【マンション管理士ふくろうの実践コラム】いつまでも任期1年の輪番制でいいのか

従前から多くのマンション管理組合で、自主的な管理組合運営ができず管理会社に頼った運営になっているのは、役員の「短期輪番制」に原因があるといわれてきています。

しかし、国交省の平成30年度の「マンション総合調査」でも役員の選任方法は、輪番制(順番)が75%、任期1年が57%、任期2年が36%(前回調査も同じような内容)でしたので、いくら問題だといわれても役員の短期輪番制は完全に定着しているように思われます。

短期輪番制が多くの管理組合に導入されているのは、以下の理由といわれています。

  1. ほとんどの管理組合(73%)では役員は無報酬でボランティアとしての活動であるため、全員の役員就任は公平感がある。
  2. 順番が決まっているため、前もって役員就任の心構えができる。
  3. 全員が役員を経験することでマンション管理についての意識の向上につながり、理事会活動が理解され協力を得やすい環境が醸成される。
  4. 特定の人達による恣意的な管理組合運営という事が起きにくい。

しかし上記以上に重大な問題点として、下記の事が指摘されています。

  1. 単に順番だからというだけで就任した人が多いため、種々の問題に対して積極的な取り組みが行われず、任期満了を優先して困難な事案は先送りをしてしまう。
  2. たまたま輪番で就任した個人のレベルでの理事会運営になるので、年によって管理レベルの差が大きくなってしまう。
  3. 特に1年輪番制の場合には、どうしても長期にものを考えられず、その場その場の対応に終始してしまいがちで、理事会運営の継続性に欠ける。
  4. 長期間、1年輪番制で管理組合運営をしていてもそのノウハウは管理組合として蓄積されず毎年一からのスタートになるため、管理会社主導の運営から抜け出せない。
  5. 上記のような状態でマンションが築30年を超え、建物・設備等に不具合箇所が出はじめても、管理組合としての自主的な対応ができず、管理会社の言いなりになるか、あるいは管理不全マンションになってしまう。

 

改めて、輪番制の問題点を指摘されますとその感は否めません。

それでは輪番制をやめて他の方法といっても、そもそも積極的に役員をしてくれる人がいないので、輪番制にしたという管理組合が多いのも事実です。このような中でかねてより国交省のマンション管理標準指針が「望ましい対応」として推奨しているの「2年任期の半数交代制」です。

これで上記の指摘内容がすべてが解決されるわけではありませんが、2年あれば大方の事は出来ますし、毎年半数の交代で継続性も一定程度担保されますので、1年任期で毎年全員交代制との比較では管理組合運営が大幅に改善できる可能性が秘められています。

任期1年の輪番制の管理組合は、そろそろ自主的管理への第1歩として思い切って、2年任期半数交代制にしてチャレンジしてみてはいかがでしょうか。(photo by photoAC)

管理会社での勤務経験でもマンションの現場責任者(事務局長)というフロントマン等とは一味違った実務経験者として、マンション管理に悩む管理組合様を支援させて頂きます。

4 thoughts to “【マンション管理士ふくろうの実践コラム】いつまでも任期1年の輪番制でいいのか”

  1.  2年半数交代制でも、改善は望めません。
     悪質な管理会社は公平を理由に、理事長に初めての方をするように進言します。
     公平なようですが、これでは管理会社の言いなりの理事長が量産されるだけで、管理は一向に良くなりません。 
     会社で考えると、新入社員を社長にするようなものです。
     詳しい方が理事長になっても、最初の1年は現状把握に精一杯です。
     輪番制は直ちに廃止し、立候補制か推薦制を採用すべきです。
     その際、所信表明をしてもらい、真面目でまともな排他をしない管理運営を宣言させればいいのです。

    1. 器用人様
      コメントありがとうございます。
      返信が遅くなり失礼しました。
      ”2年半数交代でも改善は望めません”とのご意見を頂きましたがどういう体制をとっても結局は管理組合次第なのだと思います。ただ、1年全員交代では役員にやる気があっても時間切れで何もできず知識もノウハウも得られず消化不良のままいつの間にか終わていたという事になりかねませんが、2年任期があれば少なくとも半数の理事は自分たちで総会上程した案の実施に向け残り1年活動できますので1年任期に比較すれば相当程度充実した理事会活動になるのではないかと期待はできると思います。その状態が毎年継続されれば、1年交代時より管理会社主導の組合運営から自主性のある管理組合に代わっていくのではと思われます。(これも期待です)
      私も望ましい体制は立候補制とも思いますが、立候補制にも課題が多くありますので、まずは1年輪番制から2年半数交代とまず1歩進めるましょうという提案です。
      宜しくお願いいたします。

  2.  自主管理の管理組合の経験から、引継ぎを確実に行えなば、1年交代の役員でも運営は可能です。
     これには条件があり、住民の民度が高くなければいけません。
     当地は、風致地区で文教地区でもあり、当初居住者も、会社の役職者、自営の業者、その子女等意識が高く、能力もある方が多く、理事会でも専業主婦が多く、時間に余裕があり、近隣に詳しい方が多く、近隣との関係も悪くはありませんでした。
     建て替え後、管理会社が入り、近隣への配慮もなく薬剤散布をしたため、以後薬剤散布はできなくなり、子供たちが虫に刺されても、我慢せざるを得なくなりました。
     理事会の運営は、引き継ぎ書の正確さにつきます。
     場合によれば、管理規約違反どころか、憲法違反も起きます。
     しかし、実質的にはそうすることにより、区分所有者や近隣の理解も得られ、良好な環境を維持できます。 
     「悪法でも法」ですから、諸法令、管理規約は守らねばなりませんが、グレーゾーンがなければマンション管理はできません。
     人間はデジタルではなく、アナログそのものです。
     アナログを生かしましょう。

    1. 器用人様
       いろいろコメント頂きありがとうございます。
       引継ぎの重要性はご指摘の通りです。
       参考にさせて頂きます。

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