管理会社ランキングトップクラスの、当該マンションの管理会社が、管理組合からの相見積もりの要請に対して、このような回答で乗り切るよう社員を教育し、自社の見積もりだけで工事を承認させているとは驚きです。
Pattern②「管理会社以外の見積もりを比較したいなら理事会が独自に業者を選び、その業者に工事内容を説明し、現場を案内して、見積を依頼すればいい。」と開き直る。この場合「管理会社は一切協力しない。」「トラブルが生じても管理会社は責任を負わない。」等と相見積もりを断念させるようプレッシャーをかける。
Pattern③管理会社の見積もりのほかに、常に数社の相見積もりを提示する。管理会社に必ずしも発注しなくていいとの建前。(でもなぜか常に管理会社の見積もりが最安値となっている。親しい業者に管理会社より高めの見積もりを出してもらっている。)
Pattern④管理会社は一切工事に関して見積もりを提出せず、管理会社が選定する複数社の相見積もりを提出する。(内情は、管理会社が見積もりを取る専門業者の顔ぶれは工事種別ごとに固定化しており、各社の提出する見積もり金額を管理会社が指図することで、順番に工事を取らせている。談合を取り仕切る管理会社には、専門業者から所定のバックマージンが入る仕組みが出来上がっている。)
管理会社のリプレイスが当たり前の時代です。
管理会社の選定において価格面を最優先して管理会社を見直すと、管理の本業ではどの会社も採算が取れなくなってしまいます。そのため、いったん管理を受託すれば、受託したマンションは自社の縄張りだと言わんばかりに、管理組合から発注する特別な管理、備品の購入、保険金の対象となる事故の復旧、小修繕や大規模修繕工事等はすべて管理会社の利権だと自認して、利益を吸い上げるのです。
そんな中でPattern⑤の対応を取る管理会社もごく稀ですが存在します。
しかしながら、管理会社はボランティアではありません。本業の管理以外の部分で一切利益を上げないとの方針を貫徹するPattern⑤の会社としては、本業こそ適正価格で受注しなくては経営が成り立ちません。管理組合が価格だけに目を向けて管理会社の選定をおこなえば、真っ先にこのような会社は選から漏れてしまうので、悩ましい限りです。
「Pattern⑤で対応します。」との管理会社の言を信じて管理を任せても、実際に管理が始まるとPattern④がまかり通るのが、残念ながらマンション管理業界の常識です。
将来発生するであろう様々な工事の発注にあたり、今後繰り返し問題となる重要な課題です。管理組合は、工事業者の選定と発注に関する手順をあらかじめ管理会社ときちんと取り決めておく必要があると思います。