【ある「元」大手管理会社取締役のつぶやき】
-管理会社が倒産しても保証制度があるから安心?-
管理組合の資金(管理費や修繕積立金)をすべて管理組合側で管理し、管理会社には出納業務を委託しない場合や、管理会社の口座に管理組合の資金が一切通らない出納方式を採用している管理会社に管理業務を委託する場合は、法律上管理会社に「管理費等の保証の措置」は不要です。
一方で、多くの管理組合は、管理会社の口座に管理組合の資金が一時的に通る出納方式を採用しており、一般社団法人マンション管理業協会では、加盟する管理会社に、管理会社の経営破たんに備えて「管理費等保証制度」を運営しています。
「保証があるなら安心」だと、皆さまお考えでしょうが、本当にそうでしょうか。
同協会の保証制度を確認してみると、必ずしも万全な制度ではないようです。
①保証の上限が管理費等の一カ月分です
保証の対象は、管理費、修繕積立金、駐車場使用料等の専用使用料などです。
例えば、修繕工事のために区分所有者から徴収した「一時金」は本保証の対象外ですから、多額の一時金を徴収する場合に、管理費等と合わせて収納を管理会社に委託すると、保証の対象から外れるリスクがあることを認識してください。
例えば、修繕工事のために区分所有者から徴収した「一時金」は本保証の対象外ですから、多額の一時金を徴収する場合に、管理費等と合わせて収納を管理会社に委託すると、保証の対象から外れるリスクがあることを認識してください。
②不可抗力の場合は免責です
戦争、暴動、その他の事変又は自身、噴火・・・・約款にはこんな時には保証されませんよとの記述が並びます。
例えば津波が来て管理会社が飲み込まれ、倒産した場合は保証されないということです。なんか釈然としませんね。
例えば津波が来て管理会社が飲み込まれ、倒産した場合は保証されないということです。なんか釈然としませんね。
③管理会社に騙されたり、管理会社と共謀しての金銭事故は保証されません
管理会社に促されるままに修繕積立金の通帳や印鑑を渡して、金銭を使い込まれた場合は保証されません。管理会社と理事長が共謀して金銭を着服した場合なども同様です。
こんな場合は、管理費等の一か月分どころか、修繕積立金の全てを失うケースもあるでしょうね。
こんな場合は、管理費等の一か月分どころか、修繕積立金の全てを失うケースもあるでしょうね。
④保証基金は15億円しかありません
管理費等保証制度に参加する管理会社は、保証金額の1%を保証基金として拠出しており、その総額は現在のところ約15億円です。
管理費、修繕積立金、専用使用料等の合計が一戸当たり平均3万円とすると、受託戸数5万戸の管理会社が一社破綻すると資金は枯渇します。
もっと大手が破たんすると支払い不能です。支払うべき保証金に相当する額を保証制度に参加する管理会社各社に再度拠出させることになるようですが、その間は保証するための原資は無いということになります。
かなり危なっかしいですね。
管理費、修繕積立金、専用使用料等の合計が一戸当たり平均3万円とすると、受託戸数5万戸の管理会社が一社破綻すると資金は枯渇します。
もっと大手が破たんすると支払い不能です。支払うべき保証金に相当する額を保証制度に参加する管理会社各社に再度拠出させることになるようですが、その間は保証するための原資は無いということになります。
かなり危なっかしいですね。
⑤保証基金はメガバンク数行の普通預金で保管されてます
今時は管理組合でも1,000万を超える預金は別の銀行で分散保管が一般的ですよね。業界団体はおおらかなものです。銀行破たんが起きれば預金保険機構で救済されるのはごく一部でしかありません。
また、一部の管理会社はマンション管理業協会の保証制度ではなく独自の保証会社を立てているケースもあります。
保証する会社や組織について規制する法律の定めが不十分なため何でもあり(形式上違法ではない)です。例えば、、、
①管理会社の親会社であるデベロッパーが保証するケースがあります。
でも思い返すと、リーマンショックのころ(2008年前後)、多くのマンションデベロッパーが破綻しましたが、逆に管理会社はどこも手堅い経営で生き残っています。その逆は稀ですね。
でも思い返すと、リーマンショックのころ(2008年前後)、多くのマンションデベロッパーが破綻しましたが、逆に管理会社はどこも手堅い経営で生き残っています。その逆は稀ですね。
②管理会社の子会社が保証するケースまであります。これなど呆れてものが言えません。
業界は違いますが、旅行代理店が経営破たんした折に、保証制度で戻ってきた旅行代金はわずか1割程度だったそうです。
・管理会社の選定は管理組合の自己責任です。
・保証内容はよく理解しておきましょう。
保証の内容も含めて管理委託契約の条件です。不十分な点、承服できない点は是正を求める権利があります。例えば協会の保証だけでは納得がゆかなければ、親会社や第三者の保証を上乗せで求めるなど大胆な発想で管理会社と対等な立場で交渉してみてください。
菅 理(すが さとし)