【ある「元」大手管理会社取締役のつぶやき】
- 【元管理会社取締役つぶやき その8-2】管理会社と管理組合の本当の信頼関係を築くために(2)-
前回コラムで、管理組合から見た「理想の管理会社」とは、
- 常に管理組合の利益を最大に考え、管理業務に専念する
- 法令を遵守して管理組合の情報公開と組合員への啓蒙活動に徹する
- 小工事や修繕は直接受注せず、その準備や資料作りだけに専念する
- 何より管理委託料が安い管理会社
である、と書きました。
管理会社が多くの業務を元請で行うことは、管理組合の利益になる面も忘れてはなりません。元請下請けにおける元請責任です。
専門業者に何か不都合があった場合でも、管理会社に請け負わせてその下請けで専門業者を使っていれば、その不都合を取り除く(仕事のやり直しを命じる又はできていない作業相当額を返金させる等)責任は元請の管理会社にあります。
また管理員などの従業員の雇用で管理会社に一日の長があります。社会保険や、管理員欠勤時の応援体制など、管理会社に任せることで労務管理は管理会社マターとなります。
これらの責任体制の構築には一定の経費が必要です。管理組合もこの経費が上乗せされることを無駄な出費と思ってはいけません。
月額定額の事務管理業務費を払っているからと言って、大規模修繕工事の準備や管理規約の全面改訂、果ては大地震や台風災害後の一次対応から復旧の準備までなんでも追加料金なしでやってもらえると期待するのは、土台無理な話です。
管理委託先を検討する場合、月額委託料だけを報酬とせず、月額委託料以外の小工事、建物診断、大規模修繕コンサルティング、大規模修繕工事の業者選定等に、管理会社を積極的に関与させ、管理組合の立場に立って業務に協力させてはどうでしょう。
そのうえで専門業者の選定等にかかわった業務に応じ、発注額の一定割合を臨時委託料金として別途管理会社へ支払うなどの工夫はどうでしょうか。
法令上の問題がなければ管理会社を元請として発注し、元請責任を負わせたり、工事や業務の完成保証人になってもらうのもよいでしょう。
法令上の問題がなければ管理会社を元請として発注し、元請責任を負わせたり、工事や業務の完成保証人になってもらうのもよいでしょう。
発注金額が増えるに応じて臨時委託料金の算定割合は低減する等、細部の取り決めに工夫が必要ですが、検討に値すると思います。
なお、「それはいいですね。」と管理組合の提案に協力したそぶりを見せて、臨時委託金の契約を結んでもなお、業者から上乗せしてリベートをもらう管理会社もいるかもしれません。管理会社へのけん制はユメユメお忘れなく。
上記のような不正、背任行為は絶対に行わないことを約すためにも、管理委託契約の中で、万一の場合は相当額(具体的な金額を明記する。)の損害賠償金の支払を約すなど、踏み絵とも言える損害賠償の予約をするのもいいでしょう。
誠実な管理会社にとっては、こんなものを支払う事態などありえないのですから、上記を契約書に盛り込むことは何の問題もないはずです。
菅 理(すが さとし)
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