【元管理会社取締役つぶやき その9】経済誌は管理会社のランキング特集で儲ける(その1)

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【ある「元」大手管理会社取締役のつぶやき】
 【元管理会社取締役つぶやき その9】経済誌は管理会社のランキング特集で儲ける(その1)

日本では有名な経済誌が毎年のように「マンション管理特集」を組み、アンケート形式で管理会社から様々な情報を集め、独自の採点結果をランキング形式で発表しています。

管理会社も管理組合に営業する際、

「○○年の週刊△△誌『マンション管理会社ランキング』で第○位の評価をいただきました」

などと自慢したり、誇らしげに自社のホームページに載せたりしています。

経済誌からこの手の特集企画のご案内とアンケートが届くと、アンケートの質問から裏読みすれば、どんな項目でどのような評価が下るか、大概推測できるものです。代表的なものを挙げると例えば…

  1. 管理費の未収率は何パーセントですか。
  2. 管理費の未収金督促は何カ月行いますか。
  3. マンションの管理戸数と棟数はいくつですか。
  4. 昨年一年間で新規受注したマンションの戸数と棟数はいくつですか。
  5. 昨年一年間で中途解約となったマンションの戸数と棟数はいくつですか。
  6. フロントマンの担当するマンションの棟数と戸数は平均いくつですか。
  7. 従業員数と管理業務主任者、マンション管理士、一級建築士等専門家の在籍人数を教えてください。  
などなどです。設問内容の多くは特集を組むたびに少しずつ替わりますが、素人のあなたも模範解答が想像できますよね。
この手のマンション管理特集は、多くの場合「デベロッパーが販売する分譲マンションそのものの特集」も兼ねています。

特集記事に合わせてマンション管理会社やマンションデベロッパーの記事広告がでています(※)が、この記事広告は結構な広告料であり、中小の管理会社が掲載できるようなものではありません。

つまり、大手管理会社や大手マンションデベロッパーが競って登場します。

経済誌の収入源は書店での雑誌の販売収入だけではありません。この広告収入こそ収益の柱です。
このような記事広告を経済誌のマンション特集号にぶつけることで、管理会社やその親会社であるマンションデベロッパーは大きな反響を期待しています。

だからこそ大手管理会社は特集号の目玉である管理会社ランキングの順位を大変気にしているのです。

ところで、ランキングが発表になったとたんマンション管理の特集号は飛ぶように売れます。
誰が買うのか?

日本の分譲マンションの理事長さんが全員購入するとたぶん10万部近く売れるでしょうが、理事長さんはそんなには買ってくれません。

ランキングで上位になった大手管理会社各社が、まとめてとんでもない量を買い占めるのです。

営業に使うのならコピーすればいいじゃないかと思われますよね。
それが違うのです。

管理会社の取締役時代に大手経済誌の人から聞きましたが(というよりやんわり脅されたのかもしれませんが。)、ある管理会社が管理組合の役員に対して自社がランキング上位になった記事をコピーして配布していることに対して訴訟を提起し、損害賠償金を払わせたケースがあるそうです。

著作権とは厳格なもので、出版社に無断でコピーして営業活動に利用する等許されないのです。

というより、これを許せば出版社のランキング記事特集の収入源の柱が崩れてしまいます。特集記事を組むうまみがなくなるということが問題なのですね。

ということで、広告を出した企業が優遇され、ランキングを上げてもらえるとは思いたくありませんが、経済を論じると同時に経済活動をしている経済誌です。なにがしかの「忖度(ソンタク)」があるかもしれないと考えて記事は読んだ方がいいでしょう。

次のコラムでは、先に掲げた質問内容を一つずつ分析してみたいと思います。

菅 理(すが さとし)

※一見記事のような体裁をとっていますが、よく読むと特定企業の広告です。ページの枠外の「PR」とか「広告」といった申し訳程度の注書きで判ります。

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