支の不足をいくらかでも補うため、駐車場料金は適正に設定されているか。(人気の高い屋内平面駐車場などは、近隣相場以上の価格でもよいと思います。機械式駐車場は近隣相場に準じるべきと思います。)究極の適正価格はオークションで決定すれば明らかになります。暴論のようですが、管理組合の収支改善に着目した議論が必要です。
  2. 駐車場は永遠の権利ではないことの認識は共有出来ているか。特定の人が入れ替えなしに永続的に契約しているとすれば、これが不公平感の原因である場合もあります。数年ごとに駐車場所や契約者の入れ替え抽選を行うなどの方策も有効です。(それでも駐車場不要の方の不満はのこります。)
  3. 付置義務台数を確認し、余剰区画があるならば、行政と折衝の上付置義務台数の縮減を図りましょう。設備更新時には適正な駐車場台数に減築することも必要です。(多段式駐車場の場合は広く行われています。)
  4. 余剰区画内にトランクルームを設置して、車両同様に組合員に貸し出す、外部の駐車場契約者を募集する、などの方策も有効です。
  5. 上記をもってしても収支が改善できない場合は、マンション内に一定の駐車場を維持することがマンション全体の資産価値の向上に寄与しているのか否か、不足する収支金額との比較衡量で議論する必要があります。不足する金額が高額の場合、駐車場使用者が組合員の過半数であれば不足する金額を管理費や修繕積立金から補填するといった意見が多数を占めるでしょう。そうでなければ、機械式駐車場の撤去など非所使用者寄りの判断が下ってしまうでしょう。
  6. 非課税の共済組合による駐車場のフルメンテナンスリースを検討されるのも一法です。https://ppk.or.jp/

多数決でなんでも決めれば良いというものではありません。組合員の過半数が永続的に駐車場を使用し、総会で駐車場使用者の多数の横暴で駐車場使用料を著しく低廉に設定し、多額の駐車場収支の不足金額を、組合員全員が負担する管理費や修繕積立金から拠出させる組合運営を行ったならば、公序良俗に反する決定として無効と判断される恐れがあります。

このことも念頭に置いて、組合員の皆さんで駐車場に関する問題の認識とその解決について議論を尽くして頂きたいと思います。

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