ある住戸のインターホンの不具合をきっかけにリニューアルの検討を始め、翌年にはメーカーを呼んで説明を受けたが、「リニューアルの必要性やメリットが分かりにくいため引き続き調査検討事項とする」として問題を先送りした21期が終了し、当マンションは22期に突入した。
私は理事になって2年目で、管理規約改正に着手して改正案作りに勤しんでいた頃だ。
インターホンについては、建築関係のプロが揃った理事会の中で、一理事として諸先輩方の話を黙って聞いていた。当時は2芯とか3芯とか芯の本数の話や、「3芯なら既存システムが使えるね」、「いや、ダメだろう」みたいな素人には分からない専門的な話で盛り上がっていたので、私が口を挟める状況でも無かったのだ。
この期で行ったことは、費用負担に関する検討、採用する仕様のおおまかな検討、来期で実施するための予算確保だ。
インターホンの制御システム、配線は共用部分、室内の住宅情報盤は専有部分にあたる。住宅情報盤の費用を各戸で負担するのか管理組合負担にするのかについて「今後(来期で)検討する」ことを決めた。なぜ今期で決めず来期持ち越しになったかについて、残念ながら記録が無いし、私も覚えていない。まあ、よくある先送りだろう。
インターホンは現行の「音声のみの呼出・通話」から、来訪者を映像で確認できる「カメラ付き」とした。それぞれの住戸前にもカメラを付けるかどうかは未定。
採用する仕様が確定していない、機種も決まっていない状態で、「来期で工事実施」だけはなぜか死守。理事会は、管理会社から入手した超概算の見積もりをもとに事業計画案、予算案を総会に提出し、来期の工事予算を確保した。
ちなみに予算額は住戸前にもカメラがある一番高いものを元にした。さらに住宅情報盤の費用も含まれている。費用負担をどちらにするか来期で検討すると言ってはいるが、検討する気は無さそうだ。
鍵の仕様―シェアハウス問題も視野に検討
鍵は現行のシリンダーから、非接触型の電子キーにすることにした。電子キーはシリンダーより高額だが、物理的な摩耗が無いので交換やメンテナンス費用が抑えられることに加え、管理組合を通さないと鍵の複製ができない、という話が理事会の興味を引くことになった。
そのころ、世間ではマンションの一室でシェアハウスを運営する区分所有者の存在が問題になりかけていた。うちでは半数近くの所有者がマンション外に居住しており、部屋を賃貸に出している。
「今はそういう部屋は無くても、普通の賃貸より利益が見込めるシェアハウスに鞍替えされたら堪らない」
ということで、シェアハウスに対する予防策として管理規約の改正が始まったのだ。
シェアハウス問題について検討する中で、当理事会ではあるマンションの事例を共有していた。シェアハウスを計画した所有者が専有面積にそぐわない数の鍵の複製を管理組合に申し込み、おかしいと思った管理組合が調べた結果シェアハウスへの転用計画が発覚、工事開始前に計画を阻止することができたというもの。このマンションの鍵が電子キーだった。
当マンションでも電子キーにすることにより所有者や賃借人の不自然な動向をつかみ易くなるかも、との考えが、電子キー導入の理由の一つだ。
なお、私たちが検討していた非接触型の電子キーはIDの取り扱いに2種類あり、どちらを採用するかはこの時点で決まっていない。
物事が進まない理事会
2年前(20期)に「来期の工事予定」として登場しながら、このときまで仕様を検討するだけで決定には至っていない。物事が進まない理事会だなーとうっすらと感じていたけど、今回振り返ってみて改めて遅いことを実感した。
ここまで管理会社の出番はあまり無い。この件については期限が切られていないからだ。フロントは理事会で理事からの質問に答えたり、理事会に自社の設備担当や業者を呼ぶ手配をするくらいだし、理事のほうも「検討しよう」と言っているだけで、実際にはほとんど進んでいない。のんびりしたものだ。
つづく
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