【前回のあらすじ】
大規模修繕工事について、総会が開催された。
理事会は管理会社が提案したままに、総会の議案を上程。
組合員からは、問題点を指摘する声、不満の声が上がったようだが、すでに過半数の委任状や議決権行使書が提出されており、何を言っても議決が覆る状況ではなかった様子。
__こんなことが許されるのか。何か手立てはないのか!?
【総会を牛耳る管理会社。何とかならないか。その2】
___残念ながら、総会の場で交わされた議論を承知していない方々が提出した議決権行使書や委任状も、出席者と同じく有効な議決権です。
ですから、このような場合議決に持ち込んではならないのです。
そもそも、本件議決で利益を受けるA社の親会社の社員が議場にいる中で、彼らの提案について組合員同士が意見交換していること自体問題です。管理会社やA社が質問に答えることはあっても、組合員同士の議論に参加し、意見を表明する資格はありません。席を外すよう求めましょう。
そして、次のように提案してください。
「本件については多くの組合員から異論もあり、拙速な判断は禍根を残すと思われます。せっかく総会を開催していただいた理事長はじめ理事の皆様には恐縮ですが、この場で決議をすべきか、本日の組合員の皆様の意見を踏まえて、今一度組合員の要望を取りまとめたうえで、改めて総会を開催すべきか、ここに出席の組合員だけで賛否を諮ってはどうでしょうか。
委任状や議決権行使書を提出された方々にも、本日の総会の席で組合員から寄せられたご意見を踏まえて、改めて賛否を表明いただいた方が良いのではないでしょうか。
理事長、総会議長としてよろしくご判断ください。」
理事長もこの正論を無視して強行採決はできないでしょう。
可能であれば、当日意見を申し述べた組合員の皆様を次回の理事会にお招きして十分な意見交換をすることも提案されてはどうでしょうか。その際の理事会での意見交換は特別な利害関係人である管理会社やA社は遠慮してもらいましょう。
管理会社は自らの利益のためになんでも強行します。
一部の組合員に不満が残っても、適法な手順ですからと強弁で切る状況であれば、なおさらです。
一部の組合員に不満が残っても、適法な手順ですからと強弁で切る状況であれば、なおさらです。
仮に管理会社の提案をそのまま受け入れるにしても、
①下請け会社の候補に管理組合の信頼できる会社を数社指名しましょう。
②工事請負契約の中で下請からの利益供与(リベートの支払い、社員への接 待等)を受けない旨の管理会社及びA社の誓約を契約に盛り込みましょう。
③前項の取り決めの違反(未遂を含みます)が露見した場合のペナルティー(違約金)の支払いもはっきり約束させましょう。
元請責任を管理会社やその関連工事会社に負わせることには、それなりのコストがかかるということも管理組合として理解していただきたいと思います。
管理会社のノウハウ、意欲、社会的に信用などを総合的に判断し、積極的に大規模修繕工事に関与させ、適正利益を上げさせることは、管理組合と管理会社相互のメリットになるということも事実です。