【ある「元」大手管理会社取締役つぶやき その75】奇跡の自主管理―西京極大門ハイツに学ぶ(その6)

■まちづくりマスタープランに基づく組合運営

西京極大門ハイツ管理組合では、2011年度から2030年度までの20年間を見据えた「まちづくりマスタープラン」を策定しています。

1991年度から2010年度までの第一期計画に続き、現在は第二期計画に入っています。佐藤理事長の配布資料から、その構成と内容の骨子を紹介します。

—第一期計画の評価と到達点—
1.建物の概要と改修歴
2.第一期計画の実施状況と評価

—第二期まちづくりマスタープラン—
第1章 序論
計画策定の背景と基本課題として、建物・設備の高経年化の進展と資産価値、居住者動向と高齢化・独り世帯化の進行、温暖化対策やIT化、危機管理などの時代潮流の中での計画であることを述べる

第2章 まちづくりの基本計画
1 住み続けたいと感じる次代(時代)に繋ぐマンション
2 建物や設備が良好に管理され、グレードアップが行われるマンション
3 地球環境に配慮したエコで花や緑豊かなマンション
4 安心・安全に配慮したマンション
5 集住の利点を実感できマンション
6 資産価値が保たれ、住みたくなるマンション
7 居住者が参加し、効率的で開かれ、経営的視点を持ったマンション
以上7つの目標を掲げる

第3章 まちづくりの実施計画
住環境等整備計画、防災計画、長期修繕計画、資金計画などを定める

このような長期ビジョンに基づく組合運営が、組合員のほぼ100%の合意で支持されているのですから驚きます。
次代につなぐマンションのため、西京極大門ハイツでは、環境整備積立金という勘定があります。自治体の条例によって建物の高さが制限されてしまい、現在と同様のマンションを建て替えることが出来ないということが明らかになりました。それを解決するためにも、マンションの隣接地を買収して敷地面積を増やすということに取り組んでいるのです。

以下佐藤理事長の配布資料から引用します。

『分譲後27年目の2003年。将来起こってくる「居住者の高齢化や建物の老朽化、そして建て替え問題」について検討することを目的に「隣地の取得等に関する検討委員会」の設置が総会で決まり、2年間の検討後に出された提言を受けて、まず、2005年度総会で管理規約の使用料の条文改正が行われた。「敷地及び共用部分等に関わる収益(使用料)は、それらの管理に要する費用に充てるほか、短期修繕積立金として積み立てる。ただし、駐車場専用使用料については、環境整備積立金として積み立てるものとする。
環境整備積立金は、駐車場用地棟の買収等に必要な支出を賄うほか、別に細則で定めるところにより、組合員に対するリバースモーゲージ及び住宅取得貸付又は管理組合が区分所有者からの区分所有権の買収費として運用することが出来、支出に不足が生じる時は、駐車場専用使用料収入の八割を限度として借り入れを行うことが出来る。」
続いて、翌年の2006年度総会で実施細目を定める環境整備積立金運用細則の制定と予算額3億5千万円の特別会計予算案が提案された。前年の管理規約改正、1年後の細則制定と特別会計設置とも全会一致で可決し制度運用が始まり今日まで続いている。』

西京極大門ハイツの会計勘定は明確に区分されています。

駐車場収入を長期的な修繕工事で一切消費せず、独立会計として、隣地の買収、リバースモーゲージ(収入のない組合員がマンションを管理組合に譲渡し、譲渡代金を生活費に充てつつマンションに継続居住できるシステム)などに活用できる環境整備積立金を導入したのです。総会で選任される用地取得審査会の5名の組合員が承認すれば、都度総会を開くことなく、隣地の買収や区分所有権の買取りが可能なのだそうです。

制度導入2年後の2008年には、隣接スーパーが廃業となり、管理組合は土地建物を買収。コミュニティホールとして総額1億4,356万円をかけて整備したのです。環境整備積立金運用細則には、同一ブロック内の隣地の買収予定範囲を規定しており、買収予算も確保しているため、理事会の決定と用地取得審査会の承認で、臨時総会を開催することなく短期間で買収を終えたそうです。

__次回、その7(最終回)に続きます。

 

マンション管理会社の役員という立場を離れてこの業界を眺めると、大企業の系列管理会社であっても決して管理組合にあからさまに語ることのできない、裏の一面を各社隠し持っていることがわかります。匿名だからこそ本音で、時にはきわどい発言も続けてゆき、マンション管理組合の運営がより実りあるものにできたらと思います。

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