管理会社が予防保全を行ってきたと言いながら、担当フロントは過去どのような予防保全を行ったのか承知していなかったので調べてもらいました。すると、建物竣工後9年目に給水ポンプの大掛かりな分解整備を行っていたことがわかりました。
疑問に思い設備の専門家に過去行った給水システムの保全をレビューしてもらうと、いろいろなことがわかってきました……。
前回のコラムその1はこちら
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マンション管理組合は管理会社にこの内容を示して、見解を求めましたが、施工済みのことでもあり、以下の回答の通り、らちがあきません。赤字は専門家のコメントです。
①長期修繕計画によると2014年から2016年に更新予定でした。
リビングアメニティ協会やベターリビングによる取替周期の目安(10 年)を大幅に超えて使用されている状況でした。
業界団体の推奨する取り換え目安を妄信してはいけません。
②18 年目に改めてオーバーホールを行うことは、機器の分解作業時の状況によっては消耗部品の交換だけでは済まないケースが想定され、そのような場合には当日中に機器の復旧が出来ない可能性も考えられます。ライフラインである給水ポンプユニットにおいては不具合発生時の影響が大きく、大型マンションでは使用年数に応じで設備の更新を行う必要があると考えます。
一系列4台のポンプシステムは同時に動くのは最大3台までです。常に一台予備で停止していますから、予備ポンプを順番に分解整備すれば断水にはなりません。
③ゴム製フレキシブル継手もゴム部分の劣化が懸念されます。なお、パイプサイレンサーは給水ユニット吐出配管に設置されているため破損・漏水時には断水事故となってしまいます。経年の使用に伴う劣化が考えられるため再利用をお勧めしておりません。
まだ使える継手やサイレンサーは故障時の予備として保管しているのでしょうか。(廃棄していました)
④交換工事のタイミングでは部品の供給が可能であっても、次回の修繕時期に再度入手できる保証があるわけではなく、使用年数に応じて現行機種に変更していくことをお勧めさせていただいております。
現行機種のポンプ制御盤と共通の旧制御盤の基板部品は故障時の予備として保管しているのでしょうか。(廃棄していました)
つまりは見解の相違というわけです。
長期修繕計画通りに最大の工事売り上げと最大の利益を上げたい管理会社の見解。
このままでは修繕積立金の大幅な値上げ若しくは100万円単位の一時金の拠出を余儀なくされる管理組合の見解。
立場が変われば、かくも相違するのです。
更新や全面修理ではなく様々な選択肢を管理組合は検討すべきです。
①修繕を見送り、全面壊れるまで使う(事後保全)
___少額なものやすぐに調達できるものは事後保全でもよいのです。
②修繕を先送りする
③部分補修・部分施工をする
これらの選択肢を管理会社はプロとして適切に管理組合に提案すべきだと思います。前回コラム同様の結論ですが、管理会社が管理組合に寄り添う目線で、修繕提案をしてほしいものです。
50世帯余りの当マンション増圧給水ポンプは10年目にユニット交換済み、2週間後に築14年目にして初のオーバーホールを控えております。ちなみに工事費は約90万円、日中6〜7時間断水です。
以下の赤字部分が目に留まりました。
>>一系列4台のポンプシステムは同時に動くのは最大3台までです。常に一台予備で停止していますから、予備ポンプを順番に分解整備すれば断水にはなりません。
⇒当マンションポンプは1機2台装備です。上記コメントから察するに、「1台」ずつ順番に分解整備をすれば断水にはならなかったでしょうか。
>>まだ使える継手やサイレンサーは故障時の予備として保管しているのでしょうか。
⇒今から管理会社(元請け工事です)に「保管」を指示すべきでしょうか。
>>現行機種のポンプ制御盤と共通の旧制御盤の基板部品は故障時の予備として保管しているのでしょうか。
⇒これも基板保管を指示すべきでしょうか。
