【マンション管理のリスクをアライ出す、元理事アライのコラム】マンション標準管理規約との出会い

標準管理規約との出会い

最初に知り合いの伝手を辿って他のマンションの管理規約を借りて読んでみました。そこはうちよりも古いマンションでしたが、管理組合は法人化され、規約の改正も適時に適切に行われていました。

その規約を眺めつつネットで情報を漁っているうちに、標準管理規約に行き着きました。
こんなものがあったんだ。早く言ってよ!
でも理事たちは私と同様に標準管理規約のことを知りません。おそらく知っていたであろう管理会社のフロントも教えてはくれませんでした。

標準管理規約というのは、国土交通省が作成したマンションの管理規約の標準モデルです。
国土交通省は、「標準管理規約をベースに、マンションの個別の事情を考慮して必要に応じて合理的に修正し活用することが望ましい」とコメントしています。
また、標準管理規約は、区分所有法やその他のマンション管理に関わる法律が改正されたときや、マンションを取り巻く環境が変わって対応が必要になったときなどに、改正を重ねてきました。

たとえば、専有部分のリフォーム工事の手続規定や建替えに関する規定の整備、管理組合が長期修繕計画を作成すること、修繕等の履歴情報を整理すること、設計図書や長期修繕計画書など重要書類の保管に関する規定を追加したりしています。

最近では住宅宿泊事業法の成立によって民泊が解禁されることになり、民泊を許容するかしないかを規約に明記することが望ましいとの考えから標準管理規約が改正され、それに合わせて多くのマンションが規約を改正したというのが記憶に新しいところでしょう。

20年ほったらかしのつけ

標準管理規約を入手した私は、標準管理規約とうちの管理規約の相違点を洗い出してみました。
エクセルで標準管理規約とうちの管理規約の対応関係を一覧表にし、ひとつひとつの条文について同じ内容である、若干の違いがある、内容に問題がある、標準管理規約にはあるが当マンション規約には無い、その逆、などと分類しました。

その結果、「標準管理規約にはあるが当マンション規約には無い」という条文が相当数に上ることが分かりました。
うちの規約はそれまでに数回の改正があっただけで、それもマンション独自の問題に対応するためのほんの数箇所の改正でした。
標準管理規約は何度も改正されていましたがそのための改正は一度も行われていなかったので、乖離が激しかったのです。

当初は実態と合っていない部分をなんとかしたいと考えていましたが、そのためには案件ごとに調査したり理事会での十分な検討が必要であり膨大な時間が掛かること、標準管理規約との乖離が激しく、不足部分を新規で追加したり変更箇所を修正するだけでも相当なボリュームになることから、実情に即した改正は後日時間を掛けて行うこととしました。標準管理規約に新たに追加された条文の追加を軸に、シェアハウス対策の条文を追加した規約改正案を作成し、総会に上程しました。

総会当日、出席した区分所有者と委任状での出席者による賛成票を管理会社が集計して4分の3の賛成が得られたとの報告があり、規約改正案は可決しました。
ところが若干の問題が発生し、理事会にて検討した結果、改正案は否決、翌年への継続審議扱いになりました。改正内容に対する反対により否決というわけでは無かったので、理事会では継続して改正作業を進め、新たに問題になりつつあった民泊対応(民泊禁止)などの条文も追加して、翌年再度上程し可決されました。

変更は100箇所以上におよび標準管理規約との差異はほぼ無くなりましたが、当初の目論見とは違って実態に即した対応はごく一部です。変更するにはひとつひとつじっくり検討する必要がありますが、その時間が取れなかったためです。
また、理事会の下部組織として作業部会を作り改正作業はそこで行うという形をとりましたが、結局ほとんどの作業を私一人で行ったためノウハウが理事会に蓄積されませんでした。情報や作成した資料は随時理事会に展開したので、現在および今後の理事さんたちには是非頑張って改正作業を継続していただきたいものです。

One thought to “【マンション管理のリスクをアライ出す、元理事アライのコラム】マンション標準管理規約との出会い”

  1.  「標準」が曲者で、管理規約(例)と考えないと、大変な目にあいます。
     マンション管理センターも言っていますが、あくまでも例で、その通り管理規約を改正しても、守れない条項がたくさんあります。
     そこに気が付かれたのは立派です。
     管理組合は区分所有者が同一の権利と義務を負う組織で「水平」の組織で、誰が偉いわけでもありません。
     ところが、規約はどうしても「垂直」にならざるを得ません。
     そのバランスを保ちながら、区分所有者の責任と自由を、最大限に果たせる「最大公約数」なものを作らなければいけません。
     管理規約や法律に100点満点はありませんから、80点を目指し、迷惑施設ではなく、地域に喜ばれるマンションにしていきたいものです。 

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