「特定建築物定期調査」の実例を紹介していきます。
特定建築物定期調査報告書(資料1)の表現を示し、合わせて実際の現象を説明します。
実例①
- 【報告書上の表現】外壁-躯体等-鉄筋コンクリート造及び鉄骨鉄筋コンクリート造の外壁躯体の劣化及び損傷の状況 《調査結果》→要是正
- 【実際の現象】バルコニーのコンクリートスラブで鉄筋が爆裂しコンクリートが剥落しています。鉄筋の腐食が進み剥落の広がる可能性があるため危険です。要是正として指摘します。これは誰が見てもわかりやすい現象です。
実例②
- 【報告書上の表現】建築物の内部-防火区画-令112条第9項に規定する区画の状況 《調査結果》→要是正
- 【実際の現象】パイプスペース内の天井です。ここは防火区画に該当し、配管・配線などが防火区画を貫通する場合は「防火区画との隙間をモルタルその他の不燃材料で埋めなければならない。」という決まり(建築基準法施行令第112条第15項)があります。左の配線の貫通部は不燃材料で塞がれているのですが、右は不燃材料が脱落してしまい貫通部がオープンになっています。火災が生じた時にこの貫通部から上階に火が廻る可能性があり、防火区画として成り立っていません。要是正として指摘します。パイプスペースの上部は暗く、専門の人間がチェックしないとなかなか見つからない部分ですが、ご自宅のパイプスペースでこのような状況を見つけた時は理事会や管理会社に報告しておくのがよいでしょう。
実例③
- 【報告書上の表現】塀等-組積造の塀又は補強コンクリートブロック造の塀等の耐震対策の状況 《調査結果》→要是正
- 【実際の現象】マンションの敷地内にある隣地との境のブロック塀です。基本的に高さが1.2m以上あるブロック塀には控え壁を設けなければなりません。しかし両側を確認しても設置されていません。法令に反しており地震時に倒壊の危険があるため要是正として指摘します。以前コラムでブロック塀について書きましたので、基準や危険性についてはそちらを参考にしてください。
貴重な資料ありがとうございます。
興味を持ち、見ていけば、いろんなところの老朽化が分かります。
まだしていませんが、マンションの中でカギがかかった、電気室、ポンプ室の見学もしてみたいと思います。
いつもありがとうございます。
建物関係で、手持ちで出せる資料は随時アップしていこうと思います。