管理会社の罠から抜け出す手立て
管理会社との契約内容が管理組合の思いに反し、理不尽である場合があると思います。
利益を得ることを目的とする管理のプロ(管理会社)と素人の団体(管理組合)が契約を結ぶのですから、当然と言えば当然です。
法律家に相談しても、「契約上の定めが明確であれば、少々不合理な内容であったとしても、民間同士が取り決めた事項は尊重されるため、管理会社の主張を覆すのは難しい。」となかなか満足のゆく回答は得られないでしょう。
以下のような事例においてはどのような対応が可能でしょうか。
①10年契約の管理委託契約を締結してしまい、管理会社に対して契約期間半ばで契約解除を申しでても、中途解約の規定がなく、応じてくれない。
②管理委託契約の解除を申し出るには、総会の特別決議(組合員および区分所有者の総数の4分の3の多数が必要)が必要と管理規約に明記してあり、通常決議による解約に応じてくれない。
管理会社の見解に関わらず、以下の手続きで総会の普通決議を経て解約を強行する手立てが考えられます。
①まず現在の管理会社に通常決議での契約解除を求める書面を管理会社の社長あてに送り、回答を書面でもらいましょう。(結果はたぶんノーですね。それでいいのです)
②現在の管理会社を含め、複数の管理会社の比較検討を行い、変更する管理会社を選定しましょう。その際、解約の条件は3カ月前に通常決議を経て行うことで良いか(他の管理会社は当然異存ないはずですが)契約条件を示して同意させておきましょう。
③総会の通常決議で管理会社の変更を決議します。
④現在の管理会社に管理の終了時期を(十分な告知期間をもって)通告します。
⑤同時に管理費の自動引き落とし手続きを取りやめ、管理費の収納口座の通帳と資金を回収します。
管理費の収納口座が理事長名になっていれば、これを管理会社から回収すればOKです。管理費の収納口座が管理会社名となっていれば回収は出来ませんから管理費の自動引き落としを取りやめます。管理費の自動引き落としが、管理組合と銀行や収納代行会社との直接取引なら理事長が手続き可能です。区分所有者との個別契約なら、区分所有者全員から収納契約の解除を申し入れるのです。
⑥これで契約終了予告日以降管理費が管理会社の手に渡らない措置が取れます。お金を払わず、仕事もするなと申し渡しているのですから、仮に管理会社が反論するにしても、委託料不払いの契約違反だから契約を解除するといった反撃しかできないでしょう。管理会社から解除してもらえばいいのです。
管理会社は客商売です。何より信用や評判を落としてしまうと、一大事です。
管理会社との交渉においては、通常決議による契約解除を飲まないのであれば、国土交通省やマンション管理業協会の苦情窓口(管理会社がマンション管理業協会の会員社である場合)、消費者センター、マンション管理新聞社などのマスコミ等に相談してアドバイスをもらうつもりだと伝えるだけで収まるのではないでしょうか。①の回答書は相談する際の説明資料として活用しましょう。
それでも埒が明かないなら、上記の手順をフロントから会社幹部に伝えてもらい、管理組合の覚悟を示せば、管理会社も契約解除に応じてくれるのではないでしょうか。