【ある「元」大手管理会社取締役つぶやき その70】奇跡の自主管理―西京極大門ハイツに学ぶ(その2)

■地域に開かれた日曜喫茶の運営で住民同士の顔が見えてくる

 

 

『 』は佐藤理事長の配布資料からの引用です。

『七条通りに面した、3階建てのコミュニティホールで朝8時半から11時過ぎまでモーニングサービスを提供する「日曜喫茶」が毎週開かれている。コーヒーや紅茶、ジュースといった飲み物とトーストとゆで卵がついて100円。年末年始の日曜日を除き年間51回。毎回40人前後の人たちが利用している。30代から70代後半まで、男性6人、女性16人の居住者22人が、二人交代で運営スタッフを務めており、子供連れから80代の人まで利用者の年齢層は多彩だ。囲碁を楽しんでいる人や住んでいる外国人を交えて英会話を楽しんでいる人たちもいる。日曜喫茶は2009年に始まった。簡易プレハブ製の平屋建て集会所の老朽化が進んで2004年に二階建て、倍面積の集会所に建て替えた。1200万円ほどの建設費がかかった。』

年表を追ってゆくと、その後2008年には隣接地を買収し、コミュニティホールを整備し、更に2016年には集会所を解体して、コミュニティホールを再整備したとあります。

『会場代はかからず、水光熱費は管理組合負担なので、一人100円の売り上げから材料費を引くといくらかの残金が生じ、1年間で数万円になる。これを財源にして、普段は利用しない居住者にも参加してもらう機会として年に1度、無料喫茶という取り組みもしている。
無料喫茶開催日には、マンションの防災委員会とタイアップして防災訓練を行っており、避難訓練で避難してきた人たちに無料喫茶を楽しんでもらいながら、会場内で催される消火訓練などの模擬練習に参加してもらうわけだ。』

『日曜喫茶だけではなく、管理組合総会終了後にマンション内で夜桜を見ながらバーベキューを楽しむ桜まつり、ビヤガーデンをメインとした夏祭り、餅つきやクリスマスイベントを組み合わせた年末の大門まつりといった行事に加え、主に幼児と親を対象として絵本の貸し出しや親子の交流広場のカンガルー文庫、映画会や昼食会、ハイキングといった催し、卓球や健康麻雀クラブ、囲碁などのサークル活動がコミュニティホールを活用して行われている。催しが多彩なマンションである。』

『行事への参加者を増やす為に居住者は無料や定額負担にし費用を管理組合が負担しているところもあるが、外部者をシャットアウトしなければ公平性を保てなくなる。誰でも参加できる開かれたものにするために労力は無償提供し原材料費は参加者負担を原則としている。
大勢の人たちが住む分譲マンションで日常の管理にとどまらず、合意形成が困難と云われる新たな課題への取り組みや運営方法の変更には、日常的に住民同士の顔が見える関係が合意形成を支える基盤になる。』

隣地を買収してまで拡張再整備したコミュニティホールが、かくも有効に活用されていること、外部に開かれた運営を継続していること、これらがすべて自主管理組合の運営のもとに行われていることは驚きです。

佐藤理事長によると、ママと赤ちゃんの公園デビューのように、現役をリタイアした方や、子育てがひと段落したお母さん方が、コミュニティー活動や管理組合活動にデビュー参画していただけるのだそうです。

佐藤理事長の言葉の端々に、長い年月を通して試行錯誤しながら醸成された運営のノウハウを感じます。西京極大門ハイツでは、住民の3~4割の方々が何らか管理組合の運営やコミュニティー活動に関わっておられるそうです。
前回のコラムで紹介した通り、管理組合の総会では100%に近い合意形成で、様々な事業を実践されています。そのための原動力が日曜喫茶をはじめとするコミュニティー活動なのだと感じました。住民の顔が見えてくる仕掛けが奇跡の管理組合の秘訣なのですね。

次回は住まいのニーズに合わせた改修工事の取り組みをお伝えしたいと思います。

 

マンション管理会社の役員という立場を離れてこの業界を眺めると、大企業の系列管理会社であっても決して管理組合にあからさまに語ることのできない、裏の一面を各社隠し持っていることがわかります。

匿名だからこそ本音で、時にはきわどい発言も続けてゆき、マンション管理組合の運営がより実りあるものにできたらと思います。

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