【図面を取り戻せ!~大規模修繕後の戦い】11.ピコピコ問題(管理会社の不正利得疑惑)

さて、妻と共にこの問題に取り組んでいるI子さんだが、彼女は彼女で、以前から、管理会社のS社に疑問を持っていたのだという。

「3年ほど前に、各戸で使われているガス漏れ感知器の一括交換が行われたの、覚えてはります?」
I子さんの問いかけに、妻が確かめる。
「ピコピコってやつ?」
「そう、ピコピコ。あの交換の時、管理会社のS社が最初に出してきた見積額は50万円ちょいだったんですよ。」

議事録でそのことを知ったI子さんは、たまたま知り合いが同じ機器を扱うK社に務めていたことから、見積もりを出してもらったのだそうだ。
「でね、K社の出した額が42万円。」

I子さんは、K社からのその見積額を、管理会社を通じて理事たちに提案した。なので、次回の理事会では、価格がより安いK社への発注が決まるかと思いきや、
「管理会社も見積額を同額の42万円に値下げして、再提出してきたらしいんです。」

いきなり10万円近くも値下げできたということは、普通に考えれば、

「S社め、もともと高めに見積もってたのかっ!? 素人だと思ってなめやがって!」

となってもおかしくないところだが、管理会社担当社員の巧みな誘導により、当時の理事たちは、S社に交換工事を発注するよう仕向けられてしまったらしい。
「しかも、K社にもあたしにも、ぜんぜん報告はなくって…。あたしなんて、議事録を見て、S社に発注することになったのを知ったんですよ!」

議事録を読んだI子さんは、直ちにS社の担当者に、次のような抗議のメールを入れたそうだ。

「K社の見積り金額とぴったり同額に合わせて、管理会社との契約締結ということになったようですが、これでは、どんな金額で見積りを出しても、管理会社が値下げをして契約を勝ち取ることになりませんか。正直騙された気分です。
しかも一度の連絡もなく、私が掲示板の議事録を見るかたちで結果を知ることになるとは、これを誠実な対応と言えるのでしょうか。
K社は、場合によれば更なる値引きも考えるとのことでしたので、マンションにとって有利な契約の機会を管理会社が奪ったとも考えられます。
K社の担当にもご納得いただくために、詳しい経緯説明をお願いします!」

I子さんの抗議の甲斐あって、その次の理事会では再検討がなされ、そして最終的にはK社が更に値下げをして、こちらに発注することに決まったのだが…。

「管理会社側が、もともとは、10万円近くも値下げできるような金額で見積もってたってのが、どうしても納得できないんですよ。」
「しかも、理事たちを言いくるめて、自分のとこに発注するようにしむけたのもねぇ。」
「そうなんですよ! そんなことされたら、同じ住民同士なのに、理事たちにも不信感を持っちゃうじゃないですか。しかも、K社のその知り合いによると、交換作業の前に、管理会社から『営業活動をしたいなら、マージンを支払え』って言いわたされたって…。」

「ってことは、今、マンションに関わっている会社は、皆、S社にマージンを払ってるってこと?」

「そうなりますよね。ちなみに、要求されたのは7~15%プラスアルファだったそうですよ。」

出入りの業者からマージンをとるというのは、もしかしたら管理会社一般がふつうにやっていることなのかもしれない。しかし、理事を言いくるめたことを含め、S社のやり口は、やはりいただけない。

「そういえば、今年の建物定期検査でも、S社の見積額って他のより高かったよね?」
ヤツらによると、今期は、法令で3年ごとに行わなければならない定期建物調査の実施年度にあたっていたそうなのだ。そしてこの検査に、S社は15万数千円との見積額を出してきていたらしいのだが…。
「いままでずっとS社が請け負ってきたから、今回も当然自分らが発注を受けるって思い込んではったみたい。でも、建物検査って、大規模修繕の検証にもつながるかもしれへんし、今回はS社に頼むのは、やめた方がええんちゃうってことになって…」
理事たちで手分けして依頼先を探したところ、打診したほぼすべての会社が10万円以下の金額を提示してきたそうで、最終的にはその金額で契約することができたらしい。

「S社の言ってくる金額って、基本的には信用できへんってことやね。」
「マージンも取ってるみたいやし。」
「大規模修繕のコンサルのB建築設計も、S社が連れてきたとこやし、結局はS社も『悪徳コンサル』にかかわってたんちがうかと思うわ。」

I子さんとしては、この大規模修繕問題を切り口に、最終的には、管理会社の変更にも持ち込みたいようだ。

(photo by photoAC)

この春まで、大阪市内のマンション(50戸)で管理組合の副理事長をしていました。昨年の理事の引き継ぎ直後に、その前年に行われた大規模修繕の竣工書類のうち、タイルの補修図面が提出されていなかったことが判明。施工会社に「ゴンドラを掛けての図面復元」を確約させるまでのやりとりや、その間に判明した様々な問題について、オットの目を借りてお伝えしたいと思います。

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