- 【ある「元」大手管理会社取締役つぶやき その21】インターネットって全員が契約しないといけないの?-
最近の新築マンションは、ほとんどが専有部に高速インターネットが導入されています。
全世帯が利用できるよう、分譲主が大手のインターネットサービス会社と5年から7年といった長期契約を結び、その地位を分譲後に管理組合へ引き継いでいます。
全戸へのLAN配線工事や設備機器を設置するためにインターネット会社は相当な設備投資をするため、投資資金を確実に回収するため長期契約となっているそうです。
最近では複数の大手デベロッパーがインターネット会社を設立する例もあり、そうでない場合でも、デベロッパーや管理会社はインターネット会社から長期の期間にわたり、毎月リベートを受け取っているケースがほとんどです。
個人がマンションでインターネットを申し込もうとするといろいろな割引制度を使ったとしても、月額3,000円程度はかかります。100戸くらいのマンションで一括契約の場合、例えば月額1,000円になるなら安いと思いますか?
みんな個別契約の場合と比べて安くなっていると納得してしまっていることが実は大問題です。通信のための光回線は複数の住戸で共有するのですから、一人で申し込むより割安になるのは当たり前なのです。
しかも、全戸がまとめて契約するというのはデベロッパーや管理会社の押し付けでしかありません。高齢者の世帯でインターネットを利用しない家もあれば、空室の家もあります。必要な家庭にのみインターネットサービスを提供することとし、その契約を各個別に締結することができれば、そしてその金額を割安なものにできればそれに越したことはありません。
このような要望に応えてくれる大手インターネット業者は皆無です。なぜなら、そんなことができるなら、どのマンションも各戸別の契約に切り替えてしまうからです。
そうなったら管理会社やデベロッパーに回していたリベートも出せなくなってしまいます。
大変稀ですが、この個別契約の要望に応えるインターネット業者も存在します。
まさに割り勘の感覚ですね。
二年毎に利用者の数によって、月額利用料が変更となる場合があります。利用者が増えると料金が下がるわけです。総戸数が大きいマンションほど希望者の数が多くなるでしょうから、お得な料金で利用できるでしょう。
管理会社に交渉して、この利用代金を管理費と一緒に請求してもらうことも可能です。その場合は一件当たり100円の収納委託料を管理組合に支払う用意もあるそうなので、管理組合の収入にもなりますね。
今回のコラムで取り上げた内容については株式会社CITV光(03-3255-0171)のご協力をいただきました。
菅 理(すが さとし)