【ある「元」大手管理会社取締役つぶやき その103】管理組合の防災への備えは万全か

今年は大型台風の波状攻撃で、多くのマンション管理組合で甚大な被害が生じたものと思います。

「管理組合で防災マニュアルを策定すべきではないか」

「管理組合として備蓄する防災グッズを検討してはどうか」

被災マンションの被害を目の当たりにして理事会で種々議論がなされていると思います。

マニュアル的なものは多くの自治体で様々なものがネットにアップされています。

目黒区の事例
https://www.city.meguro.tokyo.jp/kurashi/anzen/bosai/plan/manshonbosai.files/mannsyonn_bosai_manyuaru.pdf
新宿区の事例
https://www.city.shinjuku.lg.jp/content/000203288.pdf
船橋市の事例
https://www.city.funabashi.lg.jp/bousai/003/jijo_kyoujo/p039367_d/fil/manshon.pdf

大手管理会社では、それぞれマニュアルを作成していることでしょう。

しかしながら、汎用的なマニュアルを配布してもしまい込まれて、活用されることは期待薄です。

防災備蓄品の購入も、先ずストックするスペースがマンション内に確保できなければ実現しません。

大手管理会社が管理する600戸の大型マンションでは、飲み水と非常食を管理組合で購入していました。ところが、飲み水等の消費期限が過ぎていることが発覚したのです。当然管理組合は管理会社の責任を追及したのですが、購入の手配は承ったが、契約書に無い業務につき在庫管理までの責任は負わないのが管理会社です。仕方なく「消費期限切れで飲めませんが、非常時のトイレの流し水や草花の水やり用にご活用ください。」と無償配布しました。

管理組合は再発防止のため、消費期限前に備蓄品の新品への買い替えと在庫の無償配布を行うことを管理会社に徹底するよう約させ、管理会社のコンピューターシステムにこれを委託業務として登録させたのです。

ペットボトルや非常食を組合で購入・保管し、消費期限の管理といざという場合の入居者への配布を公平かつ確実に行うことは大変な負担です。管理組合でこれをおこなうとすれば、それなりの責任も生じます。管理組合が先ず考えるべきは灌水の恐れのあるマンションでの土嚢や止水板の確保、安否確認のための入居者の情報把握や情報共有のための手立てではないでしょうか。

非常用自家発電設備がある場合でも、燃料の持続時間には限りがありますので、エレベーターや給水設備の間欠運転の計画やその告知が重要です。受水槽があるマンションでは、断水の場合受水槽の水を採水できる設備をもうけ、水を各戸に配付する手順を取り決めておくことも有効です。

 

 

とはいえ、災害にあたっては管理組合や管理会社に何とかしてもらうとの発想は捨てて、各住戸で防災対策をしっかり行うことがより大切と思います。
今回の台風では、長期間の広域停電や、一部のタワーマンションが電気設備等の損傷でその建物だけが停電となる事態も生じています。部屋は無事でも、超高層階の自宅に歩いて上る(当然降りるときも歩く)ことと、水と電気が無いことが問題なのです。台風当日や翌日はコンビニの商品もほとんどなくなりました。

私は、台風で自宅マンションが数日停電した経験から以下の防災対策を実践しています。

  1. カセットコンロと相当数のカセットガスボンベを備蓄(鍋で米を炊くことを練習しておくことをお勧めします)
  2. 十分な米を備蓄(アルファ米のように水だけでごはんになるお米もあります)
  3. 非常用飲み水の備蓄 (ペットボトル2L×20本)
  4. お風呂の水は次に入れ替えるまで流さないで常に確保(トイレの流し水などに利用)
  5. 携帯充填器の常時充電
  6. 缶詰、瓶詰、レトルト食品の備蓄
  7. ろうそく、懐中電灯の確保
  8. 非常用トイレと専用凝固剤(流し水があってもトイレが詰まる可能性があります)の確保

そして当然ですが、台風接近に備えて、ベランダの鉢物や私物は全て屋内に収納します。管理組合としては、マンション居住者の自覚を促し、日頃から防災の備えと行動を啓発することが一番大切と思います。

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