- 【ある「元」大手管理会社取締役つぶやき その30】管理会社選考プレゼンテーションの謎(その1) -
しかし、選ぶ側の管理組合の視点と、選ばれる側の管理会社の思惑を見較べてみると、何ともおかしなことがまかり通っているようです。
管理組合が、見積もりを依頼した管理会社にマンションを案内するのですが、これ見よがしに大勢のフタッフを引き連れて参加する会社があります。
管理組合の理事の皆さんは、○○会社は5人で見に来た。××会社は4人だったと話題にするのですが、本来経験豊富な提案・見積もり担当者なら一人で十分だと思います。
何の役割もなくただ金魚の糞のようについて回る人数まで勘定して、大勢で参加したのだから契約後のも熱心な対応が担保されるだろうと勘違いさせる管理会社の作戦です。
営業担当者、フロント担当予定者、管理員予定者、会計担当者、技術担当者、支店長等責任者などなど、、、大勢で参加する管理会社もありますね。
頭数を並べるために呼ばれた人員なのか、役割を担っているからこそ参加している人員なのかは、個別に指名して具体的な質問をしてみればすぐわかります。
回答者の答えを遮って営業担当が慌てて回答してみたり(どこかの国の国会の委員会審議みたいですね。)、プレゼンも営業担当だけが流ちょうに説明して、他の担当者は何も発言せず何の役割もこなさないようでは、単なる人数集めのデモンストレーションですね。
でも、判断材料に乏しい組合員にとっては、大勢で参加すると熱心な管理会社と映るみたいです。
好印象を得るために必ず女性社員を出席させるなど各社頭をひねっています。
分厚いカラー刷りの立派な会社案内。説明用の分厚いパワーポイントの打ち出し資料。管理会社の機関誌や管理会社が取り上げられた雑誌、社長が執筆した書籍まで配布する管理会社があります。
組合員一人当分の資料の作成原価はいかほどでしょうか。大勢の人件費を負担し書籍まで配るとなると数千円でしょう。
B社は駅や空港に大きな広告看板を出している。
C社は新聞でセミナー開催の案内をしていた……
「あなたの会社を取材したというこの本だが、会社で一体何冊買ったのだ?プレゼンで全員に配布するからにはとんでもない冊数を買ったのだろうな。この手の社長の自己満足のような本を企画しては企業に売りつける、三流ジャーナリズムに乗せられるような管理会社が、高品質で低価格ですと言っても信用できない。君の会社の本社には社長の銅像や社長室には肖像画まで飾ってあるのだろう。」
本質を見抜くとはこのことですね。
マンションの管理という「品質と信用」を旨とするサービスが、新聞やテレビでの社名の露出で評価を上げ下げできるわけはないのです。
説明すべきは自社が工夫して構築した社内の業務手順、チェックシステム、内部牽制システム、社員研修の具体的な内容、コンプライアンス、それらを通じて目指しているマンション管理への取り組み姿勢であるはずです。
(つづく)