50世帯余りの当マンション増圧給水ポンプは10年目にユニット交換済み、2週間後に築14年目にして初のオーバーホールを控えております。ちなみに工事費は約90万円、日中6〜7時間断水です。
➡50戸のマンションなら、5.5キロワットくらいのモーターのポンプだと思います。小型のポンプほど分解整備をすると経費倒れです。大型ポンプも小型ポンプも部品点数は同じで、ほぼ同じ手間がかかるからです。この程度のポンプは壊れるまで使ってもいいと考えます。
経験上15年から20年程度は持ちますよ。
一台45万円あれば、新品が買えるくらいの価格なのではないでしょうか。
10年でユニット交換は早いですね。何か故障等不都合があったのでしょうか。また、4年目にオーバーホールも早すぎると思います。ベターリビングという業界団体の指針は確かに10年で交換、4年でオーバーホールとなっていますが。
コラムで述べたのは、オーバーホール中に不測の事態が生じると想定外の部品の調達が必要となる等、長期間の断水の恐れがあるとの管理会社のコメントに対する反論です。
お問い合わせのマンションにおいても、基本的に一台ずつ分解整備すれば仮に内一台が即日整備終了できない異常事態となっても、一台だけで何ら不自由なく揚水することが可能です。数時間の断水に理由があるとすれば、ポンプを外して取り付けた後、試運転の際にまれに錆やオイルが飲み水に混入しないよう、水を排出するために安全のため断水の予告をするのかもしれませんが、数時間も必要とは思えません。
>>まだ使える継手やサイレンサーは故障時の予備として保管しているのでしょうか。
⇒今から管理会社(元請け工事です)に「保管」を指示すべきでしょうか。
➡今回計画のオーバーホールでは交換部品のベアリングやメカニカルシール、リングパッキンなどは再利用不可ですので保管の意味はありません。
>>現行機種のポンプ制御盤と共通の旧制御盤の基板部品は故障時の予備として保管しているのでしょうか。
⇒これも基板保管を指示すべきでしょうか。
➡コラムに書いたマンションは荏原製で、ユニット全体が新型になっていてもプリント基板が旧型と同一で互換性があるものでした。貴マンションで同様のことが可能かはわかりません。たとえ利用できたとしても、10年目に行った給水システム交換時の部品は廃棄していると思います。
ご回答の程、誠にありがとうございます。
当マンション使用機種は荏原50PNAEM2.2A(50PNAFM2.2Aの誤りかもしれません)です。
ネットでちょっと調べても商品定価400万余り、販売価格170〜180万円といった様子ですか、ね。(見積取得をしていませんが、これに設置費用が入ると200万円程度の金額となるのしょうか)
ちなみに、増圧給水ポンプは具合が悪くなると一般的にどのような症状が発生するものですか。なかなか点検結果で「分解整備を推奨」と記載をされると、「水」だけにいきなり断水状態で文句を言われるのも嫌だなあと思うのですが・・
お調べになった商品定価はユニット全体(制御盤、ポンプ(2台)、圧力タンク他給水に必要な設備が一つの鉄の箱に入ったもの)の価格ですね。オーバーホールする必要があるという理由は何でしょうか。以下に掲げるような症状もないのに、4年たったからというのではあまりにもったいない話です。
ポンプの掃き出しの水圧が下がっている(機能低下)
振動や異音がする(ベアリングの摩耗・破損、メカニカルシールの摩耗・破損)
絶縁抵抗値の定価(モーター部分の漏電)
ポンプからの漏水(メカニカルシールの劣化)
水の出が悪い、過去に何度か故障した
2.2キロワットの小型ポンプは壊れるまで使った方が結果ライフサイクルコストは低く抑えられると思います。2台同時に壊れることはないですから、長期間の断水になることなありません。
100万円のロレックスは定期的に分解掃除すべきですが、2000円のクオーツ時計は壊れるまで使うのが常識です。ポンプの価格と同等の分解整備費を今回支出しようとしているのではないでしょうか。